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終わらない物語~白銀の始まり~(魔力事件……世界は終わりへと進むのか、又は歩み続けられるのか──ここから選択を始める僕の物語)  作者: 御伽ノRe:アル
≪ヒノモト≫中学編※その出会いは偶然?「もしくは必然?」

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『闇市場─正義の行方─㉕』

────

「大筋は──こちらでも把握して情報として受け取っているのと同じね」

「そのようですね」

「でも……その黒い存在を追った先の部分とかに関しての情報は来ていないようね」

「私もシエル様の処理のサポートを優先していた為、詳しくは分かっていません──あのシエル様?」

『そうですね……話さないとですね』

「えぇ、お願い致します。それが私がここへあなた達を呼び出した目的でもあるのです」

「私も聞きたいです──いったい何があったのですか?」

ノーラさんとナビから聞かれて、自分は一旦頭の中で先程あった光景を思い浮かべつつ整理して2人へと話すことにした。


『黒い存在の先を──繋がる細い意志みたいなものを辿っていったのは話しましたよね?』

「えぇ、その部分は聞いたわ」

『海を越えて……先に感じた巨大な力は多分白銀の龍の存在だと思います』

「ですが──シエル様はその先の……意志の糸を追って行ったのですよね?」

『そうだねナビ。白銀の龍を越えて──その先は多分今でも不明瞭な存在とされる黒い渦の先へと行ったのだと思う』

「あの黒い渦の先──その先には何があったのですか?」

「シエル様が急に接続を切るように私に言った切っ掛けの場所ですね?」

2人の視線が強く自分へと向けられて、自分は頷きつつも言葉の先を切り出す。


『何かが居た。女性的な声だった──そして酷く……不安定だったと思う』

「えっと──どういうことかしら?」

「シエル様は何と……邂逅かいこうしたのですか?」

『何かに関しては白銀の龍の力……とは比べ物にならない存在だったと今になると思う』

『彼女? は自分に言ったんだ。”消えろ”と思念が伝わって来たのだけれども──酷くそれが不安定だと感じたんだ』

『そして言葉に合わせて──消滅を望むイメージの魔力を感じて……ナビへとすぐに接続を切るように伝えたんだ』

「それはこのヒノモトでも──ましてや私でも聞いたことがない事象ね」

「酷く大きな力の流れを感じましたが──そんなことがあったなんて……」

『とりあえず、この事はおおやけにはしない方が良いでしょうか?』

「えぇ──お願い致します。私達だけに今は……情報の遮断をお願い致します。この情報は危険です」

「分かりました」

ナビと自分はノーラさんに向かって深く頷く。


    *


「さて──次はあなた達の力に関してだけれども……」

「まずはこちらの調査書を読んで貰ってもよいかしら?」

ノーラさんの言葉に合わせて目の前には可視化された自分達に関する調査報告が事細かに書かれた書類が現れる。


(凄いな──事細かに……ブリッケンさんの部分もまとめてある。それに考察や推測までも──)

可視化された文面をナビも同じだろうか、一緒に読み進めていく。


おおむねは間違えていないと思います』

「私もシエル様に同意です」

『ですが幾つか補足を……』

「ありがとう、聞かせて貰えないかしら?」

そして自分達の生い立ちとこれまでの経緯を話していく。

話してる中でナビも含めてカップのお茶が切れる時があったが、ノーラさんは直ぐに気付いて注ぎ足してくれていた。


『それと実際の自分達の白銀の色合いは──こんな感じになります』

「……私とは純度? というのかしら──全く違うわね」

ノーラさんは自分達の手元に現れた白銀の光球を見つつ──自分の手元にも少し自分達とは違って濁り? くすんだ白銀の光球を出す。


「ノーラ様……少し失礼致します」

ナビはノーラさんの光球を観察した後にそっと手を伸ばして、ノーラさんの光球に触れる。


「何か分かるのかしら?」

「そうですね──多分当初の色は私達と変わらなかったかも知れません」

「──確かに……昔の資料を見る限りそれは確かね」

「多分ですが、外の血? を取り入れる過程で本来の白銀の力が薄まった? 他の属性と混ざり合ってるのだと思います」

「なるほど、ね。それは私も思っていた事よ、マリのは見たのかしら?」

『はい、何度か拝見しています』

「そう──あの子はもうあなた達には色々と許してるのね。それで……私とは比べてどう?」

『正直に申し上げますと……更に薄く──なっているとは思います』

「その通りね」

そして自分の回答にノーラさんは深く頷いて反応を返していた。


「これはヒノモトの守護の力なの──。けれども見ての通り代を重ねる毎に弱まっている」

「でも、私達中央はそれを秘匿ひとくしているわ……混乱を巻き起こさない為に」

「でも──力が弱まるのに合わせて今回の発端ほったんになっている人型のモンスター……ここではもうシャドウと書かれているわね。それが見受けられるようになってきているわ」

「そして、ここだけの話──諸外国でも同じように力が弱まっているとは聞いているの」

自分達の周囲には声も通さないようにナビの念入りなバリアが張られているのにも関わらず、ノーラさんはこちらにしっかりと顔を近づかせて、声を潜めて話してくれていた。


「あなた達の秘密を出生に関しても話してくれた──お礼みたいなものよ。でも、他言無用でお願い。中央でも限られた人しか知り得ない情報だから。分かったわね?」

『色々とありがとうございます。分かりました』

「はい、私も大丈夫です」

ウンウンとノーラさんは頷きつつ──自分の分もカップのお茶が空になったからかお茶を注ぎ足す。


「あなた達の事は分かったわ。私の方でも他言無用の部分は話さないでおきましょう」

「あなた達の事を私は自由にしたいと思っているわ──けれども今回の件で中央は意見が割れているの……」

「あなた達を有害と捉えるか、無害と捉えるか──対応をどうするか」

「待ってください──! シエル様は決してそんなお方では……!」

「大丈夫、分かってるわ──あなた達の話を聞いて、マリの願いも聞いて……」

『マリ……さんの願いですか?』

「マリと呼んで大丈夫よ? そう、あの子からあなた達を……シエルくんを宜しくお願い致しますと来ているわ」

フフフとどこか笑みをこぼしながらノーラさんは話を続ける。


「中央の意見は私が取り纏めるわ──だから、その過程で必要な情報は話しても良いかしら?」

『分かりました──宜しくお願い致します』

「えぇ──任せない。それとハンネスの処置に関しては……」

ハンネスの処置に関しての時にノーラさんは上を見上げる。

自分達もそれに習って上を見上げる。


「来る途中で見たとは思うけれども──この上は私の住まいの後宮でもあり……監獄でもあるの」

『監獄──?』

「えぇ、特殊な条件でしか──あのエリアからは出られないから。そういう役目の部分も果たしているの」

「シエル様──先程の枷と同じで……多分白銀の力の応用で認められた者しか出入が出来ないと推察されます」

「流石ね──その通りね。だから……あなた達には効果も無いのだけれども、ね」

ナビの考察に対して、少しだけ苦笑を交じらせながらノーラさんは答えていた。


「話を戻すと──ハンネスは上のエリアで禁固刑になる手筈にするわ」

『……ありがとうございます』

「あなたの……シエルくんの話を聞いたうえでの判断よ。それに黒い存在の影響の経過も見たいという所も本音かしらね」

『──なるほど』

「そういう弁も無いと色々と中央は……複雑になってしまった組織なのよ」

「現在の中央は──情報によるとですけれども混迷を極めていますものね……」

「確かに……私を筆頭とする女王派、軍・ギルドを支持する反女王派、そして富裕層からなる民衆派が主かしらね」

『なるほど……ですがそうなると今回の件で──』

「えぇ、反女王派に関しては大変でしょうね」

どこか暗い表情になってしまったノーラさんはポツリと言葉を吐いていた。


「でも、良く調べているわね。マリと同じ年齢とは──ましてや私の同じ頃の年代の時とは全く違うわね」

「本当に10代前半なのかしら──?」

ジッと見てくるノーラさんの目にドキッとするが。

「でも見た目も──可愛さもどう見ても……よね」

一瞬のうちにその目は優しいものになり、自分達を見ていた。


(旧世界の記憶は──詳細はまだ全てを知っているのはナビだけか)

チラッとナビを見ると、自分の気持ちに気付いてるのか片目をウインクして応えてくれていた。

(きっと──この旧世界の記憶は表面の触りは話すことがあっても、詳細な記憶はナビとだけの宝物になるんだろうな)

ぼんやりと頭で一瞬だけ意識を彼方へと飛ばしていると。


「さて──まだ、もう1つだけ聞きたいことがあるわ」

『「え──?」』

意識が離れてる中で不意に話しかけられたせいで──ナビも自分と同じことを考えていたのだろうか2人とも一緒に驚いてしまい。

ナビに限っては驚いた影響かバリアが解除されてしまう。


だけれども、ノーラさんはバリアが解除されたのに気付いたのだが──関係がないように聞きたかったもう1つの事について自分へと尋ねて来るのだった。

「私の娘──マリの事はどう思っているのかしら?」

先程までの真剣な眼差しとは違い──どこか茶目っ気を感じる目で自分を見てくるのだった。


『え、えっと──』

自分も一旦思考が停止してしまってる中──どこか遠くからタタタタッとこちらへと駆けてくる足音が聞こえてくる。


そしてナビも合わせて自分もその音が迫って来る扉の方へ視線を向けると──。

「お──お母さま! そ、それは聞いたらダメです!!」

「ま、まだ! こ、心の準備が……」

静まり返った周囲の空間には思いのほか声が響きやすかったのだろうか──ナビのバリアが解除されてのノーラさんの声はこちらへと向かっていたマリの耳元へと届いていたようだった。


(良く思えば──外に向けて聞こえるように話しかけていたような……)

その問い掛けた張本人を見てみると──とても、本当に先程の真剣な顔とは打って変わり……いたずらっ子のような表情も垣間見える母親の顔をしているノーラさんが居るのだった。


「し、シエルく──」

ハァハァと慌てて来たのだろうか息を切らせているマリが居て、ノーラさんは立ち上がると新しいカップを取りお茶を注いでいた。


「まったく──恋はこんなにも人を変えるのかしら? あんなに大人しかったマリが──」

「お──お母さま!」

ポンポンと空いたイスの座面を叩いてノーラさんはマリを椅子へと誘導していた。


その席に大人しくマリが座ったのを見て。

「ナビさんはまだ聞きたいことがありそうね──マザーの処遇に関してかしら?」

再度、少しだけ真剣な表情になったノーラさんが話を切り出していた。


ナビが気を利かせて再度バリアを展開しようとするとノーラさんは首を横に振って押し留めていた。

「ここから先の会話は大丈夫でしょう」

「マリ? ここまで来たという事は一緒に来たのでしょう?」

「は、はい──」

マリの頷きを確認してノーラさんはドアの先へと声を掛けるように。

「マザー?」

声を掛けるとふんわりと自分達の前に白銀色に近いマザーが現れていた。


「紹介するわ──この中央を統治する……そして各エリアのマザーを統治するマザーよ」

「……ノーラ? それだとやはりマザーが重なってしまい理解が難しいと私は思いますよ?」

ノーラに紹介された目の前のマザーは流暢りゅうちょうに話してはノーラさんに突っ込みを入れていた。


そして、改めて目の前のマザーが自分達を見て──ナビへと視点を止めて……深く深くお辞儀をした後に自己紹介を始めるのだった。

coming soon

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