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終わらない物語~白銀の始まり~(魔力事件……世界は終わりへと進むのか、又は歩み続けられるのか──ここから選択を始める僕の物語)  作者: 御伽ノRe:アル
≪ヒノモト≫中学編※その出会いは偶然?「もしくは必然?」

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『闇市場─正義の行方─㉒』

綺麗に物事は終わらない──

「終わったの──か?」

誰かは分からないが……いや、皆口々に声に出していたのだろう。

その災難と云うには大きい被害の終わりを告げるように皆の口から言葉が零れていた。


「──────っ!!」

『ナビ──!?』

不意にナビが目の前から消えて──ハンネスの下へと駆けていた。


キィィィ──ン! 音が響いた時には軍、ギルド……両軍の姿が確認できたがそれぞれがハンネスへと何名かが実剣を振り下ろしており、それをナビが受け止めていた。


「──っ! 邪魔をするな! こいつは殺さないといけない! それほどの罪を背負っている!!」

「させません──!! 何よりも……シエル様が望んでおりません!」

「くっ──!! この──!」

キュィィィ──ン! 今度はナビがハンネスと自分の周囲にバリアを張り、そのバリアへ何名かが魔法を放っていたが何とかナビのバリアが受け止めていた。


『ナビ──!』

「シエル様──!」

そこへ自分も追い付き──ナビのバリア内へと入れて貰いナビと合流をする。

目の前の何名かの増悪の籠った目が同時に自分へも注がれる。


    *


「お前ら──落ち着け」

「剣をおさめよ!」

そこへイアンとムシュタルさんもやっては来るが──。


「すみません──これは譲れません」

「こいつが居なければ──俺の同僚は!!」

「こいつはここで処刑すべき人間です!」

それぞれの主張が噴出し、周囲の主張も次第に二極化──生かすか殺すかに分かれて終始が付かなくなって来ていた。


「イアンさんはどう思うのですか──!」

「大将は何も思わないのですか!?」

イアンもムシュタルさんも詰問されては苦しい表情になってくる。

そして──答えを出せない二人の様子が後押しするように周囲の雰囲気はより険呑けんのんなものへとなっていく。


それに合わせるように周囲は未だにバリアを張り──ハンネス、賭博エリアのマザーを守る自分とナビへと増悪の籠った危険な視線が再度集まって来ていた。


    *


「シエル──バリアを解除して貰えないか?」

「シエルくん──すまないが……」

『いえ──すみませんがお断り致します』

そしてキッパリと拒否をする。

それを聞いて周囲の人間のヘイトが自分へ尚濃く一層と向くのが伝わってくるが──自分は決して譲らない。


(自分は選択したんだ──あの時守ると……)

そう──ハンネスが黒い存在へと蝕まれているのを知った時にある程度は覚悟を決めていた。

そして、ハンネスの暴力によっての平和に関して──自身も結果としては力で収めた背景も有り、そう……我が儘かも知れないが自分のを通すと決めたのだった。


「シエル──さん、すまない」

『いや、シュンと同じでシエルで良いよ』

「あ──あぁ、ありがとう。……本当にすまない、恩に着る」

ナビが無害と判断したのだろう──バル、シュン、マリ、リン、レイもバリア内へと入って来ていた。

そして、自分の考えを打ち明けていた皆も入って来たのを確認してもう1つ強くバリアを自分は張り直す。


「だが──シエル。どうするんだ? その……作戦はあるのか?」

シュンが不安そうに聞いてくる。

そんなシュンは目の前で自分の父親とも向き合いつつも──気丈に振舞っていた。


「えっと──シエルくん! おじいちゃんには繋がったよ!」

「私の方も──その詳しくは言えませんが……多分融通を利かせて貰えるとは思います」

そこへリンとマリから声が掛けられる。


(ん──ガイウスさんからも返事があった)

内容はすぐに追ってくるとの事だった。


『大丈夫──待とう。賭博エリアのマザーが解放されたことにより、通信の方も解放されてる』

「はい──それまでの間、守りきれば大丈夫です」

自分とナビの言葉にシュンは頷きつつ、バルはどこか糸が切れたかのように安心した顔を覗かせては膝をついて表情を隠していたが……小さく水滴が落ちているのだけは見えていた。


「──シエル、手伝う」

『良いのかい?』

コクリと頷いてレイが自分の横に来て片方の手は自分の服の裾を掴み、もう片方の手を目の前にかざして精霊の加護を発動させて、バリアをより強固にする。


「私──多分、許せることはないかも知れないけれど……黒い存在に関しては分かるから。理解だけは出来るから──それに人が死ぬことは私は間違ってると思う」

どこか凛とした表情でレイは隣で言葉を述べていた。

『そっか──ありがとう、レイ』

「うん。それに今はシエルが居るから──」

そう言いつつ裾を握る力を少し強めたのだろう。

ギュッと握られるのを感じつつ──レイ自身は真っすぐにこちらへと未だに睨み付けている何名かの人をその瞳に映していた。


    *


イアンとムシュタルさんの抑止も効かなくなってきたのだろう。

(それはそうだろう──極度の緊張状態の後の今の状況だ)


そう、極度の未憎悪みぞうおの体験した事の無い規模の後の今の現状だ。

憎い相手が目の前に居る──そして正常な判断というものすら鈍って来ているのだ。

そしてストッパーたり得ていたイアンとムシュタルさんも判断をしっかりと出来ずに居る。


(元の指示が生死を問わずだったからな……)

これが生かしてだったら話は別だったろう。


(結局──力で自分も未来を、自分にとっての平和を勝ち取ろうとしているか……)

チラッと後ろの未だに横になり続けては静かに息をしているハンネスと──か細くも何とか存在を取り留めているマザーを視界に収める。


(本当だったら回復に回したいけれども──)

どうやら、そんな余裕は持たせてはくれないようだった。

誰かだろう──そう……魔法が飛んでくるのが視界に入って来ていた。


「俺は──俺は許せない! この手でシャドウとなった知人も殺すことになったんだ!!」

「ァ──ァァァア!!」

「っ──! お前ら──ダメだ!」

イアンの声が最後に何とか聞き取れたが、一度起きた反動はもう戻せないだろう。


『ナビ──! ガイウスさん、又はドルマンさんが来るまで……』

「分かっております! 守り切ります!」

「シエル──私も居る」

『うん、すまない──レイも頼む』

「うん──」

そしてガイウスさんとドルマンさん──もしくはマリの伝手が来るまで……醜くもどうしようもないエゴの果ての防御戦が始まったのだった。

coming soon

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