『美しい世界⑧』
想いを打ち明ける事は
それ自体が美しい
「こちら……ガイウス元帥になります」
(ぉぉ……)
絵に描いたような白髪の長身で、それまた”ジェントルマン”な──て、首痛っ!
全く……子供サイズなのを忘れて”上を向き過ぎて”しまったようだ。
(やはり〝上を向いて〝は危険だ)
──とにもかくにも彫りも深く、肌は……うん、標準的な色合いだ。
どこかのマッチョでナイスガイのような、日焼けで”こんがり真っ黒”ということもない。
ただ──その顔に貼り付いてる表情は〝嫌に酷く〝堅いのだけは見て取れた。
『あの……えっと、申し訳ございません。まだ記憶が曖昧な部分がありまして──その、元帥というと、僕と果たして……どのような関係で? それに僕にどんな用事が?』
(「シエル様……!元帥というと軍の階級的には──」)
ナビの解説を脳内で聴いていると──相手の……そう、目の前に居るガイウスさんが口を開いた。
「なに、これは名誉職的なポジションを示すだけのもの。私は”ただの歳をとってしまった”そこに居るヒューズの叔父なだけよ」
ふぉふぉふぉ……と、これまた絵に描いたような反応をしながら、ガイウスさんは自分の立ち位置を話してくれた。
(ん?でも、なんでそんな相当な位置の方が──俺に……いや、自分に会ってくれているんだ?)
(その前になんで〝俺〝と〝自分〝それに〝僕〝って”一人称”がずっと──不安定なんだ?)
(「シエル様。僭越ながら──それは魂や精神は、その……肉体の状況に合わせられ〝引っ張られる”と旧世界の文献には存在しています。
つきましては予測ですが、現在の成長過程の肉体上にて〝魂、及び精神〝が引っ張られたと見るのが妥当かと思います」)
ナビの解説に〝ほほぅ……〝と、得心を得ながらも気付いたら、また下を向いてしまっていたらしく、端から見たら考える仕草だとガイウスさんは思ったのか付け足しの言葉を添えてきた。
「私はね──シエルくん。君のご両親とも仲良く……いや、ヒューズと同じく育てあげたのだよ。そうだね、感覚的にはシエルくん、君の……恥ずかしいがお爺ちゃんみたいな者なのだと思って良いのだよ」
言葉を返そうとしたらガイウスさんはまだ”苦しそうな表情”を浮かべながら、重ねて言葉を紡いだ。
「本当に──すまなかったと思っている」
(何が……?)
──それが率直な感想だった。
その後、ガイウスさんは言葉を紡げなかったのか、ヒューズさんが後をついで説明を始めてくれた。
そしてヒューズさんは語る
シエルの事件の事を──その顛末を
シエルは何を想い、そして何を選択するかは
まだ分からない




