『美しい世界⑦』
人の性格は変わらないもの
ねぇ──変わらない”芯”は美しい?
──それから早くも3ヶ月が過ぎ去っていた。
そんなある日「そろそろ外にも出られるだろう」と話をしている中、どこか”ソワソワ”としたヒューズさんが意を決したように尋ねてきた。
「シエルさんに会って貰いたい方が居るのですが──あの、宜しいでしょうか?」
(ん?)
最近は実習生の方にも微笑ましくみられる、お子さま体型の自分だが──いや、現に正しく……お子さまなのだけれども。
ヒューズさんは既に性格なのだろう。
改まって”敬語”で聞いてきた。
──勿論、俺の回答は決まっている!
(NO Thank You!)
(「だ、ダメでしょ! シエル様?!」)
──いや、気のせいだ。
ここまで共有してる筈はない……。
(あれだ、セーフだ……セーフ!まだ慌てるような時じゃない)
〝旧世界〝で人気を博した某バスケのまだ〝慌てるような時ではない〝的なやつだ。
(あの時〝イレギュラー〝な位──奇跡的な可能性が実を結んでと言っていたが……)
まさか”思っている思考”が、そのままダイレクトに──いや、そんなね……まさか?
(「ふふふ……」)
ん──何も聴こえてない。
嬉しそうに笑っている、ナビさんの声なんて聴こえてない。
(幸せそうな声なんて……幻聴だよね?)
*
「あのシエルさん……?」
おっと、いけない。
癖なのだろうか、また顔が下に向いていたらしい。
前方不注意は危ないと”夢”──いや、あれも確かに自分の人生だ。
そう〝過去の記憶〝とでも例えよう。
その時に〝お巡り〝さんが口をすっぱく”前を向いて”と言っていたのを思い出した。
(そういえば──どこかのフレーズでは〝上を向いて〝とかもあったが、あれはセーフなのか?)
(「…………」)
──いや、気のせいだ。
何故か少しだけ体感温度が冷めた気がするが答えは決まっている。
『大丈夫ですよ』
自分の返事に”ホッ”とした様子のヒューズさんを横目に考える。
(自分に会わせたい?)
(いや〝会いたい〝と言っていたな……)
どんな人物なのだろうかと──想いを自分は馳せるのだった。
そして、シエルは大切な出会いをは果たすことになる
その出会いは、縁は──この物語にどう結びついていくのかは
まだ誰にも分からない




