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終わらない物語~白銀の始まり~(魔力事件……世界は終わりへと進むのか、又は歩み続けられるのか──ここから選択を始める僕の物語)  作者: 御伽ノRe:アル
≪ヒノモト≫中学編※その出会いは偶然?「もしくは必然?」

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『闇市場─正義の行方─⑧』

そして物語は賭博エリアへと──

「凄いスピードですね……」

「だねー!」

「──おい、リン! 窓から顔は出すな!」

マリの言葉に相槌を打ちながらリンは窓から顔を出そうとしたタイミングでイアンがリンをいさめていた。


(それにしても──これはなかなか)

自分もリンたちの言葉に触発されて魔力車を観察してみるが──外装に関しては無骨ながらも武装がしっかり施されており、内装もしっかりと作りこまれていた。


(これはデザインというよりも実用性を追い求めた結果という感じかな……)

改めて、手で質感を確かめたりしていると──。


「シエル様──皆さま……何かが来ます!」

賭博エリアの結界内……端のエリアへと入った瞬間にナビが声を上げる。


その瞬間に合わせてか魔力車の先頭車両から警笛がなり──。

「正体不明の……存在がこちらへと向かっております! 各自迎撃態勢を! 本車両はこのまま──突き進みます!」

アナウンスが頭上から流れてきて、それに合わせて”ダダダダダダ……"と何かが射出される音や爆撃音が聞こえてくる。


    *


「いったい何が──」

「シュン! 下がれ──!」

シュンが窓の外を見ようとしたところ、隣に居たバルがシュンを窓際から引き離し闇魔法を発現したのか──窓に張り付いた何かを吹き飛ばしていた。


「なっ! 今のは──?!」

「チッ──まだ賭博エリアに入ったばかりだそ!」

「今のは人ですか?! シャドウですか!?」

イアンの部隊メンバーも先程の光景に若干の狼狽うろたえが発生していた。


「落ち着けお前ら! ──先頭車両からの情報を速やかに参照しろ! そしてナビ! 何か分かるか?」

「えっと──私は……多分性質的にシエル様の方が……」

イアンが叱咤しったをする事で周囲に落ち着きが戻り──イアンがナビに情報の追加が無いか確認するがナビの返しに自分を見て来ていた。


『多分ですが──完全に人とシャドウが”混じった”姿だとしか……魂や守護精霊の存在は感じないです』

端的に先程見た存在を思い返しつつ、現状の周囲の惨状を読み取りつつ考えを述べる。


「あれは人なのですかい──?」

イアンのメンバーの1人が呟きつつ、先頭車両からの情報を見ていた。

そこには人の姿を取りながらも──その身体からは黒い何かが漏れ出ており、それらが腕状だったり、糸状にして纏っていたりしていた。


「銃撃は効果が薄そうね──」

旧世界の産物の銃撃は見事に黒い何かによって防がれていて効果は見受けられなかった。


「そしてタフネスだな──」

そう、そしてタフネスだ。

魔法の一撃を食らっても食いついて来ており、尚且つ武器や黒い何かを腕状にしてぎ払って来ていたりで──その戦闘力は目を見張るものがあるみたいだった。


    *


”バァァア────ン!!”

その時だろうか爆発音が響いてくる。


「奴隷だと思われる者のシャドウ化している存在は爆弾も積まれている!」

「最優先で迎撃をするように──!!」

「──っ! ダメです! 敵の量が多すぎます!!」

アナウンスの方も錯綜さくそうし始めて来た。


「イアン殿居るか──?」

そこへ自分たちの車両の扉が開き──ムシュタルさん含め軍の関係者がこちらへ現れた。


「ここに居るぞ! ──どうした? 問題が発生したか?」

「いや、まだ発生はしていない──だが現状のままだと賭博エリアの中枢まで突き進めないと見た」

「それはそうだな──俺もそれは今考えていた」

「なので、ここで何名か私が伴って迎撃に出る──陽動だな」

その時に背後のシュンがビクリと肩が震わすのを感じた。


「おい──何を言ってるのか分かってるのか? この数を陽動で引きつけるだと?」

「あぁ──そう言った」

「──死ぬ気か?」

「死にはしないさ」

そして両者がにらみ合いが続くが、イアンが諦めたように息を吐いて視線を外す。


「シュン──!」

「は、はい!」

「死ぬなよ──」

「と、父様──!!」

情けない顔をするな──と最後に言葉を零しつつ、シュンの頭をひと撫でしてムシュタルさんは車両から離れて行く。


「シエルくん」

『はい──』

「息子を頼む」

自分が頷くのを確認して、そしてムシュタルさんの姿は車両から消えていった。


    *


「軍、ギルドの者たちに告げる──」

「現在、この魔力車はシャドウと同化した存在──いや、シャドウに囲まれている」

「このままでは賭博エリアの中枢に辿り着けないのは目に見なくても分かるだろう──」

「──なので私が陽動に出る! これは片道切符でもない! そして無駄な事ではない」

「現状を打開し、希望を中枢へと運ぶための作戦だ──!」

「私と共に歩むものは後方車両へと集え──! 10分後に本車両と切り離し派手に暴れるとする──!」

ムシュタルさんが車両から離れて後方車両へと向かったのだろう、アナウンスが流れて来ていた。


「──お前ら、用意をしろ。俺たちは先頭車両に向かうぞ」

そして、そのアナウンスを聞いたイアンが厳しい顔を隠す事もせずに自分達へと命令を掛ける。


「────!」

そして、車両内は先頭車両──後方車両へと向かう者でしば交錯こうさくする事になる。

交錯した者たちはお互いに黙礼をして、ある者は手を黙って握りあったりしていた。


そして、自分達が先頭車両の方へと着いた時に──。


「では──幸運を祈る!」

最後の後方車両からのアナウンスと──ド派手な爆発音が後方から鳴り響いていた。


先頭車両に辿り着いて戦闘に否応なく自分たちも参戦していたが──その爆発音に反応してかシャドウ達が切り離された後方車両へとむらがって行った。


「今だ!! ──お前ら! 残りのシャドウをぎ払え!」

そのタイミングに合わせて──イアンは号令1つと両手に剣を携えて一気にクロスさせるように魔法をわせた斬撃を進行方向のシャドウに放っていた。

それに合わせて、自分達──周囲の軍やギルドの人間も真正面及びまだ張り付いているシャドウに向けて魔法──または斬撃を放って先頭車両側に残っていた敵を一掃いっそうする。


「最大速度で行け──! 突き進むんだ!」

「「はい──!!」」

イアンの掛け声に運転席に座っていた軍の人間だろう──魔力車に込める魔力を高めて一気に速度を上げていって自分達を乗せた魔力車は賭博エリアの中枢へと突き進むのだった。

coming soon

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