『闇市場─正義の行方─⑦』
軍とギルドも必然的に手を取り合うようになって──
「ほぁー……これが噂のシエルくん──とナビちゃんですか」
「実物だねぇ──」
「後はシュンくんとリンちゃんと──」
イアンの部隊のメンバーはイアンが先の事情を軽く話して一緒に連れて行くと話すと──メンバーの方々は口々に……ネットを参照しながらなのだろうか、自分たちを見て来ていた。
「おい──調べるのも良いが早く準備をしろ」
「ぁ──すみません!」
「軍もギルドも合同で賭博エリアに行くんだ──遅れるのは許さないぞ」
「「はい!」」
そんなメンバーの方々にイアンは号令を掛けて仕度をするように指示を改めて出していた。
「お前たちもそれぞれ準備しろ──武器は……」
そう言いつつイアンは自分たちの装備を確認する。
「ほぅ──ブリッケンの作品か、これはそのまま実用出来そうだな。相変わらず繊細だが力強いな」
扱える者がやっと出たのか──と最後にギリギリ聞き取れる位の声量のイアンの声が聞こえて来た。
「シエルとナビの武器は分かった。他の者は実剣があるようだな」
他の皆の武器や状態を確認して最後にイアンは皆に向けて言葉を掛けていた。
「先も言ったが賭博エリアは戦場になっていると思え──そして、向こうとの通信や連絡が軍もギルドも途絶えていて全容が見えないのが実情だ」
「だからこそだ──俺の指示には従え……そして俺が余裕がない時は──シエル! お前が指示を出せ」
『分かりました』
「ナビはシエルをサポートしろ。先ほど戦闘の動画を見させて貰った──シエルは直感と対応力、ナビは状況の確認と算出に長けている……それぞれ長所を生かせ」
皆──イアンの言葉に頷いていると。
「イアンさん! 全てチェック及び用意終わりです!」
「いつでも行けます!」
「軍、ギルド共に合流及び出発時刻迄──後10分です!」
イアンの部隊のメンバーがこちらに合流してきた。
「よし──お前ら、いいな? いつも言ってる事だが俺の部隊に居る限り死は許さない」
「だから生き残れ──そして救いたいものを救え」
「──賭博エリアへ向かうぞ!」
「「『はい!』」」
イアンの言葉に皆で返事を返して──まずは学院エリアの魔力車のホームへと向かうのだった。
*
「これは──凄いな……」
「俺も改めて見るのは初めてかも知れないな──」
黒い存在に囚われて居たからな──とバルは最後に呟きつつ、シュンに答えていた。
そんな2人の会話を見つつ目の前を見ると──長い車両が続いている機関車型の魔力車が目の前にあった。
「軍とギルドの合同作戦──」
「これが各エリアに配備されてる軍の機関車か──武装もしっかり付いてるな……」
「まさか、こうやってお互いに手を取り合って事に当たれる日が来るとはな──」
他にも周囲には軍とギルドの人達だろう──魔力車の前で集まっていた。
「これから合同作戦へと向かうことになる──!」
そんな中、出発時刻になったのだろう──目の前の壇上にムシュタルさんが現れる。
その横にはイアンも居て、2人並んで立っていた。
そして、ムシュタルさんが口を開くと周囲は静けさが訪れていた。
「そして、軍とギルドの両方の情報網を持っても向こうの様子が分からないというのが現状だ」
「そこから分かる事は1つだ──向こうは地獄になってると思え」
「私も先陣を切って行くが──今回は普段の治安維持とは違うと思ってくれ」
「俺たちの方もだ──普段のモンスター退治や人助けとは思うな」
「私から言えることはやるべき事を全うしよう──そして状況を解決するのだ」
「俺から言えることはお前ら──死ぬな! そして、分かってると思うがいがみ合うようなことはするなよ? 俺たちは既に運命共同体だ」
「「…………────」」
そして、ムシュタルさんとイアンは周囲の者を見渡す。
皆の覚悟や意気込みを感じ取ったのか2人とも頷いて────。
「では全軍行くぞ!」
「お前ら──行くぞ」
「「はっ!」」
「「おぉ──!!」」
2人の宣戦に合わせて周囲の者が応え──そして、魔力車に乗り込み賭博エリアへと自分たちも向かうのだった。
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