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終わらない物語~白銀の始まり~(魔力事件……世界は終わりへと進むのか、又は歩み続けられるのか──ここから選択を始める僕の物語)  作者: 御伽ノRe:アル
≪ヒノモト≫中学編※その出会いは偶然?「もしくは必然?」

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『学内対抗戦㉖』

そして、交錯する運命

運命は始まっていく──

「────」

運営スタッフさんに案内されつつ、試合場へと足を踏み入れたのだが──予想に反して場内は静まり返っていた。


(いや、どちらかと言うと緊張して一挙一動見ようとしてるのかな)

周囲を見回して──特別席に居る、ガイウスさん、ヒューズさん、そしてムシュタル大将、ドルマンさんも見つつ──そのまま視線を前へと転じる。


「────ぁぁぁ……」

(……?)

何かを呟いてるようには見えるが、仄暗かった目は既に峠を越えたのか視線はどこも捉えておらず。

言葉も微かに聞こえてくるものは意味が分からないものになっていた──そんなバル率いるチームが居た。


    *


「なぁ、シエル──」

『分かってる、様子がおかしい──ナビどう見る?』

「許容量の限界が近づいていると思います」

ナビの言葉に皆に緊張が走るのが分かる。


『とりあえず、準備を──早く決着を付けよう』

「はい!」

「待っててねレイちゃん……!」

そして、手早く木剣を取り出して構えては周囲に陣を敷くように散開する。

今回散開するように提案したのはナビだった──これで各自、目的に応じて動きやすいようにと。


審判も自分たちの用意が終わったのを確認しつつ、バルたちの様子に多少は困惑の表情を浮かべながらもマザーの干渉も無いので──。

「それでは両チームの準備も終わったので、本日決勝の戦闘を開始致します! ご健闘を祈ります! では、始め!」

試合の開幕を告げるのだった。


    *


「──っ!」

「っぁ──!」

シュンとリンのうめき声だろう。

マリは横目で見てみると歯を食いしばっているのか耐えているようだ。


(バルの重力操作──ここまでなのか!)

開幕を告げられた瞬間にバルを起点に残りの3名がバルへと魔力を供給し、バルが重力を試合上全体に掛けて来ていた。


(だが、こんな無理やりな──身体が持つはずが!)

バルを見てみたら、魔力を発現しながらも身体には相当な負荷が掛かっているのか腕も足も──四肢を含めてガクガクと震えていた。


そして、そんなバルを見ている中──マリとリンを狙って、その中で身体を軽くされ、更に自己にて自己組織を最大限まで高めたレイが動き出して──。


『ナビ──!!』

「はい!──大丈夫です! 皆さま、行きます!!」

バリバリと空間が裂ける様な強烈な音が周囲に響き渡る──それに合わせて一気に身体が軽くなる。


『ありがとう──ナビ!』

「行ってください──シエル様!」

ナビが一気にバルたちの重力を押し返したのだ。

身体が一気に軽くなったのを感じつつ、マリとリンを狙って動き出したレイへと接敵する。


「……!!」

『ぐぁ──!?』

レイとマリ、リンの間に割って入って、レイの木剣を受け止めるが──物凄い力が小柄な外見からは想像出来ないくらいに放たれていた。


「シエルくん!?」

「大丈夫ですか!!」

『──行くんだ! 後方の3人を!』

自分を心配そうに見てくる2人に大声で言葉を返す。

自分の声に一気に目を見開いた2人は頷きつつもバルの後方に位置する3人の相手へと向かう。


「──っ!」

『行かせない! そして、レイ──君の相手は自分が務める!』

再び2人を追おうとするレイに先回りして道を塞ぐ。


    *


「リン!」

「分かってる! ──足止めをお願い!」

「任せて!」

マリから一気に魔法が解き放たれる、その発現する魔法は未だにバルへと魔力を注いでいる後方の3人目掛けてだ。


「────!」

驚いた声を相手の3人は上げることはなかった。

その前には足場を取られた相手に向かってリンが風魔法を発現させて、自身の接敵するスピードをトップスピードまで引き上げて一気に近寄って斬り取っていたからだ。


「シュン様──! 行けます!!」

空間の強烈的な音がその瞬間鳴り止む、それに合わせてナビが腰だめに木剣を構えていたシュンへと合図を送っていた。


    *


「────はぁぁぁぁあ!!」

「────っ!」

バルは一気に魔力の供給が途切れた反動か、または発現していた魔法が砕け散った反動か──たたらを踏んでいる所へ、一気にシュンが接敵して木剣を一閃させる。


「────!!」

だが、バルはシュンの攻撃が見えているのか足元が覚束ない中──シュンの一閃を弾き返していた。


「──バル! 目を覚ませ!!」

「……」

そのまま、シュンとバルは木剣を打ち合わせに入って──。


『っ!』

咄嗟に木剣を構える──それに合わせて、先程まで重力場が解放させた時に立ち止まっていたレイが接敵して木剣を斬り放って来ていた。


(お、重い──!! 耐えられな──)

自分の方も身体の組織はギリギリまで活性化させている──けれども、レイの場合はそのギリギリを越えてボロボロになるまで組織を活性化させているのもあるのだろう。

自分が受け止められるほど──。


「シエル様──!!」

『っ──!!』

その瞬間だった。

ナビから──ナビの一振りの木剣がこちらへと投げ渡して来ていた。


『ありがとうナビ!!』

「────っ!」

受け止めきれないレイの一太刀を薙ぎ払って──その隙にナビの投げ渡された木剣を受け取る。

そして、改めて二刀を構えてレイを見るのだった。


    *


『ナビ──! シュンのサポートを! そしてバルの解放を頼む!!』

「分かりました! ──ですが、シエル様は……」

「だいじょーぶ!!」

「私たちがサポートします!」

そのタイミングでマリとリンがこちらへと戻ってくる。


「分かりました──! お気をつけて!!」

そして、シュンのサポートへと駆けるナビを横目で見つつ──レイへと視線を転じる。


『マリ、リン──ごめん、サポートを頼む』

「うん」

「はい」

声を掛けたタイミングで──レイはまた一気にこちらへと駆けてきていた。


「なっ──!」

マリのレイを覆うような土壁は一刀両断されていた。

「レイちゃん止まって──!」

リンの風で抑え込もうとしてはいるが──それを物ともせずにレイは自分を一番の目標に見据えたのか接敵してくるのだった。


「────ぁぁ!!」

『っ──!』

ナビの木剣も合わさって、リンの斬撃を受け止めきれるようになったのだが──それでも自分を仕留めようと無理やりにでも筋力を活性化させてるのだろう。

レイのその小さな口から苦痛の声が漏れ聞こえてきていた。


(ダメだ! ──受け流さないとレイの身体が持たない!)

シュンとナビがバルの対処に間に合うまでは──そう覚悟を決めつつ、レイの猛攻を受け流しては凌ぐ事へとシフトしていく。

サポートに回っている2人も自分の様子に気付いたのか、その前にレイの苦痛の声が聞こえたのか──そこは分からないが、確かにレイへの負担を少なくしつつ要所要所で必要なサポートへと回っていくように動きを2人もシフトしていっていた。


(ナビ! シュン──バルへの対処を任せた、どうか間に合ってくれ!)

どちらかが──後少し、後少し支援があればレイを助けに入る事が。

レイの限界が魂が消えてしまわないように祈りつつも自分はレイとの攻防へと突入していくのだった。

coming soon

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