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終わらない物語~白銀の始まり~(魔力事件……世界は終わりへと進むのか、又は歩み続けられるのか──ここから選択を始める僕の物語)  作者: 御伽ノRe:アル
≪ヒノモト≫中学編※その出会いは偶然?「もしくは必然?」

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『学内対抗戦㉔』

遂に準決勝──果たしてどうなる

「わぁぁぁあ────!!」

「シエルさーん──!!」

「ナビちゃーん──!!」

試合の舞台に入ると歓声が直に聞こえてくる。

自分とナビ──それ以外にもシュン達の声援もあるようだ。

リンはどこか気恥ずかしそうにしながらも、声援に手を振り返していた。

ナビもそれにならってか手を振っていた。


(って、ナビはやっぱりサービス精神旺盛なのだろうか?)

ふと、ナビへと意識を向けていると視線を感じて、そちらに目を向けると朗らかにこちらに手を振ってくるガイウスさんと、その隣に特別に席を設けて貰ったのだろうか? ヒューズさんも同席していて、特別席からこちらへと手を振っていた。


とりあえず、ガイウスさん達へと会釈を返しつつ、相手のチームへと視線を向ける。


(彼がそうなのだろうか?)

自分の視線の先にはどこか気難しそうな雰囲気をまとっていて先頭に立っている、先程話題になっていた人物が居た。


(名前は──ボンか。そのまんまだな……)

先の会話のリンの言葉の”ボンボン”という言葉が脳裏によぎりつつ、どんな冗談だと思っていると──。


「よろしく頼む!」

どこか生真面目さを感じる声質で相手が──いや、そのボンがこちらへと挨拶してきた。


『こちらこそ! 宜しくお願い致します!』

自分の声が届いたのだろうか、満足そうにボンは頷いた様子を見せて自チーム側へと戻っていく。


「少し、神経質そうな感じでしたね」

マリも今の一幕を見ていたのか、感想を述べながら自分の方へと向かってくる。

そのままリンとナビは一通り手を振りつつ合流してきて、シュンは木剣の調子を確かめて後に近づいて来た。


『さて、勝ちに行こうか』

自分が言うと、皆頷いて戦闘の用意を始めるのだった。


    *


「それでは両チームの準備も終わったので戦闘を開始致します。ご健闘を祈ります! では、始め!」

審判が合図を送り──。


早速ボンのチームに変化があった。

チームの1人がボンの持っている木剣へと魔力を送っているような──。


「シエル様──!」

そのタイミングでナビが自分たちの前へと飛び出す。


(なんだ──?)

視界に見えるボンの方はそのまま木剣を腰だめに据えて──。


「行かせて貰う──!!」

そのまま薙ぎ払って来た。


(っ! 魔力の限界許容量を超えての暴発のタイミングで放ったのか!!)

先程までの見ていた動画とはタイミングも攻撃の感じも──それ以前に衝撃波どころではない、まるで爆風波だ。

同じ衝撃波のカテゴリーでもこれは1つ上だと云ってもおかしくないだろう。


「させません──!!」

ナビが華奢な腕を前に突き出して自分たちを覆うように光属性と、闇属性の混じったバリアを展開させる。


(っ──!)

自分が視認出来たのはそこまでだ、闇属性で衝撃を殺して──光属性で威力をね返してるのが感覚で伝わってくる。


体感時間が長く感じられたが、周囲の静けさと共に視力も回復してくる。


目の前には振り切った姿で、その手元の木剣がボロボロと崩れ落ちていく様子のボンと──目の前でバリアを張っていたのだがある程度は威力や衝撃を殺しきれなかったのか、少し……破廉恥ハレンチな姿になりながらも未だに相手を見据えてるナビが居た。


    *


「シエル様──皆さま大丈夫ですか!?」

ナビが相手の動きが無い事を横目に見つつ、こちらへの無事を確認してくる。


「あ──いや、だいじょ……」

「はい、シュンくんダメですよー!」

「ナ、ナビちゃん! とりあえず私の上着を──」

シュンはナビの姿を見て咄嗟に視線を──外すことはしなかったようだ、リンに無事に目を塞がれていて。

マリはナビの様子を見て、上着を被せていた。


『えっと──ありがとう……ナビ』

何とかマリの上着で見れるようになったナビにお礼を言いつつ、ナビの横に立ち相手を──ボンを見据える。


「……やはり、一筋縄じゃ行かないか、そうなると──」

どこか不穏な発言が耳に聞こえて来ていた。

ナビの方も聞こえていたのか、ナビの方で魔力を練るような気配を感じ始める。


「余り使いたくはないけれども──、お前たち……すまない、力を注いでくれ」

ボンの言葉に他のボンを除く3人が頷いている──先の注いでいた1名は魔力欠乏症も起こしてるのか倒れ伏していた。


「シエル様──気を付けてください、先の比じゃないです」

『分かってる』

会場を覆うマザーが幾重にも展開している”薄い結界”の層が更に追加されていくのも魔力の流れで読み取れた。


「シュン様、マリ様、リン様──私たちの後ろに」

ナビの声に反応して3人が自分たちの後ろへと隠れる。


『ナビ──試したい事がある。えっと──』

そっと、ナビに片方の手を差し出すと──意図を組んでくれたのかナビがその手を握ってくれた。

『ありがとう』

そう言うとニコッと、この状況では不釣り合いにも思えたがやけに鮮やかで綺麗な笑顔をナビは返してくれた。


    *


「シエル様──皆さま、多分そろそろ来ます」

体感時間ではその時が来るのは直ぐだったろう。


「とっておきを見せてあげよう!」

背後の3人は魔力を限界まで注ぎ終えたのかバタバタと倒れ伏していた。

そんな中でボンの掲げている木剣は木剣自体の並列の魔力紋の影響と複合紋の影響が合わさって、膨大な魔力を秘めていた。


会場は先の攻撃以降まるで急に夜が来たかのように静まり返っていた。

(──木剣の魔力許容量までギリギリ魔力を引上げてるのか?)

木剣自体からきしみに似たような嫌な音が周囲の静かな空間に響いていた。


『ナビ──!』

「はい──!」

片方の手はお互いに繋ぎあいながら、もう片方の手をお互いに前に突き出してバリアを展開していく。


「「綺麗──」」

マリとリンの言葉だろうか。

確かに展開されているバリアは先のナビとは変容していた。

光属性と闇属性──それ以外の属性も折り重なるように幾重にも自分たちを守るように展開していく。


「ここだぁ──!!」

そのタイミングでボンの声が聞こえてくる。

そして、ボンはその掲げた木剣を振り下ろしたのだった。


    *


(っ──!)

「シエル──さ、ま」

ナビの繋いだ手の握る強さが強くなる。

目の前は先の比どころじゃない──周囲を爆風で包んではとめどない音が鳴り響いていた。

目も開けられる状態ではなく、視界を閉じつつ魔力の流れに注力する。


(循環させるんだ──イメージするんだ……)

ナビと自分の魔力を繋いだ手から相互に行き来させつつ、魔力を無限に増やしていくイメージを強く持つ。

ナビの暖かさとそして信頼と──親愛の熱さが伝わってくる。

それを応えつつ返すように自分の魔力をナビに返しては、またナビを感じる。


『ナビ……サポートを頼む!』

「任せてください──!!」

膨れさせた魔力を展開させているバリアへと供給、または新たにバリアを展開していく。

足りない処理はナビが補ってくれて──そして、また相手の攻撃を凌ぐようにバリアを張ってはお互いに魔力を循環させて無限に魔力を増やしていく。


「おい、シエル──前!」

シュンの声に魔力の流れだけじゃなく目の前を見てみる。


「シエル様──これは……」

隣のナビの驚いた声が聞こえる。

ナビと感覚も魔力も混じったような状態に近いため。

(「綺麗──」)

ナビの心の声も聞こえてくる。


そう、目の前には”白銀に輝くバリア”が展開されていた。


(どうなってるんだ──)

(「多分ですが──全ての属性が混じって──ですが黒ではなく白銀なのはナビにも理由は分からないです──」)


(これはあれか──イメージからの結果というやつか! でも今は──!)

(「はい──! 私の全てをシエル様へ──!」)


『はぁぁぁぁー!!』

「はぁぁぁぁー!!」

ナビと繋いだ手の部分の感覚すら、既に溶け合って──意識も感覚も1つに合わさったかのような心地良さに抱かれつつ、今は全てを目の前の凶暴的な威力になっている爆風波を耐え凌ぐ──!


    *


(終わったのか──?)

いつの間にか爆風波を感じる事も、暴力的な音も無くなり静けさだけが会場を包んでいた。


「────」

パタッと目の前のボンが崩れ落ちていく、木剣に限っては既にその原型さえも分からない位の姿になっていて少しずつ崩れていっていた。


「終わった? ──ぁ」

シュンの言葉が途中で色めき立っていた。


『どうしたシュン──ナ、ナビ! 服を!』

「シエルくんもだよ!」

「シエルくんもです!」


(えっ?)

ナビは自分の姿を見て──先の威力や衝撃どころではなかったのだから当たり前だろう、先程よりも際どい姿になっていて、自分の姿を確認しては耳まで普段のピンク色を通り越して真っ赤になっていて、即座に自前で白銀のワンピースに自分を包んでいた。


「シエル……! おい──シエル!」

『あぁ、ごめん。ありがとうシュン』

ナビを見過ぎていたのか、シュンが反応した自分に慌てて自分の上着を被せてくる。


少し遅れてか、そのタイミングで会場から大歓声が沸き起こったのだった。


    *


「シエル様──少しだけ様子を見て来ても大丈夫でしょうか?」

『ん?』

ナビの視線の先では倒れ伏したままのボンが居た。

他のチームメンバーは何とか起き上がってるようだったが──。


(いや、違うな──あの威力だ。多分、自分たちのメンバーに影響が無いように防いだ可能性が高いな)


『ナビ……頼めるか?』

「はい! お任せください!」

自分の姿を見ると、だいぶ自分も服装の方がボロボロみたいで動くには不都合だった。

ナビは自分の姿を見た後に頷いてから、自前の白銀のワンピースをはためかせながら──まるで”天使”のように見えるちでボンの様子を見に行くのだった。


    *


≪side:ボン≫


「ん──暖かい、これは?」

自分を包むような温かい──これは今まで感じたことがない暖かさを感じる様な。


(む、うるさいな──いや、待て)

周囲の喧騒が聞こえる様な……少しずつ記憶が鮮明に──そうだ、使うのを止められていた木剣を……最悪の時に使う保険の一振りを使ったのだったか。


(ん──)

そして、余りにも強大な威力で雇ったメンバーの身の安全を守る為に私は──。


「──ぁ」

(!? ──な、なんだ!?)

目を開けたら天使が居る?


「ここは天国なのか? 私は──」

「いえ、あの──ここは試合会場です……」

「む──?」

周囲を見てみたら、遠巻きに自分を見ている雇ったメンバー。

そして、向こう側には先程戦っていた相手──それに意識がまた覚醒してきたのだろう周囲の大歓声が聞こえて。


「あなたは天使ではないと?」

「えっと──私はナビと言います……」

「──!!」

ズキュンと音がした。


(なんだこれは、心臓の鼓動が変だぞ──待て、彼女の触れられてる手から暖かさが……)


「あっ──まだ、動いたら危ないです。その魔力がまだ……動いたらメッですよ?」

「──は、はい」

なんだこれは、なんだこれは!!

口調も普段とは違うものになってしまったぞ──。


(…………)

暫くしたら、自分でも驚く位に身体の調子が良くなってくるのが分かる。

それを合図のように──。


「えっと──もう大丈夫そうですね? 立てますか?」

「あ、あぁ──」

柔らかい……そして、スベスベだ。

なんだ、良い匂いもするような気がする。

──なんなのだ。


「その、すまなかった。ありがとう」

「いえ、無事そうで良かったです!」

ニコッと彼女は──そうナビさんは微笑んで──。


ズキューンと私のどこかで音が鳴った気がした。

(ナビさんか──覚えたぞ。そして、この恩は忘れないぞ)


そして、ナビさんが合流する──そのパートナー、いや契約者なのか。

私は彼へと深く頭を下げるのだった。


「戻ろう」

「お疲れ様──では行こう」

「「「「はい!」」」」

自分の雇ったメンバーと共に私は会場を後にするのだった。


    *


『ナビ? どうだったんだ?』

「酷い魔力欠乏症が起こっていたので──すみません、色々と魔力の供給と身体の治癒目的に影響が出ない程に細胞の活性化を──」

『そっか、ありがとうナビ』

そして、笑顔で頷くナビを見ていると不意に視線を感じて見てみると──こちらを見ていたボンが居て深く、深く礼をしてくるのだった。


「凄い感謝されちゃってるねー」

「まぁ、中々の試合でしたから……」

リンの言葉の後に、マリが周囲を見ながら言う。

周囲を見てみたら、流石のマザーの結界の効果もあるのだろうが──運営スタッフが破損個所が無いかを見ていた。


「とりあえず、控室に戻らないか?」

シュンの方も一通り、周囲の状況を見つつ落ち着いて来た頃合いを見計らって提案してきた。

自分含めて、その言葉に皆が頷いて控室へと皆で戻るのだった。

coming soon

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