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終わらない物語~白銀の始まり~(魔力事件……世界は終わりへと進むのか、又は歩み続けられるのか──ここから選択を始める僕の物語)  作者: 御伽ノRe:アル
≪ヒノモト≫中学編※その出会いは偶然?「もしくは必然?」

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『学内対抗戦⑳』

ギルドの特待生も居るならば、軍の特待生も……

「よぉ、シュンじゃないか。よく、ここまで勝ち残ってきたな──」

ハハハ! と最後に笑いながら目の前の相手と相対していた。


(誰だ?)


『えっと、シュン? 目の前の”アレ”はなんだい?』


「さっきの人がギルドの特待生だとしたら、こいつは軍の特待生──反ギルド派の人間だ」


「はっ! 何が反ギルド派だ。そんな訳の分からないギルドの人間も混じっているチームで良くやってこれたな! 様式美というやつを見せてやるよ──さぁ、準備したまえ!」


目の前の相手に言われるまでも皆を見てみたら、既に皆は戦闘態勢に入っていた。


「ふんっ! 生意気だな──現実を教えてやる! お前ら! 構えろ! まずは──シュンを落とすぞ!」

号令をかけるや否や相手のチームは陣形を組み始める。

前に1人、中に2人、後方に2人──。


そのタイミングで──。

「それでは両チームの準備も終わったので戦闘を開始致します。ご健闘を祈ります! では、始め!」

審判が戦闘の始まりの宣言をしたのだった。


    *


「まずは分断させて貰う──!」

目の前にて、先の特待生の相手が一番槍なのか駆け出してくる。


「ここだ──!」

掛け声と共に空間にて白い光球が幾つも現れ──。


「シエル様!」

『分かってる──!』

目の前の光球から縦横無尽に自分たちを分断するように光線が放たれた。


「ハハハ! 踊れ! 踊れ! 舞い踊れ──!!」

『っ──!』

そのままシュン達と距離を離されるように、誘導されるように幾つもの光線が自分の方へと焦点を絞られて放たれるようになってきた。


(シュン達は──!)

中の2人は──そのままナビ、マリとリンの方へ。

後方の2人はシュンの方へと攻撃を──。


「よそ見をするなぁぁぁあ──!!」

『こ、こいつ!』

シュンの方へ助けに行こうと移動しようとしたら、それを塞ぐように幾重の光線が放たれてくる。

かといって、光線だけではない──本人自体も木剣をたくみに振るってくる。


「はっ! 気に入らないねぇ! 大変気に入らない! なんだ、その余裕そうな表情は!」

「何が白銀だ! 軍でも貴様の話題は上がっているぞ……白銀の!」

言葉を吐き出しつつ、その精度は衰えることなく、光線を幾つも放ちつつ、木剣も振るってくる──。


『っ! 自分の名前はシエルだ! 白銀ではない──!』

なんとか状況を切り抜けようと力を込めて相手の木剣を払い飛ばしたが──追撃しようとした手前に光線が幾重にも放たれる。


「はっ! ご大層な身分だな──流石、ガイウス元帥のお気に入りか。自分の立場も分かっていないと思える」

「見ろ──! あのシュンの様を! 何が親ギルドだ。力も無い、ただの意志だけの脆い存在」


『何を言っている……?』


「こっちに着かないかって聞いてるんだ、物分かりが悪いのか? ──太刀筋も気量も度量も悪くない。 ふん、あのバルも俺には気に入らない。軍とは崇高な存在なんだ」


(ん──こいつは……)


「親ギルド派? 反ギルド派? 馬鹿らしい、俺は俺の信じる軍を組織して見せる! その為のまずは最初の布石の学内対抗戦だ。どうだ? 俺に着いて来るか? それとも、違う未来をお前は見てるのか? 白銀の──」


そう言いながら、目の前の──相手は斬りかかってくる!


『っ──! 白銀じゃない! シエルだ! お前の名前はなんと言うんだ!』

「はっ! そっか、俺もまだまだだな! すっかり名前なんてとどろいてると思っていたよ!”シン”だ! いずれ軍を”正常な軍”たらしめる存在だ!」


斬り結びながら、その相手──シンが自分の名前を告げて来た。


『シン──か、覚えたぞ!』

「それは光栄だな! それに中々やるな! ギルドのあいつ──フィンの攻撃をしのいでいた事はある。悪くない太刀筋だな」


それはどうも──と、言いつつ剣を構えなおす。

目の前を見てみたら、シンの周囲に光球が集まっていた。


「シュンが気になるか──どうやら俺には着く気はないらしいと見て良いのかな?」

『残念だけれども──そうなるね』


シンの魔力が練られていくのを感じる──。


「なら、シエル。お前がシュンを選ぶ未来を見せてみろ。お前たちの戦闘を見ていて、俺と同じか”それ以上”に勝ち抜くことへのこだわりが感じられた!」

「お前の本気を見せてみろ! ──じゃないと、シュンは間に合わないぞ?」

『シュンはそんな簡単にやられるやつじゃない! けれども──そうさせて貰うよ』


木剣を低く構えて、いつでも仕留めに行けるように腰を低く、低く──。

そのタイミングで──。


「俺は俺の信じる道を押し通させて貰う!」

シンの掛け声と共に幾つもの光球から光線がこちらへ放たれる。

そして、シンが少し遅れて仕留める為だろう──こちらへ駆け出してくる。


(視えている──こういう時の対処は……)

いくつかの対応パターンを考え付く限り、考えてみる。


(きっと、魔法にて思考加速が働いてるからこそ出来るんだろうな)

そして、それはきっとナビのサポートもあってだろう──。

ナビに感謝しつつ、自分の考えた中での”最善手”を行っていく──。


(イメージは出来ている──さっきのバルだ)


「っ!? 何が?!」

異変に気付いたのだろう、シンの困惑の声と──幾つもの光線が”墜落ついらく”していく。

当人のシンも身体が思うように動けないのに気付いたようだ。


「闇──属性!!」

「くっ! 弾けない! 俺の周囲を掌握しょうあくしてるというのか!!」


『すまない! シン──君の熱意は感じたけれども、俺には俺の信じる道がそして一緒に居たい仲間が居るんだ! そこを通して貰う!』

そのまま駆け出して木剣にてシンを一閃する。


最後にどこか笑ったような表情を浮かべながら沈むシンを見つつ──。

(シュン達は──!)


    *


ミラージュにて複数の自分を。

時には光のバリアを多用。

又は木剣の斬撃の距離を伸ばして相手への牽制けんせいを挟む。


シュンはなんとか、自分の持てる全てを行使して戦況を維持していた。

──そう、維持をしていた。

それ以上は攻勢にも出られず護りを固める事しか出来ていなかった。


『シュン──!』

「シエルか!」

何とか自身を守っていたシュンへと追い打ちを掛けようとしていた相手を斬りつけてシュンを守る。


「白銀のだと!」

「シンさんは!?」

相手が自分が来た方を振り返り、倒れ伏しているシンを確認している──。


『シュン、状態は?』

「すまん、せっかく魔力を供給して貰ったのに──ほとんど余裕がない」

『いや、持ちこたえてくれただけでも凄いことだよ』

「ははっ──シエルにそう言われると救われるわ。でもシエルは流石だな──」

そう言いながらシュンもシンの方を見て状況を確認する。


『行けるか?』

「あぁ──行くさ。覚悟はとっくに出来てる!」

目の前の相手もシンの状況を見て腹を括ったのだろう。

それぞれ木剣を構えなおして、こちらへと攻撃を──仕掛けて来た。


「お前は白銀を!」

「あぁ、お前はシュンを! ──搔き消せ!」

”搔き消せ”と言葉を出た時は相手が霞のように消え──。


「シエル! 火属性だ!」

『分かってる──!』

ナビの応用だ、水と風を合わせるのをイメージしつつ、周囲の温度を下げて一気に風を周囲に放出する。


「んなっ──!?」

自分の目の前に迫っていた相手が眼前に現れる。


『沈んでくれ……!』

驚いた表情の相手を一閃──相手は沈んでいった。


(シュンは──)

シュンの方は先のシンの応用に近いのだろうか──幾つかのバリアを展開して相手の攻撃を受け止めつつ、全力のカウンターを木剣で放っていた。


カウンターを受けた相手はドサリと沈み。

カウンターを放ったまま、シュンも膝を突くのを横目で確認しつつナビ達の状況を見る──。


    *


「おい──! どうなっている!」

「何属性持ちなんだ──?」

さっきの試合とか挙げられてる動画だと──こんな事は! と、ナビの方は相手が可哀想な展開になっていた。


(心なしかナビが魔法の確認をしている節を感じるな……、マザーの結界への干渉を調べてるのか?)

先のバルとレイの試合で確認しきれなかった点があったことを確認しようとしているのか。

ナビはどんどんと魔法を行使して相手を絡めるように追い詰めていた。


「くっそぉぉぉお──!」

「おい! 早まるな! っ──仕方ない!」

痺れを切らしたのかに1人が突っ込み、それに合わせてもう1人もサポートに動くように追随ついずいした。


「私たちの!」

「存在も忘れないでよね!」

マリがそのタイミングで──土属性で足場を悪く。

そこを突くようにリンが風魔法で速度を上げて先頭に居た相手を沈める。


「くっ! ──はっ!」

「終わりです!」

目の前の仲間が沈められた事で動揺して一瞬止まった相手に、最後にナビが駆け寄り木剣を一閃。

そうして相手チームの全員が沈んだのだった。


    *


「──────終了になります! 勝者はシエル様のチームになります!」

審判の声が響き、観客席から本日も一番大きいのでは? と思える大歓声が沸き起こるのだった。


「おい──」

ふと、振り返るとシュンに近寄って声を掛けるシンが居た。


「俺は親ギルド派も反ギルド派も関係ない。俺が思い描く”正常なギルド”を目指す。シュン、お前にはお前のやりたいことがあるみたいだな」


「あ、あぁ──」


「まったく、しまらないな──もっと、胸を張れ。このシンに勝てたのだからな。次は負けないがな──おい、シエル!」

そして、シンの視線が自分に飛んでくる。


『ん……?』


「フィンからも話は聞いてるんだろう? ギルドと同じく、軍もきな臭い。元々俺から見たらきな臭いものが更に臭うようになった。それも悪い意味でな──明日だ、何かがあると噂されてる。精々(せいぜい)気を付けるんだな」

自分に近づいてきたシンは耳元に口を寄せて、先のギルドの特待生──フィンと同じことを言うのだった。


「おい、行くぞお前ら……! もう一度仕切り直しだ!」

最後に自分たちのチームメンバーに声を掛けつつ、シンは会場から立ち去っていった。


    *


『シュン……?』


「あ、すまないシエル。──いや、俺自身がもっとギルドに向き合わないといけないと思ったんだ。シンのような存在も居ることに俺は目を背けていたのかも知れない」


『人間誰しも”自分の都合のよいことを信じやすい”って傾向があるみたいだからね、分からなくはないよ。けれども、シュンは気付けたのだろう? なら、今度から少しだけ視野を広く持てば良いって事なんじゃないか?』


「確かに。──そうだな、シエルありがとう」

シュンに肩を貸して、起き上がらせる。


「おーい! シエルくーん!」

「そろそろ退場お願いしますとの事ですよー!」

シュンを起き上がらせたタイミングでリンとマリの声が──視線を向けたらナビも会場の出入口に手を振っているのが見えた。


「行くか。ごめんな、肩借りちゃって──流石に強がり言って迷惑かけられないわ」

『お安い御用だよ、行こっか』

そして、シュンと共に試合会場の出入口まで行き──皆と合流して一先ずは本日の自分たちの試合は終わったけれども一休みするのに控室へと向かうのだった。

coming soon

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