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終わらない物語~白銀の始まり~(魔力事件……世界は終わりへと進むのか、又は歩み続けられるのか──ここから選択を始める僕の物語)  作者: 御伽ノRe:アル
≪ヒノモト≫中学編※その出会いは偶然?「もしくは必然?」

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『学内対抗戦⑲』

シエル、ナビたちも知らない中──

不穏な気配や怪しい動きはゆっくりと

そして着実に歩み寄って来ているのだった

「なんだ──この試合は……」


「レイちゃ……ん?」

シュンとリンが試合中継を見ながら言葉を零している。


「違反では無いだろうけれども──」


「ギリギリの所で維持して発現もさせていますね──」

マリとナビも”それ”を見ながら言葉を述べていた。


(これは──試合なのか?)


    *


目の前で繰り広げられてるのは、おぞましいと云うよりは危ない光景だった。


バルを筆頭に試合空間全てに重力場を発生させて、そしてレイの自己組織を最大限まで活性化させてレイの重力部分は軽くしてるのだろう──まるで、レイのみがその空間で羽を得ているように縦横無尽に動き、相手を殲滅せんめつさせていた。


(ナビもギリギリと言っているように、状況を見るだけならそうだが──)


実際、自分が見ていて感じている問題はそれ以上に深刻であり。

バルは自身の許容量以上の魔法をチーム他3名から押し上げられて発現している点、そしてレイもまた”その小さな身体”には不相応な自己組織の活性化を行使しており、あのまま続けていたら体組織が崩壊してしまうだろう──。


    *


(終わったか──、相手は特に何も出来ないまま蹂躙じゅうりんされてしまったな)

時間的には一瞬だったろう、相手も何とかしようと足搔あがいてる節が見られたが、圧倒的な力に踏み潰されてしまったようになっていた。


「…………」

ふと、シュンを見てみたら思いっ切り手を握り締めており──その手が強く握り締めているからか赤くなって──。


『シュン』


「──あっ、ごめん」

ガチガチになっている身体を緊張から解くように軽く肩を叩いたら、シュンの力も抜けたようだった。

横を見てみたら、マリもリンに対して同じようにしていたのが見えた。


『ナビ……?』


「あっ──、すみません」

ふと、そのままナビを見てみたら何かを考えてる節が見られ声を掛けてみる。


『どうした?』


「いえ──気になった点があって……」


(ふむ……)

そして、シュンとリンの力も程よく抜けてきているのを確認しつつ──ナビから気になった点を聞くのだった。


    *


『ナビも感知出来ない……?』


「はい──」

ナビの話はこうだった。

昨日の自分が言った”どす黒い魔力”と同じく学院のマザーも感知出来ていないのかも知れないと話だった。


「えっとそれは──どういうことなのナビちゃん?」

リンの問いかけに更にナビが気になった点を補足していく。


それはレイ、バルを見ていて感じた事だったらしい。

”通常だったら”許容量以上や、身体への悪影響を及ぼす可能性の魔法の行使はマザーも動いてる節が見られるのだが、今の一戦はそれが垣間見えなかったとの事。


「もしかすると──」

バル、レイさん──及びそれらに付随する特定の層は私も感知出来ない、マザーも感知出来ない特殊な”何かが”施されているのかも知れません。

そう、ナビが言いきっていた。


「シエル様は何も感じなかったのですか……?」


『えっと──』

ナビの質問に先程感じた事を話す。


「バルさんの許容量以上──レイ様の体組織の崩壊一歩手前……おかしいです。そこまで私には──」

ナビはもう一度確認するように思考の渦へと潜ったみたいだった。


「なぁ、シエル──」

ナビの考え始めたタイミングで話を”静かに”聞いていたシュンが話しかけて来た。


「大丈夫なんだよ……な?」


『大丈夫なようにするんだよ──シュン。それに皆で』

シュンの不安そうな顔が垣間見える中、シュンの肩に手を置きつつ──もう一度先の明るい未来の為に向けて自分の意思を述べるだった。


「そうだよな──すまない、なんか弱気になっちまった」


「そうだね、私たち──頑張らないとね」


「それにガイウス様、ドルマン様、ムシュタル大将も動いてくれてるから──私の方も……大丈夫なはずだから、ね」

シュン、リン──最後にマリがそっとリンの肩に手を置いて各々意志を再度固めて行く。


そのタイミングだった──。

「すみません、そろそろ準備をお願い致します」

コンコンとノックされたドア越しに運営スタッフさんの声が響いたのだった。


(次が本日最後の試合か──)


『皆、大丈夫? ──ナビ?』


「は、はい! 大丈夫です──すみません、色々と考えていました」

ちょっと落ち込んでいる雰囲気のナビが気になり『大丈夫、いつも頼りにしているよ』っと声を掛けつつ、励ますと嬉しそうな表情を浮かべるのだった。


「おーい! シエル──!」

3人とも大丈夫だと頷いて先に行っていたが、ナビの事を励ましていたら時間が過ぎていたのだろう──心配して戻ってきたシュンが自分を呼ぶ声が聞こえてくるのだった。


『ナビ行こっか?』


「はい! どこまでも──どこまでもご一緒致します!」

そっと伸ばされたナビの手を握って、そして一緒にシュンの下へと足を進めるのだった。

coming soon

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