『結びつく運命㉑』
その選択は1つの事に関してだとは、限らないのだった
「それは確かなのだな?」っと、ドルマンさんが再度、確認を取って来たので『はい』っと、答える。
「ガイウスよ、事態は大事になるかもしれん。それは、私らが思っている以上にだ」
「ドルマンさん、すみません。それは、どういうことで・・?」っと、ムシュタルさんがドルマンさんに聞く。
「考えてもみよ、ムシュタルよ。ただ1人の人間が、そんな、シエルの言うような、大量の”黒い糸”を操れると思うか?そして、シエルは言ったぞ。その息子のバルと、そして、レイが学内対抗戦の最終日のお昼頃、要は決勝戦の時が、耐えきれない総量になって、それが”トリガー”で、”何かが”起こるかも知れないと」っと、ドルマンさんは簡潔にムシュタルさんに説明する。
「ムシュタルよ、軍の方でも水面下で最悪の事態に備えて、準備をするのだ」っと、ガイウスさんの言葉に「はっ!」っと、敬礼でムシュタルさんは応えた。
「ドルマンもギルドの方は・・」っと、ガイウスさんの言葉に引き継ぐように。
「言わなくても分かっとる!信頼のおける者で構成して、水面下で備えを用意させるに決まっとるわい」っと、ドルマンさんは答えていた。
「シエルよ、お前の考えは分かった。そして、バルとレイの2人の解放の件もだ。正直、最初は半信半疑のの面もあったが、ブリッケンの野郎のお墨付きと来た。そして、先程の空間への干渉だ。あれは、俺にも出来ない。光属性と闇属性、どちらも100%に近く、魔法を発現させないと出来ない。その時点で、解放の出来る条件も満たしたとも言える」っと、ドルマンさんはこちらを向いて言葉を紡いでくる。
「バルは小さい頃から知ってる。そして、レイも。私は知っている、このリンの幼馴染みたいなものだ。上手くは言えんが、いや、それでも言おう。私に出来る助けは全面的に協力してやる、だから2人を確実に救ってやってくれ」”頼むぞ”っと、続けてドルマンさんが言ってきた。
「シエルくん、まさか、こうなるとは、私は入学を勧めるようにヒューズと話していた時は、思ってもいなかった。そして、まさか、こんな運命みたいな物を背負わせようとしている。大丈夫かね?だが、先の話でもシエルくんの覚悟は伝わってるからな。私は私の出来る助けをしよう」”任せたまえ”っと、ガイウスさん。
「シュンよ、これは父親としての話だ。気を付けて挑むようにな、そして、決して無理をしないようにだ。だが”男として、ここは譲れない”と、思った時は、どんな絶望だろうと”無理を通して”そして、突き進むんだ。大丈夫だ、お前を育てた父だから分かる。お前は出来る子だ、だが出来れば無理をするなよ」っと、ムシュタルさんはシュンに激励の言葉を送っていた。
「リンよ。ムシュタルの話ではないが、お前も無理をしないようにだぞ。お前は冷静に見えて、時に狼狽えてしまうと、隙が出来る部分がある。ちゃんと、仲間を頼るようにだぞ」っと、ドルマンさんがリンに語り掛けていた。
「お爺ちゃん!大丈夫だよ!それに、ブリッケンさんの所で、実は一回狼狽えちゃったけれども、今はもう、大丈夫だよ!」っと、リン。
「それに”信じて、大丈夫”の魔法の言葉を私、貰っちゃったから・・」っと、こっちを見て頬を染めたリンが居た。
「む?ちょっと、待て?リン・・?」っと、ドルマンさん。
(あ・・、これはヤバいかも知れない)
「ほほう。シエルくんと言っていたが、もう”シエル”っと、私も呼んだ方が・・ん?」っと、ガイウスさんの言葉を止めた視線の先を見ると。
「私もシエルくんに”信じていい”の魔法の言葉を貰っちゃってるから・・」っと、頬を染めているマリが居た。
「ふむ、”シエル”よ・・?」っと、ガイウスさんも、ドルマンさんも視線をこちらに向けてくる。
(あれ・・?自分、いや、俺はどこかで”選択”を間違えて・・はいないよな?)
(ナビさん・・?)
「・・・ジー」っと、少しだけ頬を膨らませているナビさんが、そこには居るのだった。
(「私はでも、あの時”認めましたから”何度も過去を振り返りません。私は”どんなシエル様”でも、その・・好きですから。こ、これは・・、そのしっぺかえしです。し、幸せのしっぺ返しです。私は・・」)
(あ・・、ダメだ)
ナビさんも”好き”と言ったところで、頬をピンク色に染めて、思考のバネが飛んでいるようだった。
ーーー
そこからは、ガイウスさんと、ドルマンさんに説明を求められたのは割愛しよう。
ただ、何故か、ハンネスへの作戦を話すのと同じくらいの時間と労力を割いたような気がしたのだった。
そして、暫くの間はナビも、リンも、マリも、頬を染めていたのも割愛しようと思う。
うん、割愛しようと思う。
”そういうこと”なのだ。
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