2話 荷台の中身
〜これまでのあらすじ〜
女神に「誰とでも仲間になれる能力」を授かるはずだったSo爺さんは、女神から能力を貰い忘れて異世界へと降り立った。
So爺さんは、能力が発動しない事を不思議に思いながらカフェを探して歩いていた。
1時間ほど歩き回った後、兵士が大切そうに護る馬車を見つける。
So爺さんは馬車の中身が気になったので兵士に声をかけるのだった。
2話 荷台の中身
「そーそーわしの仲間にならんかえ?」
兵士の1人に声をかけてみた。
「なんだこのジジイ…ボケてんのか…」
辛辣ぅ…。わしゃまだ80じゃぞ。
「まだボケとらんよ。そんな事よりその荷物には何が入ってるんですか?とても厳重に警備されているようですが」
そう聞くと、兵士の目が変わった。
ギロリとこちらを見つめ
「お前には関係無いだろう、立ち去れ」
「そ、そうですか。わかりました」
これは怪しいな。きっと公には見せられないものが入っているのじゃろう。じゃが…
わしにはどうすることも出来んな。能力も使えないし
「大変失礼しました兵士さん。お気をつけて」
「お、おぅ」
わしは兵士に別れを告げてカフェ探しを続けることにした。
「ふーむ。1時間探してもカフェ一つ見つからないとは…。もしやカフェがない世界なのかのぉ…む?」
なんだあれは。布?
空から布の切れ端がひらひらとわしの頭に落ちてきた。頭にひっついた布を手にとってみる。
布には赤い色で文字が書かれていた。
女神の部屋にあった辞書で、言葉の意味を調べてみる。
「ふーむ、ふむふむ」
だんだんと解読出来てきた。布から浮かび上がった文字とは
「なるほどのぉ…」
『助けて』
わしは辺りを見渡した。しかし助けを求めている人影は見えなかった。馬車を見ると、先程よりも遠くに進んでいるようだった。馬車に積まれている荷台の中から布がもう一枚出て来た。
兵士の一人が布に気づいたようだ。
布を見た途端怒りを露わにし、兵士は馬車の荷台を揺らし、大量の水をかけた。
わしは気づいた時には体を動かしていた。そして先程よりもドスのきかせた声で呪文を呟く。
「兵士さん、わしの仲間にならんかえ」
[下から睨みあげるその眼は、老いたとは思えぬ鈍い光を放っていた]
その頃、女神のいる天界では…
「ギャー!辞書が無い!財布もー!あのジジイー!」
女神が暴れ狂っていた…。