1話 So爺さん
「分かりました!貴方には『誰とでも仲間になれる能力』を授けますね!」
女神はそう言うと、くるりと振り返り歩きはじめた。
「それにしても貴方いいセンスね!この能力があれば、話しかけるだけでクソ強い騎士王やメチャ美人の王女様だって仲間にできるわ!」
女神はもう一度くるりと振り返り、話している相手の方を向いた。
「あとはそこの決定ボタンを押してもらって…」
女神が目を開けると、そこに先程までいた人物はいなかった。
「ま、まさか…決定ボタン押さずに「下界」に降りちゃったの!?」
女神は慌てて地上の様子を見渡した。
そこには…
「そーそーわしの仲間にならんかえ?」
と声をかけている先程までここにいた人物
So爺さんがいたのだ。女神は涙を流したがら叫んだ。
「いや能力持っていかないとか無理〜!!!」
1話 Soじいさん
「そーそーわしの仲間にならんかえ?」
「は?なんだこのじじい…。行こうぜ…!」
おかしい。さっきから能力が発動していないようじゃ。
わしの名前は「So爺さん」女神さまに選ばれて異世界転生を果たしたおんとし80歳のジジイじゃ。
女神さまのはなしが、あんまりにも長いもんじゃから勝手に飛び降りてきたのじゃが…。
「そーそーわしの仲間にならんかえ?」
「え?何このジジイ…初対面で超フレンドリーなんですけど…怖」
さっきからいくら声をかけても、仲間になってくれんのじゃ。
「この村の村人を全員仲間にして世界征服しようと思ってたんじゃが、ちと困ったのぉ」
こんな時にはちと休憩が必要じゃな。
女神がいた場所からとってきた女神の財布を、ポーンポーンと手の上で遊ばせながらカフェを探すことにした。
カフェを探し続けて1時間経った。しかし、全然見つからない
それどころか、だんだん村の様子はすたれていく。
ガタゴト…ガタゴト…
その時、馬車を引く音が隣道から聞こえてきた。
路地を進み、隣道に顔を出すと
4人の兵士が馬車の荷台を守るように歩いていた。
「ほほう…何かいい物を積んでるな?」
荷物に興味を持ったわしは
「そーそーわしの仲間にならんかえ?」
と、兵士の1人に声をかけたのだった。