ヴァイス様にお手紙
ヴァイスハイトは手紙でも甘い
ご機嫌よう。リンネアル・サント・エルドラドです。早速今日起きた魔力枯渇事件のことと、ヴァイス様への愛を綴った手紙をシャパリュに託します。シャパリュはすぐに行って、ヴァイス様からのお手紙を咥えて帰ってきてくれました。
「我が麗しの姫君へ。それは大変なことが起きましたね。僕は姫君の体が心配です。シャパリュ君を可愛がるのは構いませんが、あまり無理のないようにしてください。貴女はもう貴女だけのものではなく、僕の姫君なのだから。愛しています。また貴女からの愛の便りが来るのを楽しみに待ちます。貴女の恋人より。」
ひゃー、恥ずかしい!嬉しいけど歯が浮く。砂糖吐きそう!
ティラン兄様とヴァイス様に心配をかけちゃったしこれからはシャパリュの使い方に気を付けないと。
「おい、我が愚妹」
「ティラン兄様!どうかしましたか?」
こんな時間にティラン兄様が訪ねてくるなんて珍しい。
「いや、ただ単に確認に来ただけだ」
「?なんの?」
「なんでもない。…なんだ?その手紙」
「あ、ヴァイス様からもらったの!」
「見せてみろ」
「え?あ!」
私の手から手紙が奪われる。もう、強引なんだから!
「うわなんだこれ砂糖吐きそう」
私もそれ思った。
「へー、マジでベタ惚れじゃん。よかったな」
「う、うん」
「で?」
「え?」
「お前から愛するティラン兄様への感謝の手紙は?」
「すぐ書きます!」
ははははは!と笑い声が聞こえるのは無視して、頑張ってティラン兄様への手紙を書きました。
「はい、ティラン兄様!」
「おー。…愛するティラン兄様?お前あざといなぁ…へぇ、殊勝なことだな…ふーん、あの化け猫を庇うわけね…へえー、ヴァイス様の次に愛してるってか。なーるほど?」
「ティラン兄様、だーいすき!」
「ほーん。まあいいや。これで見逃してやるよ。おやすみ、我が愚妹」
「おやすみなさい、ティラン兄様。…あの」
「うん?」
「もうリンネって呼んでくれないの?」
「…」
帰ろうとしていたティラン兄様は、振り返ってこちらに歩み寄ってきた。
「ティラン兄様?」
「おやすみ、俺の可愛いリンネ」
そういうと私の額にキスをして、なにもなかったかのように帰っていくティラン兄様。
…私、もしかして、もう溺愛されてる?
兄王様がついに甘々に!