護衛騎士を選ぶことになりました!
護衛騎士は
ご機嫌よう。リンネアル・サント・エルドラドです。今日は、私の護衛騎士を選ぶ日です!…といっても、ちゃんとした護衛騎士はもう決まっていて、ティラン兄様が選んだ護衛騎士さんが身辺の警護をしてくれているのですが、そろそろ同い年の護衛騎士も必要とのことです。
ということで、さっそく騎士団の方々のご子息が私の宮のホールに集められたのですが。
「リンネ。気に入った奴はいるか?」
「そんなこと言われても…うーん…」
決められません!どうしましょう!
「…まあ、何も今すぐ決める必要もないか」
ティラン兄様が私の頭を撫でてくれます。
「お前達。リンネの心が決まるまでしばらく好きに過ごしていいぞ」
「はい!」
ということで、一時休憩です。
せっかくの機会です。みんなの素の状態を見てから決めましょう。
ー…
みんなは、自由に過ごしていいと言われているのにほとんど剣の鍛錬を積んでいます。偉いなぁ。でも何人かホールを抜け出ています。…気になるし、ちょっと探してみようかな。
…しばらく探すと、二階へ繋がる階段の下で、こそこそしている五人を見つけました。いえ、五人が一人を囲んでいます。何やってるんだろう。
「弱虫め!」
「何か言い返してみろよ!」
「なんでお前がこんなところにいるんだよ!」
「お前なんかが王女殿下の護衛に選ばれるわけないだろ!」
「さっさと帰れよ!」
「…っ!」
囲まれている男の子は何も言い返しません。…もう!
「何をしているの!」
「…っ!王女殿下!」
「…?」
私は一気に怒りをぶつけます。
「誇り高きエルドラドの騎士の息子が弱い者いじめなんてみっともない!」
「…っ!」
男の子が『弱い者』という言葉に反応します。
「も、申し訳ありません!」
「このことはティラン兄様に報告します!」
「そんな!」
いじめっ子達は何か言っていますが聞きません。
「それから、貴方」
男の子に近づきます。
「は、はい…」
喋れるのね。なら言い返せばいいのに。
「貴方を私の護衛騎士に任命します」
「えっ」
後ろでいじめっ子達がなんでそんな奴がとか言っていますが知りません。
「ほら、任命されたらどうするの?」
「あっ…はい、忠誠を誓います!」
跪き、私の手を取りキスをする男の子。そういえば、名前覚えてない…。ごめんなさい。
「貴方、名前は?」
「フォルス・トラディシオンです。リンネアル王女殿下」
「そう。フォルス。これからよろしくね」
私がそういうと、何故かぽかんとしたフォルス。なに?
「は、はい。俺…これから王女殿下のために尽くします!」
何故か急に気合いの入ったフォルス。
???
まあいいや。
「じゃあ、ティラン兄様に報告しに行こう」
「はい!」
こうして私は、専属の護衛騎士を選びました!
「でも、王女殿下。俺なんかで本当にいいんでしょうか?」
「どうしてそう思うの?」
「だって俺…親父みたいに魔法剣術の才能がなくて…」
「どうして?」
「えっと…魔法が使えないんです、俺」
え?それだけ?
「あら。平民なら珍しいことでもないでしょう?」
社会基盤の無属性魔法以外使えない騎士なんてざらにいるらしいし。
「でも!俺は親父みたいに強くはなれない!」
…ありゃまあ、拗らせてる。
「別にお父さんみたいになる必要ないじゃない」
「は?」
「貴方のお父さんがどれだけ立派な方かは知らないけれども」
フォルスと目を合わせます。
「貴方は私の護衛騎士。私のために、強くなればいい」
…。伝わったかなぁ?
「…っ!」
フォルスの目が潤みます。伝わったっぽい?
「魔法が使えないなら、その分剣技を磨けばいいのよ。私が選んだ貴方なら、それが出来るわ」
「…はい!」
「だからまずは、いじめられないようにシャキッとなさい!」
「はい!」
…その後ティラン兄様に報告しに行くと、やはり騎士団長の息子を選んだかと満足そうなティラン兄様。え、フォルスのお父さんって騎士団長だったの?なんでフォルスはいじめられてたの?
???
まあいいや。
「私のために、強くなってね。フォルス」
「頑張ります!」
騎士団長の息子




