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一国の姫として第二の生を受けたけど兄王様が暴君で困る  作者: 下菊みこと


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お友達の家族を助けます!

シャパリュの力

ご機嫌よう。リンネアル・サント・エルドラドです。今日は初めてのお友達ができました!でも、お友達のノブル君はお父さんに対してちょっと誤解があるみたいです。なのでそれを解消しようと思います!そのためにもノブル君と一緒に辺境伯領に行ってこようと思います!


「リンネ」


「ティラン兄様!ちょうどいい所に!」


ティラン兄様に外出許可と転移魔法の使用許可をもらいに行こうと思っていたのでちょうど良かったです。


「あのね、ティラン兄様!」


「リンネ。落ち着いて聞け」


「…?」


なんだか切羽詰まった様子のティラン兄様。どうしたんだろう。


「ターブルロンドのご子息。お前も落ち着いてよく聞け」


「…はい」


…なんだろう。なんだか、わからないけれど胸がざわざわする。


「我がエルドラドの癒しの森に、闇の沼地が出来た」


癒しの森。隣国アンフェールとの国境にある森。ターブルロンド辺境伯領の一部、癒しの森は、たくさんの妖精達の住処。


そして闇の沼地。あれは瘴気の塊。闇の沼地は聖女にしか浄化出来ず、浄化出来ない限りは闇の沼地から魔獣が出てくる。まだ今代の聖女様は現れていない。このままじゃターブルロンド辺境伯領が大変なことになる!


「おそらく、ターブルロンド辺境伯は持てるだけの力すべてを持って領地を、領民を守るだろう。…その後は、ターブルロンドの頑張り次第だな。下手を打つと国内まで侵入される」


…それは、まずい。我がエルドラドの民を守るためには、ターブルロンド辺境伯領で抑え込まなければ。


「…」


「リンネ?」


「ティラン兄様」


「ああ」


「私とノブル君に外出許可と転移魔法の使用許可をお願いします」


ティラン兄様は私の言葉を聞いて目が点になっています。ノブル君は口をぽかんと開けています。


「リンネ。お前はこの国の唯一の王女だ」


「はい」


「戦場は遊び場じゃない」


「うん。わかってる」


「下手を打てば死ぬこともある」


「うん」


覚悟の上です。


「それでも、行くのか」


「うん!」


「…シャパリュを連れていけよ」


「わかった!ほら、ノブル君!行こう!」


「えっと…でも…」


「いいから早く!」


こうして私は無理矢理ノブル君を巻き込みつつ、ティラン兄様と一緒に転移魔法でターブルロンド辺境伯のお屋敷に行きました。


「…?リンネ様?」


「なにやってるんだ、リンネ。お前は百合姫だ。もっと堂々としていていいんだぞ」


「そんなことどうでもいいから!しー!」


ノブル君とティラン兄様に静かにするよう言い含めます。そしてノブル君のお父さん、ターブルロンド辺境伯が兵を集めているホールの扉の前でこそっとちょっとだけ扉を開けます。


「何してるんだ?リンネ」


「ふふ、リンネ様はお茶目ですね」


「だってなんかこうしなきゃいけない気がしたの!二人とも黙ってターブルロンド辺境伯の言葉を聞いて!」


私がそういうと、二人とも顔を見合わせた後真剣にターブルロンド辺境伯のお話を聞きます。


「いいか。皆の者。これは我が国、エルドラドの威信を賭けた戦いである!」


「はっ!」


「我らが命は王の為に!我らが人生は民の為に!


そして!


我らが愛は妻と子の為に!」


私はそっとノブル君の方を見ます。ノブル君は、びっくりしたような表情です。


「我らが愛する者のため!意地でも、例え命を散らしたとしても絶対に魔獣を一匹たりとも通すな!」


「はっ!」


「では総員、配置に付け!」


「はっ!」


私達は、そこまで聞くとそっとその場を離れました。


ー…


「ノブル君、誤解は解けた?」


「ありがとうございます、リンネ様…はい、私と母は確かに父に愛されていたようです」


「この戦いが終わったら、よくお話した方が良いよ」


この親子に必要なのは、多分会話だから。


「はい」


「…リンネ、どうする?用が済んだならもう帰るか?」


「ううん。なんだか、このまま帰っちゃいけない気がするの」


「…?リンネ様、まだなにか?」


ノブル君は心配そうに私を見ます。


「シャパリュの出番な気がするの」


「えっ…怪猫シャパリュですか?」


「うん、私と契約してるの」


びっくりした表情のノブル君。


「さすがはリンネ様です」


「ありがとう。それでね、癒しの森が見える一番見晴らしのいい場所に案内して欲しいの」


「え?」


「シャパリュに魔獣を殲滅させるために」


「…!」


「リンネ、そこまでしなくても俺が出るから大丈夫だ」


「でも、どうしてもそうしたいの…そうしなきゃいけない気がするの」


私は必死にティラン兄様に訴えます。


「…本気なんだな」


「うん」


「わかった。なら、俺がシャパリュに魔力を回してやる。思う存分暴れさせてやれ」


「ティラン兄様、ありがとう!」


「…では、僭越ながら私がリンネ様をお守りします」


ノブル君が覚悟を決めたような目で私を射抜く。…そこまで言われると断れないな。


「わかった。よろしくね」


「はい!」


「なら、俺がターブルロンド辺境伯に話をつけてくる。お前達はここで待ってろ」


「はい!」


ー…


その後は、ティラン兄様がターブルロンド辺境伯に話をつけてくれて、私とノブル君とティラン兄様は癒しの森が見える一番見晴らしのいい場所に案内された。


「じゃあ、始めるよ!」


「はい!」


魔獣の出現を確認すると、私はティラン兄様にシャパリュへ魔力を回してもらいつつ、シャパリュに命令をします。


「怪猫シャパリュ。妖精の王。…すべての妖精の力を束ね、魔獣どもを殺しなさい。…屠れ」


シャパリュは私の命令に、間髪いれずににゃおーんと返す。そして、今度は癒しの森に向けてにゃおーんと大声を出す。すると、癒しの森は闇の沼地から出た瘴気を癒すように、暖かな光で満たされる。…妖精達だ!


「…すごい」


ノブル君は目の前の光景に目を奪われます。ティラン兄様は何か難しい顔をしています。


シャパリュはそのまま、癒しの森に駆けていきます。しばらくすると、癒しの森全体から魔獣たちの悲鳴、絶叫が聞こえ、魔獣が粗方片付いた頃には、妖精達の光は眩いほどのものになります。そして…。


「…闇の沼地が、消えた?」


ティラン兄様が呆然とします。


「…すごい!すごいですリンネ様!まさか我らがターブルロンドの兵を使うことすらなく魔獣を駆逐してしまうなんて!しかも闇の沼地を浄化してしまわれるなんて!」


「シャパリュの力だよー。シャパリュと契約してよかった。妖精達も協力してくれたし」


ノブル君は私をキラキラした目で見つめてきます。


「…リンネ」


「はい、ティラン兄様!」


ティラン兄様は何故か怖い顔をしています。


「…今回の、闇の沼地の浄化。秘密に出来るか?」


「え?」


「お言葉ですが、国王陛下。リンネ様の功績は非常に素晴らしいものです」


「だからだ。俺はリンネに余計な責務を負わせたくない」


「…!…失礼致しました」


「いい。気にするな」


「…えっと?」


つまり、私を守る為に今回のことを秘密にするってこと?


「…リンネ、ターブルロンドのご子息。このことは内密に。頼む」


「はい、ティラン兄様がそういうなら」


「今回の闇の沼地の件自体、なかったことにしましょう」


「そうだな、それがいい。ターブルロンド辺境伯と兵には俺から箝口令を敷く」


「お手数お掛けします…」


ぽんぽんと私の頭を撫でるティラン兄様。でも、なんでこのことを秘密にするのが私のためになるんだろう?

でも、本当にシャパリュだけの力なのか

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