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【エッセイ1話完結】就活失敗の話

作者: ワトソン

就職の面接とは自分を売り込みにアピールする場であり、それが成功したもののみ「内定」というものを勝ち取ることができる。


就活一年目そんなアピールの場であることを知ってか知らずか、俺は履歴書にあることないことを書きまくった。


もちろんあることだけ書くべきなのだが、俺はとりあえず、御社の面接を受けた理由などで、


「実家も酪農業をやっていたので、乳業系の会社に就職したい」だとか


「製品に対する工夫が素晴らしい!」だとか。


履歴書に嘘八百を書きまくった。


とりあえず、相手の会社のことを褒めときゃいいだろう、など安直な考えが俺にはあった。


そんなこんなで迎えた就職試験。


目的地に着いて終始緊張するなり、筆記試験。


数学はおそらくパーフェクトに出来たと思う。


しかし、国語の漢字などがぼろぼろで。


筆記試験をへて、


いよいよ面接。


面接官がじゃあ、2分後部屋に来てくださいと言った。


しかし、俺にそこで異変が起きた。


おしっこしたい……


そんなに我慢していた訳ではない。


でも2分後ってけっこうあるんじゃね?


とおもい、本当に暴挙でアホながら、2分以内に終わらせようとトイレへ向かった。


その間面接官は会議室で待機中。


タイムリミットは2分しかない。


しかし、思いのほかしょんべんの出が多い。


これやばいんじゃね?


しょんべんが止まらない。


止まらないしょんべん。


出て続けるおしっこ。


進み続ける時間。


そして1分以上たったときだろうか。


ようやくおしっこが終わりを迎えた。


さて出よう。


手を洗う暇なんてない。


そうドアに手をかけた直後。


ドアが開かない。


なぜだ。


まさかトイレに閉じ込められた?


一生懸命ドアを開けようとするが、ドアは開かない。


やばい。


もう2分は過ぎていこうという時間だろうか?


何度も何度もドアを開けようと試みるがしかし、ドアが開くことはない。


とそこで、トイレの洗面所に張り紙が張っているのが分かった。


そこに書かれていた内容はこうだった。


どうやら、衛生面の強化のため、手を洗わないとドアが開かない仕組みになっているようだった。


無理もない、乳製品を扱っている会社だ。


手も洗わないで仕事を臨もうとしている不届き者を排除するためのこの設備。


その不届き者の一人がここにいるわけだが。


俺は急いで手を洗い、ドアがようやく開き外へ出ることができた。


もう5分くらい経過していたと思う。


そとの廊下にちょうど面接官がいた。


「何をしている?」


「すいません、トイレの扉が開かなくて、閉じ込められてた感じです」


「手を洗わないと開かないんだよね。手を洗わないでこようとしていたの?」


「すいません」


これはダブルエラー。


トイレにいくのもエラー。


手を洗わなかったことがばれたのもエラー。


おまけに2分というタイムリミットを大きくオーバー。


この時点で面接官の心証は大きくマイナス点というかもう致命傷。


その後の面接もぼろぼろだった。


その後の面接では、


「弊社に入社したらどういうことで活躍したいですか?」


「高専で学んだ知識や技能を生かして、製造面を頑張りたいです」


「は!? 今回弊社が求人をだしたのは製造ではなく、営業なんですが……求人票は読まれましたか?」


正直求人票は読んでいない。


先生にこういう会社があるからと紹介され、そこに履歴書を出したという手筈だったからだ。


求人票も読まないでくるとか、頭イカレテル俺。


もうだめだ。


そして最後の一撃が


「弊社の製品に対する工夫が素晴らしいと書いてあるが……具体的にどこが素晴らしいの?」


あることないこと書いていた俺は戸惑った。


正直そんなの用意していない。


ただ褒めとけばいいかなって思っていて。


あほすぎる俺。


俺はとっさに、


「御社の作っているヨーグルトに入っているビフィビス菌が素晴らしい!」


などとふざけたことを言ってしまった。


ヨーグルトには普通ビフィビス菌は入ってるし、もうそれ以前の問題外の解答。


そんなこんなで、俺は初めての就職試験に落ち、その帰りの駅でも反対方向の汽車に乗り間違えていくのでした。


最後に、俺からみんなに就活のためアドバイスできることは、


トイレから出たらきちんと手を洗いましょう!


ではでは おしまい。

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