第一話 永遠の尽きの果て
私は、青い空の広がる緑豊かな森の中に屋敷を建て、そこで生活しています。
くいくいと袖を引っ張られ、後ろを振り向くと音花が心配している顔でこっちを見ていた。
「いえ、何でもないわ」
今、私に声?を掛けて来たのが、音花、唯一無二の私の永遠の親友にして最愛の家族です。
音花は無口でおとなしい娘だけど、感情豊かで、身体全体を使ってコミニュケーションをとっている。無理矢理喋らせることもできるけど、本人が嫌がることはしたく無いから、そんなことはさせてない。本人の意思は尊重すべきだよ。
最近、私はちょっとボーってすることがあるみたい。まぁ、仕方ないよね。することがないんだもん。だって、ここはもう、“永遠の尽きの果て”なのだから。
“永遠の尽きの果て”とは、消滅する寸前の状態の世界を断絶時空間結界で切り取り、そこに山や川そして森を作った世界のことです。範囲はまぁまぁ広く、国がすっぽりとはいるくらいです。
この世界の消耗は、私の精霊魔力で補われ、私が死なない限り永久的に存在し続けるという世界です。
…………じぃーー
……なんか強く見られてる……
音花、まさか、心を読んだのかな?
小さく「こくこく」してちょっとかわいい。そして、ジト目。
また、袖を引っ張って、カレンダーの日にちを指差した。
今日はリーシュ王国の戴冠式があるから、一緒に行こうって言っているみたい。
「えへへ。そうだね」
勘違いを起こす人もいるかもしれないから一応言っておこう。そう、別にこの世界から出られないわけではない。出ようと思えばいつでも出れるし、座標さえあれば戻ってこれる。ちょっとシリアス風に言ってみたかっただけなので……。
また、音花にジト目で見られた。どうしてだろう。
「いやぁ〜、もうそんな時期かぁ〜。
よし、今回もエリクサーを持って行って花火大会でも開こうか?」
音花は、首を大きく振って目を輝かせている。うむ、可愛いやつやのぅ。
……言ってみたかっただけだよ?まだ、おばさんじゃ無いよ?
また、音花にジト目で見られた。
こんな生活をしている私たちにの過去は、まぁ、ちょっと変わった冒険をしていました。それはもう、大変で、辛くて、そして、楽しかったときの……
まぁ、今も楽しいですが……
そんな時の……私が初めてこの地に降り立った時からの、長い長い日記をこの本に書き記してみるとしましょう。
差し当たって、こう書いてみるとしましょう。
ーー「昔々」とーー