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22 真相究明

『亘、今大丈夫か?』


突然、裕也からの着信が鳴り、寝起きの僕は目を擦りながら適当な返事をした。


「うん、いいけどお前今何時だとおもってんだよ」


『昼の1時だぞ』


「......」


時計を確認すると僕が思っていた時刻の5時間もオーバーしていた。


「んで、どうしたの?」


『あぁ、そうだった。単刀直入に言うぞ』


「うん」


『琴音さんが......倒れた』


「は? 待って、どういうこと?」


『そのまんまの意味だよ。さっき遥ちゃんから連絡があって、お前は電話取らないからこっちにかけてきたみたいだ』


「そんなことより、どうして倒れたんだよ」


『分からない。だから今から病院に向かうんだけど、お前も来るよな?』


「当たり前だろ。今から準備する」


裕也との通話を切ると、僕は早速準備を始めた。朝食兼昼食をとる暇もなく、さっさと歯を磨いて着替えたらアパートを後にした。


「裕也!」


「遅せぇよ、亘」


「仕方ないだろ、さっき起きたんだよ」


「マジかよ、ちょっとスピード出すぞ」


裕也はそう言うと、軽自動車を走らせた。

車内では無言の空間が続き、その移動時間は30分程かかってそうに思っていたけど、実際には病院まで10分もかからない内に着いた。


「すみません、今日ここに救急車で運ばれた桂木 琴音さんの病室はどこですか?」


「はい、えっと桂木 琴音さんは4階の304号室ですね」


僕達は軽く礼を言うと、エレベーターの方へと歩き始めた。

4階につき、病室を探していると知っている顔が見えた。

遥さんは大きな動作でこっちに来いと合図した。おそらく、あそこが琴音さんの病室なんだろう。


「遅れてすまなかった。遥ちゃん、琴音さんの調子は?」


「まだ、意識が朦朧としているわ。今のままだとなんとも言えない」


「そっか......」


「てか、なんで倒れたんだよ」


「分からないの、今日はたまたま二人で服を買いに行く予定が入ってたんだけど、なかなか来ないから直接琴音の家に行ったら......」


「倒れていたってか」


「うん、私が見つけなかったら......琴音、死んじゃってたかもって......」


「泣くなって、実際お前のおかげで琴音さんは助かったんだから」


「うん......」


それから医院長に琴音さんの状況や普段通院していたことも聞いた。

そこまで気にしてなかったけど、その時に色々な謎が解けた気がした。


あくまで考察に過ぎないが、この前の雨の日に琴音さんは友人のお見舞いに病院へ行っていた、と言っていた。

琴音さんは記憶喪失を告白する前にさらっと、走れないと言っていた。

あの時、彼女はなんで走ったらいけないのかは言わなかった。それはおそらく琴音さんの病気のせい。

だけどなぜか、それを琴音さんはストレートには言えなかった。だから記憶喪失と言って僕がそれ以上問いたださない様にしたんだろう。

この考察が正しければ、彼女にはまだ抱えているものがあるのだろう。


表では、自分で全部抱え込んでいて何にもない振りをしているが、裏では凄く心配だったり無理をしているに違いない。


全部一人で抱え込めていられているのなら人に遠回しの言い方だとしても自分の秘密を打ち明けたりなんてしない。

それに、自分の体を削ってまで琴音さんは普通の生活を送っているが、その中にもおかしいと思えることがあった。


例えば、初めて会った時の居酒屋で彼女は僕達は以外の人と同じで酒を飲んでいたけど、何故か琴音さんは水を7で、酒を3で割ったほとんど水の酒を飲んでいた。

僕は、その時はおかしな人だなぁ、と思いながら炭酸水を飲んでいたが、今思えばそれは無理をして飲んでいたんだろう。


なんでもっと早く気がついてやれなかったんだろう。そう思ったけど、今更後悔しても既に遅い。それに、もしかしたら琴音さんは僕に助けを求めていたのかもしれない......。


それからしばらく病院にいたが、その間彼女と面会はできなかった。病院から出てから帰宅するまで、裕也と遥さんの顔はずっと曇ったままだった。僕もそんな顔なんだろうか......。


ただ、胸が締め付けられて何でか分からないけど罪悪感だけが残っていた。


6月25日 午後9時17分 21歳

これからとも是非応援よろしくお願いします!


現在ブクマが97でもう少しでブクマ100に到達します! 是非ブクマ、感想、評価お願い致します!!!

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