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魔王を殺せ!!!!!!!!

 その頃ーーよりも少し前。


 お城は大騒ぎだった!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!慌てる大臣!料理長が皿を割る音!!!!!だって魔王がいなくなっから!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!古城に浮かぶ綺麗なお城がサザエさんの家みたいにボヨンボヨン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!やべえ!!!!!!魔王行方不明とか絶対国際問題だ!!!!!!!!!!!!!!!!!!7つ目ゴミw!!!!!!!!!!!!!




「ぎゃあああああああ!!!!!!」


 大きなコブを頭にこさえた魔王キクコは、絶叫した。

 砂煙がはれきった。

 思わず顔を覆う

 キクコの目の前にあるは、血を流す男の姿。


 ーー10人の男たちが、たった1人の剣士に斬られた


 目にも留まらぬ斬撃だった

 斬られた者たちは、斬られたことを理解出来ず、しばらくの間立ち尽くした。

 それほどだったのだ。




 血に染まった刀を持つやすけ)の背中に、キクコは恐怖を覚えた。




 キクコの額に浮かぶ脂汗。

 震える唇。

 脳裏にぎるは、城を飛び出す直前に受けた7つ目の警告だ。




『外になど出れば、少なからず貴方は命を狙われてます……!』


「……あ、あんさつ………」


  キクコは呆然とそう言った。

  「ーーん?誰だお前?

  …しかし……こいつら急に襲ってきやがって…」

  、弥助が言った。


  (この男、

 誰かが差し向けた刺客だ…

 わたし、こいつに殺される……)

  キクコは思った。

 

  *

  ーー斬られた10の男たちは、

  未だ、地の上に2本の足で立っているーー

  *

  ーー斬られたことに気づけていないのだーー

 

  ーー不快に釣り上がる眉、リーダー格の男の眉ーー


  ーー妙に痛む脇腹を抑えた男の、

  手の平に、真っ赤な体液が付いたーー

  *

  ーーその視覚と触覚の訴えが

  “斬られた”ことを遅まきに脳に伝えたーー***……

 

  「 危ないだろ

  ……死にかけたぞ…」

 

  弥助もまた、腹を抑えた。

  10の男を一度に斬ったが、

  1人ーー恐らく長であろう男の刃が、

  弥助を切り裂いたのだ。

 

  「あーあー…最悪のやられ損だ。

  メシ奢ってもらった運もチャラかよ……」

 

  弥助がそう吐き捨て剣を鞘に収めるのと、

  肉塊と成り果てた10の人間が地面に倒れるのは

  同時だった。


「ーーところでお前…。

 何で空から降ってきたんだ?」


 全て斬った。

 しかし、脇腹が酷く痛む。


 達成感と苦痛は、弥助の右の頬骨をひどく持ち上げた。

 弥助は空を見上げながら、小さな少女にそう問うた。


 弥助が少女を【見下ろして】いる。


 ーー少女はガタガタと悪寒に肩を震わせる。

 助けを呼ぼうと、喉を震わせた。

 もう城の外で味わう自由など懲り懲りだと思った。


 魔王である自分を殺し、魔族と人との終戦の儀を阻止しようと考える者たちがいることは、知っていた。幼い少女といえど、頭では理解していた。だが、まさかこれほど呆気なくーー暗殺者と相対するーー現実が訪れるなど、考えなかった。


 幼い少女は、今まで常に多くの者に守られて生きてきたのだから。




「……なんか言えよ。

 おい、空から降ってきて無視はないだろ、謎の答えを教えてくれよ、なっーー」


「ーー!?」


 弥助の返り血を浴びた左手が、

 ポンとキクコの肩を持った。


 キクコの肩がびくりと震える。

 足がすくむ、今にも倒れ込んでしまいそうだ。


(______)


 キクコは、歯を食いしばった。

 喉の奥、胃から灼熱が込み上げてくる。


(わたしは……何をしておるのだ…。

 生まれながらの龍が、なんと情けない……)


「わ、わたしを殺すつもりか俗め!!!

 ーーーー龍乃息吹(ドラゴンブレ〜〜〜スッ!!!)」


 キクコは火を吹いた。

 未だ幼い、所詮幼体人型の口から吐き出されたブレスは、ロウソクの火ほどだったが、目の前の悪漢を驚かせるのには十分だった。


「…………!!

 いきなり何しやがる、ガキてめえ喧嘩うってんーー!!!!!」


「ーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 キクコが叫んだ。


 ただそれだけで、路地裏のトタン屋根が剥がれ飛び、

 弥助の鼓膜は7回ほど破れそうになり、

 ーー国中に響き渡るほどのーー、助けを呼ぶどう猛な龍の鳴き声だった。


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