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☆:文化祭-1-


あたしが転校してきて初めての行事は、

「文化祭」だった。


まぁ文化祭って言っても展示をしたり、劇をしたりするだけなんだけど。


ちなみにあたしのクラスは

「展示」で、

プラネタリウムをやることになっていた



「ねぇー加藤!!こっち手伝ってよぉー」


女の子特有の甘い声が飛んだ。


加藤っていうのは正太の苗字。


正太は背はあんまり大きい方ではなかったけど、野球部ってこともあって

ガタイは良かったから、力仕事の時には引っ張りだこだった。


「ちょっと待って!これ終わったらすぐ行くから」


正太はその女の子に向けて、屈託のない笑顔を向けていた。


あたしの中で何かがつっかえた気がした。


それに運悪くあたしはプラネタリウムの本体作成部隊で

正太は展示物作成部隊だったから、話す機会も少なくなっていった。


そんな中であたしに声をかけてくる男の子が居た。


その名も

「池ちゃん」

頭がよくて、サッカー部のキャプテンで、性格もいい非の打ちどころがない完璧な男の子。


でも一つ欠点は、背が小さいってこと。


それは自分でも自覚してるようで、身長の話は池ちゃんの前ではタブーになっていた。


そんな池ちゃんはあたしと同じ本体作成部隊だったからよく話してた。


作業をするのも忘れて話し込んでいた時もあった位に。


池ちゃんはあたしにとっていつの間にか

「親友」という位置付けになっていた。


池ちゃんには何でも話せたし、話してくれもした。


もちろん正太の事も相談した。


色々話してて分かったのは、正太にとってあたしは

「友達」

以外の何でもないってこと。


なんでも正太には好きな人が居るらしくて、その子以外は見えないそう。


あたしに勝ち目はないって事。


何となく分かってたけど、現実に言われるとショックな部分も多かった。


落ち込んでるあたしに池ちゃんは温かく接してくれた。


その温かさがその時のあたしにはとても心地よかった。


そんなことをしてるうちに文化祭の準備は着々と進んでいった。


始めは何となくしか出来てなかったプラネタリウムも今では立派な物になっていた。


あとは明日の本番を待つだけだと意気込んでたあたしに、誰かが話しかけてきた。


振り返ってみるとそこには、あたしが求めてる人物がいた。


坊主頭に黒い肌、細い眉毛に優しそうな瞳。


正太が話しかけてくれた。


「おぉー!!すげぇ。お前らよくここまで仕上げたな!!まじすげぇよ」


オーバーな位のリアクションで褒める正太にあたしはちょっと苦笑いをした。


「正太は大袈裟だよ!でもありがとね」


あたしがそういうと正太は太陽のような笑顔で笑ってくれた。


あたしはこの笑顔が自分だけの物になればと、願わずにはいられなかった。


その後もあたしと正太は延々と話していた。


すっごく楽しくて、このまま時間が止まればいいのにって思ったりもした。


本当に幸せな時間をあたしは過ごしていた。


でもこの時あたしは、2人を見つめる人影に気付かずにいた。


明日はいよいよ文化祭当日。








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