第5話
うむむ長引いてすいません...
いい加減船載せたいんだが...
少し躊躇して置いていかれそうになった私は慌てて酒場に入った。
酒場の中に入ると喧騒に身を包まれた。
屈強な男たちばかりと思っていたが...。
中で歓談する人たちの中には伝統的な商人衣装を着たふっくらした人もいれば、メイド服?を着た女性もいる。
そうして、ふらふらと歩いているとアゼリアさんを見つけた。
彼女は私を見ると手招きをした。
近づいていくと、アゼリアさんの隣に柱の陰になっていて見えなかった位置に1人の老紳士がいるのが見えた。
「......そう今日はこの子をチェレヌ銀河のダグタユニオンまで連れていく為に、何か方法がないか聞きに来たのよ。」
「ふむ。それでしたら、この間買い付けたペルシアン型駆逐艦がありますよ。古いとはいえ軍用艦ですから頑丈さは保証いたしますよ。」
「あ、えと....」
話についていけてないのを見て、アゼリアさんが苦笑して、
「紹介を先にすべきだったわね、セヴァン・チャルカット、今は流れの商人をやってる人よ。」
「ええ、ご紹介の通りセヴァンと申します。とはいえ私としてはセバスチャンと名乗りたいところですがね。」
「セバスチャンさん?」
「ふむぅ、通じませんか...創世記の一部の文書には職業を表すものでしたが...。まあ仕方ありません、セバスとでもお呼びください。」
「わかった!」
「元気があるようで何より。」
そう言って私に笑いかけると、アゼリアさんの方に向き直って、
「それでどうしましょうか、宇宙港に船がありますからすぐにご覧になりますか?」
「ええ、そうしましょう。」
そう言って、机の上の果実酒を飲み干して連れ立って移動する。
地上部分にある受付に行くと4時間待ちという表記がホロディスプレイにあった。
「みんなこんな待つの!?」
「ああ、クリアランスについて説明してなかったわね。」
そう言うとアゼリアさんは一通りこのように説明してくれた。
・クリアランスは一定の資格を持つ者にlv1からlv10まで段階的に付けられている
・最下級、それこそ犯罪者でも利用できる資格だとディスプレイの二倍は時間がかかるが、上位の資格を持っているとすぐに乗れたりするらしい
・軌道エレベーターだとおおよそディスプレイに書かれている時間は下から3番目の市民階級なら誰でも使える資格で乗れる
・基本的に人類の現在の政府機関だとlv7までが認定する限界でそれ以上のアクセス権限は、一部の特殊機関に限られる。
・その一部特殊機関でも認定はlv8が限界でありlv9以上の資格は認定方法が失伝してること。
・この資格を管理していた帝国航宙管理機関は、帝国崩壊と共に起こった大戦により消失した為何も残っていないということ
・ごく一部の銀河ではその認定方法がわかっているようだということ。
「なるほど。その管理機関はオンライン上にデータ保存してなかったの?」
「セキュリティ上の問題で全部スタンドアロンにしてたらしいからね。まあ今回はセヴァスに同乗させてもらうからすぐ乗れるけどね。」
「ええ私はlv4権限を持っているので、おおよそ1時間ほどで乗れるようになりますよ。」
そうして、暫く時間を潰してから軌道エレベーターに乗った。