第2話
一話目の前書きで書き忘れたのですが、できるだけ頻繁に更新しようとは思うのですが、衝動的に描き始めてしまったので、ストックもなく定期更新は期待しないでください(汗)
ルナが隠し通路を抜けると地下の下水道に出た。
そこを通り抜ける道すがら、ルディが言っていたことを思い出す。
ーーいいかいルナ、もし何かあったら僕に構わず軌道エレベーターの東にあるディチェットという店に行くんだーー
ーーそこの店主は昔馴染みでね、何かあったら僕の名前を出せば受け入れてくれるよう伝えてあるからーー
下水道を抜けた先は町の郊外のスラムの中であった。
ルディがいつ追いついてくるのか心配になりながら、家から持ち出してきたフロートボード(小型減重力装置と圧縮空気をつけたスケートボードの様なものではっきり言って浮きはしない)を組み立てて、遠くに見える軌道エレベーターを仰ぎ見つつ、その東へ向かって地面を蹴ってボードを走らせた。
西から立ち上る黒煙を振り切るように。
そうして、スラムを通り抜けて駅へと向かい軌道エレベータ行きの便に飛び乗った。
3時間ほどかけて軌道エレベーター直下の駅に着くと、元々抱いていたイメージとは違い綺麗な街並みが広がっていた。ルディの話では航宙者はアウトローが多いという話であったから、スラムのようなものだろうなあと思っていたのだ。
そうして、もう一度フロートボードを取り出し東西南北にまたがる大通り沿いにルディの言っていた座標に向かって數十分ほど走ると少し寂れた街の角に、元はDechetという名前であったのだろう看板を掲げた3階建ての店?のようなものがあった。看板の先頭のDeが剥げて後ろ二つ目のeのインクが垂れ下がりchatとなっているのに、少し笑った後気を取り直して改めて店の前に立ち、静かにドアを開けて見た。
中は小型機械からよくわからないツボ、謎の魔法陣の書かれた布や鍋や包丁などの日用雑貨まで置いてあった。しかしカウンターに人は座っておらず、不思議に思い表に出てドアにかかっていた札を見て見るとやはり開店中と書いてあった。
「すいませーん!」
声を張り上げて見たが、店内は静まり返っており、聞こえてくるのは外の鳥たちの鳴き声ぐらいであった。
………いないのだろうか。特に何の反応も無く、店内を見て回っていると、店の裏口のロックが解除される音が響いた。
「あ゛あ゛疲れだー。あのジジイ余計な荷物積み過ぎだっての。」
薔薇のような綺麗な赤い髪をした女性が、見た目にそぐわない声を出しながらカウンターの裏に大荷物を持って入ってきた。奥の机に寄りかかっていたが、店内に居るルナに気がつくと、さっきとは打って変わって。
「あら、お嬢ちゃん何探してるの?ヘアピンとかの小物は右奥の棚に纏めてあるわよ。」
と、声を掛けてきた。
「ルーデンス・カルディナスにここに来てくれって言われたんですけど…」
言う内に少し不安になって言葉が尻すぼみになってしまった。
だが、しっかり聞こえていたのか、商売用であろう笑顔から一転して真剣な顔になって、
「ルーデンスがそう言ったのね?」
頷いてそれに返事を返すと、
「じゃあ、彼から受け取った荷物はある?」
「えっと、一つだけ。」
そう言って彼のリュックを渡すと、彼女は慎重にその中を改めアゼリアへと書かれた一つのデータチップを持って階上に上がって行った。数分して、彼女が戻ってくると、
「今日はうちに泊まっていきなさい。ルディがいつくるかもわからないしね。」
そして、私を二階に連れて行き客間であろう部屋に案内したあと、
「ここにあるものは自由に使っていいからね。」
と言って、外出して行った。
部屋を自由に使ってもいいと言われたが何かをする気分にはならず、家を飛び出た時の事を思い出していた。
家に押し入ってきた人達は私が金眼だという噂を聞いて押し入ってきた様だけど金眼が何を指し示すのがよくわからなかった。完全に逃げる前に聞こえた何かの証ということぐらいしかわからずじいっと考え込んでいると、緊張の糸が切れたのか一気に眠気が襲ってきた。
完全に眠りに落ちる前に慌てていて体が汗でベタついているのに気がつき、眠い目を擦りながらシャワールームを探した。家の中を見回って見ると意外と近く、部屋を出てすぐのところにあったシャワールームで体を洗ったあと、そのままベッドに入って寝入ってしまった。