和歌・返歌
この花の
一枝のうちに
百草の
言そ隠れる
おほろかにすな
(藤原広嗣 万葉集1456)
”この枝には数えられない位の私の想いーー言葉が詰まっているのですよ。
だから、真面目な気持ちで受け取りなさい”
(*最後の『すな』は、断定的で言い切った表現)
女性のことを想いすぎて自分のことを見て欲しい、お願いするというよりは強気で迫っている
言葉=その人の思想、人柄の一部
その言葉の向こう側にある人の気持ちを想像して
「男らしい」と思う人
「強引で少し勝手」と思う人
「上から目線」と思う人
女性の受け取り方も様々でしょうか
・・・・・・・・・
この花の
一枝のうちは
百草の
言持ちちかねて
折らえけらずや
(娘子 1457)
”貴方の言葉と気持ちは重々しく感じてしまいます
そのせいか枝が折れてしまったのですよ・・・”
強引な誘いを受け入れることが出来なかった、娘子の藤原博嗣への返歌
相手のことを想う気持ちは自分の中では深くても良いでしょうね
でも、その言葉を発してしまうと戻すことが出来ない
人によっては押しつけがましいと拒否されてしまいます
・・・・・・・・・
私も娘子に共感します
ストレートすぎる強引な気持ちよりも、もう少し柔らかい誘いの方が好きです
藤原広嗣の和歌が良し悪しではなく、その中に含まれた気持ちについては私は「好き・苦手」ということです。