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セシリア

6/4一部、修正しました。村長とかの関係がわかりにくかったので。

「セシリア!早く水汲みに行っておいで!早くしないと痛め見るよ!私は忙しいんだからさっさとしな!」

「はい!奥様、申し訳ございません。」

彼女は朝から、水汲みに出かけた。

ここは、ブリュンテ帝国の帝都から離れたこじんまりとした村だ。

村人といっても、60名ほどしかない。

セシリアは、その村の元村長が買った奴隷であり、現在は、元村長の嫁の持ち物となっている。村長は1年前に他界した。現在、家には、その嫁と2人いる息子の内の1人とくらいしている。

そして、セシリアは今日も朝から膨大な仕事をさせられていた。

「がんばらないと、がんばらないと」

セシリアは今年で13歳になる少女で髪はブロンド、目はブルーで、とてもかわいらしい顔をしている。おそらく、大人になったら相当の美人になるだろう。しかし、体の方は、とてもやせていてガリガリな状況だ。彼女の種族のエルフの特徴でもあるのだが、あまり、食事をできていないのが大きな原因である。

セシリアが川につくと、抱えてきた桶を川へ沈め水を汲み始めた。

「いたっ!」

桶を沈めた際、昨日、暴行を受けてできた手の傷にしみたのである。

とても痛々しい傷である。

痛みを我慢し、桶に水を満たすと、再び、村の方へと帰っていく。この仕事を、毎日、10往復はしなければならない。骨が折れる作業だ。

「奥様、水汲みが終わりました。」

「まだやっていたのか。そのあとは、洗濯と掃除だよ。早くしな。あと、飯はそこに置いてあるからさっさと食べて仕事に戻りな」

「わかりました」

ふと目を向けると、お椀に雑炊のようなものが入っている。非常に貧しい食事だ。

帝国は、他国との争いが絶えないため、度重なる軍事費の出費により、国民に対する税が重く、だれもが困窮している状況であった。セシリアのような奴隷がその波をもろに受けるのはわかりきっていることである。


セシリアは、その雑炊らしきものを食べ始め、すぐに食べ終わった。

その後、お椀を片付けたあと、すぐに掃除と洗濯にかかった。

セシリアが家の掃除し終わろうとしていた時、急に外から騒がしい鐘の音が聞こえた。

カン!カン!カン!カン!   カン!カン!カン!カン!   カン!カン!カン!カン! 

その鐘の音は、村へに危険が近づいていることを表す鐘の音であり、物見やぐらの鐘だ。

セシリアは、驚き、状況を把握しなければならないと思い、こっそりと外に出てみた。

外は慌ただしい。

遠くで

「盗賊が現れたぞー!」

っと聞こえてきた。

セシリアはそこで状況を理解した。

盗賊がこの村を襲いに来ているのである。おそらく、数分後には、この村に盗賊が雪崩混んでくるだろう。避難が必要だ。

セシリアは奥様を探し、指示を仰ごうとしたが当たりを探してもいない。

このあたりにいないのであろう。セシリアは気を聞かせて、後で奥様へお渡しするための大切な金品を最低限と食料を持ち家を飛び出し、避難をした。

もう少しで、村を出れるところで、セシリアは声をかけられた。

奥様である。

「セシリア!何しているのさ!そのネックレスと食料をもって!」

「奥様、奥様が大切だと思われたものをいくつか持って逃げてまいりました」

「そうかい。あんたはたまには役立つね。」

「ありがとうございます」

「早く、貸してごらん!」

奥様は、セシリアからすぐに宝石類を奪い取ると。さっと確認し始めた。

セシリアとしては、逃げ出すことを優先したかったが、奥様の重要なものだとおもい、言葉を飲み込んだ。

「セシリア!あの指輪がないよ!私宛に、この前の夜、帝都の息子から届いた指輪が!」

昼間、奥様とセシリアは同じ屋根の下にいるものの、会話をほとんどない。また、セシリアが寝泊まりしているのは納屋であったため、そのような会話を聞けるはずもない。

「セシリア、いいかい。指輪は木のタンスの2段目の引き出しにおいてあるんだ。それをとっておいで」

奥様は淡々とそう言った。一瞬、セシリアは耳を疑ったが、冗談ではないとすぐに分かった。

セシリアの命よりも指輪の方が大切なのだろう。

「先に私は、避難しているから、セシリア、必ず持ってくるんだよ。いいね。行っておいで!」

セシリアは、その言葉を聞くとすぐに家に向かい走りだしだ。

心の中では全く納得いっていないが、聞かざるを得ない。なぜならば、セシリアは奴隷であり、その奴隷契約によって、主人の命令に反せないからだ。

家へ戻る途中、セシリアの目には大量の涙がこぼれていた。

「(お父さん、お母さん、私を助けて)」

奴隷になる前は、セシリアもちゃんと、両親と一緒に過ごしていた。仲間もいた。

しかし、セシリアの住んでいた村は、同じように盗賊に襲われ、奪われ、囚われ、殺され、ちりじりとなってしまった。セシリアの種族であるエルフは大変、美しく、魔法特性も高い。また手先が器用だ。そのため、盗賊に襲われる格好の獲物となったのである。そのときセシリアは命からがら逃げだせた。両親の命と引き換えに。父は盗賊と果敢に戦い、母はセシリアを逃がすため、家宝である魔宝石と大量のMPを使用し転移魔法行いセシリアを逃がした。

セシリアは走りながらその時の情景が思いだしていた。

父さんの「セシリアー!逃げろー!」という叫び、

母さんの「強く、誇り高く生きるのよ。父さんも母さんもあなたを愛しているわ。」という言葉。

セシリアは両親とともにいることを主張したが、その願いは聞き届けられず、セシリアは転移魔法の中へ消えていった。

後日、村は殲滅したことをしり、セシリアは生きる気力なく、息倒れていたところを奴隷商人に拾われ、その後売られ、現在の村に住んでいるのである。


ちょうどセシリアが家に到着し、中に入ろうとしたところ、服をつかまれ、後ろに引き飛ばされた。

「痛っ!!」

セシリアは自分が、飛ばされたことに気づき、周りを見渡すと、周りには盗賊たちがいた。

「嬢ちゃん~かわいいね~」

「たまらないぜ~」

盗賊たちは、セシリアを見つけ近づいていき、洋服を破り始めた。

あまりの恐怖にセシリアは声を上げようとしたが、まったく声が出ない。

「(このまま、私は、どうなるの。お父さん、お母さん助けてーー)」

盗賊たちが少女へ群がろうとしているとき、急に男が近くに現れた。


「ねぇ~あんたたちなんしてんの??(怒)幼女虐待反対なんだけど(怒)」

そこにいたのは、まぎれもない、田中徹その人である。


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