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レイ side

長時間労働が少し解消されました。さしぶり湯船につかりました。うれしいです。

涼しい。

風が心地よい。

最近、大分暑くなってきた。

私は、今、トールさんの馬車に乗っている。

この季節になってくると箱ものの馬車の中は居心地が悪くなってくるのだが、この馬車は快適だ。

そうさせないのは、恐らく、この馬車の中にある、あのマジックアイテムのお陰だろう。

そんな中、トールさんは、何かを作っている。

「あっ!あちちち!あっつーーー!」

今度は、マジックアイテムでも作る気なのか?

この人は正直、底が見えない。

ただし、悪い人ではない。

いや、いいひとだ。

それは、セシリアちゃんを見れば一目でわかる。

あのように生き生きとした奴隷は私は見たことがない。

あのように輝く瞳、屈託のない笑顔。

通常、奴隷は奴隷契約に縛られ、自由がない。

奴隷の生活は、主人しだいで180度変わるっと言っていい。

大概の奴隷がつらい生活を送っている。

加えて、セシリアちゃんはエルフ。

亜人だ。

国によって差はあるが、人の国は、エルフ、ドワーフ、獣人など亜人を蔑む傾向がある。

その中で、あれだけ笑顔で旅が出来ているセシリアちゃんは、幸せな奴隷だろう。

両手に刻まれている奴隷紋が嘘のようだ。

エレナも私も奴隷に対する偏見や差別はそこまでないが、この国の臣民は奴隷に対する偏見や差別が強すぎる。

私が奴隷あったのならば、この国にはまず売られたくない。

あっでも、トールさんの奴隷ならなってもいいかもしれない??


まぁそれはおいといて、今、私は、先日もらった剣の手入れをしている。

準災害級モンスター、オーガジェネラルを素材とした剣。

名剣にふさわしい風格を備えている。

非常に美しい。

色は純白であり、刀身から刃に近づくにつれ輝きを増す。

また、使用感も問題ない。

ここまでくる途中、なんどかレットウルフ達と戦闘になったが、なんの抵抗もなく切り捨てられた。

余りの切れ味に伝説に出てくる名剣ではないかと思ってしまうぐらいだ。

形は、少し小さく細めのバスタード。

私の体格にあった形と大きさにトールさんが作ってくれたのだろう。

大切にしよう。

因みに、エレナの武器も同じ素材からできているが、あいつ型はファルシオンに近い。

確実に私の剣の方が格好いいと私は思っている。

エレナもエレナで自分の剣が気にっているようだから、そんな無粋なことは口には出すまい。

さらに、今付けている防具も素晴らしい。

剣と同様、回復機能がついており、半永久的に使用できる代物だ。

恐らく、この武器や防具から他の武器や防具へ買い替える日はまずこないだろう。

しかし、このすごい防具だが、一つだけ不可解なことが起きた。

それは、先日まで青色だったのだが、一晩で色が変わったからだ。

もともと青色だったのが、私の場合、藍色になった。

私の分はそこまで大きな変化はなかったが、エレナとセシリアちゃんとトールさんの防具は激変していた。

エレナは、煉瓦の色に変化し、セシリアちゃんは、ライトグレーに変わっていた。

そして、トールさんは、ダークグレーになっていた。

それぞれ防具も着用者に合わせて形作ってあった。それに加えて、色も着用者に合わせて変化したので皆しっくりくる。

恐らく、魔力の影響もあるのかもしれない。

私はそう思った。

それにしても、トールさんとの旅は、驚きの連続だ。

武器や防具、魔法。

どれもでたらめすぎる。

何をどう鍛えたらあなるのだろうか。

才能あるものが努力を重ね続け、頂きに到達したほんの一握りの人物なのだろう。

私も小さなころから剣を鍛えてきた。

才能がない私にとってはつらい日々であったが、今では師匠や兄弟子達そして、修行の日々に感謝をしている。

師匠、今を何をしているのかな。

元気にしているだろうか。

師匠には道場を飛び出して以来あっていない。

体調を崩されていないだろうか。

ふと、あの道場が恋しくなった。

オーガジェネラルの怖さに当てられ哀愁を感じているのか、私。

はぁ、ダメだな私って。

そんな弱い自分が嫌になる。

しかし、ここまで来て後には引けない。

私が剣を握り続けてこれたのは、顔を知らぬ両親に会う為だ。

「レイ!レットウルフとレットウルフリーダーが出た!出れるか!」

赤子の頃、道場に拾われた私。

己を証明出来るのは、私と一緒においてあったペンダントとペンダントに刻まれた私の名前。

本当は捨てられたのかもしれない。

「トールさんでれます!」

親の愛があったにしろ、なかったにしろ、一目会いたいと思うってしまう私がいる。

「わかった!気を付けていってこい!」

どうしたら会えるのか。

「わかりました、何かあった時はちゃんと守ってくださいね」

その答えは単純なことだった。

「わかった、わかった」

自分の名を天下に知らしめること。

「エレナ行くよ!」

自分の名を両親に知らせること。

「お二人とも気を付けてくださいね!」

それが一番の近道だと私は思った。

「おう!レイ!どっちが多く狩れるか勝負だ」

決して楽な道ではないだろう。

「私に勝てるとおもっているの、あなたにはまだまだ負けないわ」

しかし、私は負けない。

食らいついてやる。

そして、天下に知らしめるのだ。

「疾風の剣」「レイ・アーネット」の名を。


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