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冒険者登録

行軍は特に問題なく、行われ、ザバス大将軍隊は、タンザスの町の付近まで来ていた。

ちょっとの間だったが、徹とセシリアと第3隊の兵士たちは、いろいろな話をしたり聞いたりとかなり打ち解けていた。

「とても大きいですね、あれがタンザスですか」

「あぁ、あれがタンザスの町だ。このタンザスは、帝国では、5番目に大きく堅牢な町で有名だ」

「へ~、確かに、大きいですね。特に、町を囲んでいるあの壁が大きいですよね」

「あぁ、そうだな。この地方のモンスターは基本的にはおとなしいモンスターで、凶悪なモンスターが出ることはあまりない。しかし、昔、この地方に災害級のモンスターが出たため、それがきっかけであのデカくて丈夫な壁を作ったときいている。当時の城主がビビりだったんだろうな!ただ、タンザスは、リ・トゥルーサ王国と最も近い都市であるため今では、帝国の最前線都市と言っても過言ではない。まぁ結果良ければ全て良しってところだろう。はははは」

「勉強になります」「勉強になります!」

徹とセシリアは、カンザスの街の状況を兵士からいろいろと伺った。そのような話をいしていると、いつの間にか町の門の近くまで来ていた。

「さて、兄ちゃんっ達、そろそろお別れだ。結構楽しかったよ。いつもなら、腐ったような顔のこいつらと無駄話をするだけなんだが、兄ちゃん達のおかげで行軍が新鮮だった。ありがとう!また、あったら、今度は飲みにでも行こうぜ!」

「いえいえ、こちらこそありがとうございます。大変勉強になりました」

「ありがとうございます!」

「是非、その時は、俺に奢らせてください」

「おー!楽しみにしてるよ!兄ちゃん達が一流の冒険者になって、がっつり稼いだ時に奢ってくれよ!今頃いうのもなんだが、俺は、パトゥースって言うんだ」

「トールです」

「セシリアです!」

「トールとセシリアか、覚えたぜ!また、会おうな!」

「「はい!」」

二人が兵士たちと別れのあいさつをした後、荷台からおり、民間人が入る門の方へ移動した。徹は、気さくで、心温かい、パトゥースや兵士の仲間、大将軍、プラント参謀と出会えたことを幸せに思った。

「(また、どこかで遭えるといいな)」

「また、会えるといいですね!」

「そうだな、また、きっと会えるだろう」

徹はセシリアとそんな会話をし、町の中へ入っていった。

町に入った二人は、あたりを見回した。町は、静かで、活気がない。帝都で5番目の規模であるにも拘らずだ。

「トール様、活気がないですね」

「そうだな。みんなどこにいるのだろうな」

「はい、恐らく、みんな自宅の中にいて出てこないのだと思います」

町は静かであるが、道端にはちらほら浮浪者がいる。また、恐らく、ストリートチルドレンだろう。こっちを見ては、逃げて行ってしまった。

「そうなのか。まぁ、取りあえず、冒険者登録を行い、馬を確保し、食料を買い込んだ後、直ぐにここを立とう。あまり、時間にも余裕がないしな」

「申し訳ございません↓」

セシリアはシュンとしてしまった。

「いいんだ!俺が好きでやっていることなんだからな!気にするな。大丈夫だ。お前は必ず、助けてやる!」

「ありがとうございます。トール様!」

セシリアは、目をウルウるしながらトールへお礼を言った。

「(これは死んでも助けないといけないな。俺の命に代えても助けてみせる)気にするなよ!」

徹は、再度、決意し、セシリアを助けることを心に決めた。


徹たちは、大通りを歩いていると、レンガ作りで丈夫そうな建物が見えてきた。4階建ての大きさで、入口には、弓と剣がクロスした看板がかかっている。

「トール様!あれが冒険者ギルドです!あそこに行きましょう!」

セシリアがそういうと、徹の手おとり、引っ張ってギルドの方へ案内した。

「(あれ!?こんなに積極的だったっけ?冒険者ギルドファンなのか?しかし、手が柔らかい、ふふふ)おおーわかった、わかったよ。引っ張るなって」

徹は、うれしい気持ちを押し殺しつつ、冒険者ギルドへ入ってい言った。

ギルドに入った徹たちはあたりを見渡した。日本に居た頃に想像していたギルドとはだいぶ違う。中は暗く、危なげな男たちや艶やかだがどこか危険を感じさせる女たちなどがフロアのあちこちにいた。冒険者たちである。その冒険者たちが、一斉に徹とセシリアを見た。冒険者たちは徹たちを見た後、子供だったためか興味を失い、入る前の状態に戻った。徹たちも、視線に驚いたが、皆がすぐに興味をなくしたのを気づいたため、安心し、冒険者の登録カウンターへ移動した。

「トール様」

「なんだ?」

「少し怖いです」

「大丈夫だ。ちょっと待ってろ」

「はい」

「すみません、冒険者登録をしたいのですが」

「あぁお前がか?」

「はい」

受け付けは、50過ぎの感じの悪い親父である。先ほどまで椅子に座って本を読んでいたが、読書を邪魔されたのが気に入らないのか機嫌がわるい。

「登録するのは自由だ。じゃ、この登録用紙に記入しろ」

そういうと親父は、登録用紙とペンを徹に渡した。登録用紙には、名前、種族、特技という至ってシンプルな記載項目だった。

「(えーっと、名前は、徹っと。そういやこっちの世界じゃ発音しにくいのだろう。トールと書いておこう。種族は人間、特技は、剣・槍っと)書きました」

そう言って、登録用紙を渡すと親父は用紙を受け取り、何かの機械へ差し込んだ。

「次に、お前の血をこの球に垂らせ。そこの針を使え。」

そう言うと、親父が、顎で針のある場所を刺した。

「そこに血をたらせばいいんですよね?(たぶん、あんな針俺には刺さらないな。あと、偽装もかけておかないと)」

徹は、自分の指を少し噛みきり、血を垂らした。

すると、球が急に激しく光り、すぐに収まった。

「ほう、お前、槍と剣が特技と書いていたが、魔法も使えるのか。珍しいやつだな」

すると、球体の中に徹の情報が表示された。

【 名 前 】 タナカ トオル

 【 種 族 】 人間

 【 年 齢 】 16

 【 称 号 】 剣士

 【 レベル 】 25

 【 H P 】 250/250

 【 M P 】 100/100

 【 魔 攻 】 60

 【 物 攻 】 80

 【 魔 防 】 40

 【 物 防 】 90

 【 SPD 】 60

 【 スキル 】  槍技(中)剣技(下) 火魔法(下)

「(偽装が効いてよかったー!ちょっと焦ったぜ)いいえ、それほどでも」

徹がそう言うと親父は不機嫌そうな顔で椅子に座って話し始めた。

「簡単に話すが、冒険者にも位がある。下から説明するとカッパー 

ブロンドシルバーゴールドミスリルという感じだ。カッパー は駆け出し、ブロンド一人前、シルバーはベテラン、ゴールドは、プロフェッショナル、ミスリルは一流という感じだ。他にもオリハルコン、アダマンタイトがあるが、その二つは雲の上の存在だ。余計な期待を持つな。この位は、依頼の難易度、成功率、成果などあらゆる内容を勘案して上下する。位を上げたいからといって難易度の高いものへ挑戦するなよ。そういうやつは直ぐ死ぬからな」

親父はそう言うと、徹にプレートを差し出した。

「これがカッパーのプレートだ。首でも腕でもいい。ほかのやつらに見える位置につけろ。お前の冒険者の位を示す」

そういいながら、親父は、徹にプレートを渡した。そして徹は、それを首につけ始めた。

「ありがとうございます」

「あートール様にあってます!」

「ありがとう」

「あぁ、用が終わったら、帰ってくれ」

そう言うと、親父は、また、椅子に座り読書をしようとしたが、徹がまた、話しかけた。

「モンスターの買取をお願いできますでしょうか?」

徹は親父に買取をお願いした。親父はしぶしぶ立ち上がった。

「何を売りたいんだ?早くしてくれ。それは、どこにあるんだ?」

余り、モンスターの討伐を証する部位を持っていなかったため、親父は疑い半分で徹を見た。すると徹が、

「こちらです」

っと言ってバックから大量の魔物を取り出しカウンターやその周りに置いて行った。どれも徹が森をさ迷っているときに倒したモンスターである。こんなこともあろうかととっておいたのだ。

それを見た親父は驚いた。

「アイテムボックスか!!また、そんな貴重なものをよく持っているな!!初めて見たぞ!げっ!!!このモンスターの量に、こいつは!オーガに!オーガジェネラル!!オークジェネラル!1ワイルドタイガーもあるじゃないか!!!」

親父の驚きに他の冒険者が徹を凝視した。

「(インベントリを偽装した感じでやってみたが、アイテムボックスもNGだったか)」

親父がでかい声で、徹が、アイテムボックスを持っていること、高位のモンスターを売ろうとしていることに対し周りが注目している。徹からは金のにおいがプンプンするからだ。危険な視線が徹に向けられていた。

「(これはやばいぞ。早々にずらかろう)すみませんが、買取をお願いします」

再度、徹がいうと親父が。

「馬鹿野郎!こんだけ、オーガジェネラルやワイルドタイガーを丸ごとだされて、払える金があるか!どいつも準災害級の魔物だぞ!準災害級といえば、ゴールド級冒険者パーティやミスリル級冒険者が徒党を組んで討伐するレベルだ!ギルドの金が足らん!準備するのに1週間はかかる!」

なぜか徹が怒られる形になった。徹は自分のしでかしたミスに後悔していた。

「では、現在、ギルドにあるだけで大丈夫です。できるだけ交換してください(ほんとやばいな、周りの視線がやばすぎる)」

「わかった。そのオークジェネラル以外はバックに直せ。中から金を持ってくる」

親父がそう言うと、カウンターの奥へ入っていった。徹は、言われた通り、モンスターをインベントリに格納し親父を待った。そして親父がシューズ袋ぐらいの大きさの袋を二つつかんで中から出てきた。そして、徹の目の前にドサッと置いた。

「(なんだこんなもんか)どれくらいになったんですか?」

徹がそう尋ねると親父が言った。まず、徹から見て右の方の袋を開いた。

「まず、こっちには、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨が混ざっている。ちらほら金に光っている硬貨があるだろう。それが金貨だ。勝手にだが俺の方でバラバラの種類の硬貨を入れておいた。これが使いやすいだろしな」

そう言って、親父は徹の方へ袋を押し出した。そして。もう一つの方の袋を開けた。そして、親父は小声で話し始めた。

「こっちの袋が大金貨だ。俺もこんだけの大金貨を渡すのは数年ぶりだ。とんでもない額だ。これからお前はここを出て、どこかに向かうんだろうけど、気をつけろよ。恐らくお前は必ず命を狙われる。頑張って生きろよ。最初で最後の忠告だ」

そう言って親父はもう一つの袋を徹の前に差し出した。

「(やべー、狙われるって、そりゃ、そうだよな。こんだけあったら。これっていくらぐらいなんだ。えーっと大金貨1枚100万だから、えええ!3億ははいってんじゃね!?)」

すると、セシリアが小さな声で

「よかったですね!トール様!」

っと言ってきた。

徹は、己がもらった金額にびっくりしつつ、袋の縄を締め、インベントリへ収納し、ギルドを後にした。


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