プロローグ
(プロローグ)
俺の名前は田中徹 30歳 会社員をしている。よくあるブラック企業に勤めているせいもあって、今日も残業で遅くなり帰宅途中である。
「は~、ほんときっついわ~。仕事終わらないし。まぁ~がんばるけど・・・」
終電に乗り遅れたため、徹は歩いて自宅に向かうことにした。
徹の住まいは、会社からそこまで離れていなく、自宅までは徒歩40分弱で到着する。
その帰りの途中、徹は近道をするため、細い路地裏の道を進んでいた。
細い路地裏を進んでいると、急に「キャー!誰かたすけてー!」と聞こえてきた。
その声を聞いた徹は、びっくりし、駆けつけて助けなければいけないと思ったが、場所も場所なので、恐る恐る声が聞こえた方へ進んでいった。
その先には、いつも見る薄暗い公園で、黒ずくめの男が、ナイフを片手に女性を襲おうとしていた。
それを見た瞬間、徹は逃げ出そうという気持ちになったが、自分の正義感が許さず、近くに落ちていた大き目の石を手に持ち、ゆっくりと男に近づいていった。背後からやっつけることを考えたのである。
ちょうど、もう少しで男の背後をとれると思った瞬間、男の背後に徹がいることに気づいた女性が徹を見て
「たすけてー!お願い!助けてー!」
と叫んだ。
犯人は、そのことに気づいて振り向き徹に気づき、手に持っているナイフを徹の腹に向けさしてきた。
その時、徹も手に持っていた、石を犯人の頭に振り下ろした。
「くらえー!!」
「!!!、んん!!」
結果、相打ちになった。
気づいた時には、男は倒れ、徹は、地に座り込んでいた。
「はー、はー、はー。やったかー。でも、これやばいだろう。。。」
徹の腹からは、大量の血が流れ出ていた。
「これ、血 出すぎだよな。やばいよ。やばい。 やばい。」
徹は、そんな独り言をいながら寝そべった。
「俺 こんなところで死ぬんだな。やべー、いやだよ~。これじゃ、死んだ父ちゃんと母ちゃんに怒られるな、まじ、死にたくないよ~誰か助けてくれ~」
その時、女性が徹のところに近づいてきて、
「ありがとうございます!今、救急車呼びます!もう少し頑張ってください!!」
と声をかけられた。
もう、徹は、限界に達し
「た、た、た、す、け、て、、、おね、、、」
「頑張ってください!直ぐに救急車呼びますので。 あっと消防署ですか!人が刺されました。場所は・・・・」
徹は、薄れゆく意識の中で、その電話を聞いていたが、意識を保つことができづに気を失った。
徹、享年 30。
徹は、目を覚ますと、不思議な空間にいた。
今まで見たことがない景色で、何か、薄明るい空間の中にいた。
周りには何もなく、どこまでも続く、薄明るい灰色の世界。
「おれ死んでしまったんだな。くっそ!くっそ!なんでだよ!!!!」
後悔の言葉を叫んでいると、その時、まぶしい光が急に発生し、そこに、自由の女神のような服を着た美しい女性が現れた。
「こんにちは、徹さん。」
「あなたは?」
「私は、女神です」
「へ?女神??」
「そうです。徹さん、あなたは、夜の公園で、ある女性を助け、その引き換えにお亡くなりになりました。」
「やっぱりそうなんですか」
「はい。。。あなたには気の毒なのですが、それが真実です。」
「そうなんですねー。。。。僕はこれからどうなるのでしょうか。。。。。。?」
「そうですね、徹さんは、今回、あの女性を助けました。あの女性は、あなたが元いた世界で非常に重要な人物で、今から5年後に男の子を生み、その男の子が、50年後、宇宙の果てから地球へ侵略してきた宇宙人と戦う地球軍の大元帥となります。その戦争は、その男の子の知略と行動力と人徳で勝利に導くことになります」
「そんなに重要なことをやったんですね。ちょっと悔しいですが、人類の役に立ったと思えば、呑み込めそうな気がしてきました。。。」
「徹さんには、そのような重要な人間を助けていただきました。ありがとうございます。お礼と言ってはなんですが、これから徹さんには、二つの道があります。一つは、天国で一生過ごす道と異世界へ転移する道です。なお、申し訳ないのですが、現在の地球に再度戻すことは私の力ではできません。神の世界でもそれぞれルールがありまして」
「そうなんですね、ちなみに、天国と異世界転移っとおっしゃいましたよね?」
「はいそうです」
「天国ってどのようなところなんですか?」
「はい。今、徹さんは霊魂のみの状態なのですが、お気づきですか?」
「そうなんですか?あっほんとだ。体がないし。丸く光っている?」
「そうです。それが現在の徹さんです。」
「はあ~」
「天国ではそのままの姿で、過ごしていただきます。特に、疲労もなく、睡眠もとる必要もなく、なんとなく、温かい日差しの中、日向ぼっこをしていて気持ちのいい状態が永遠に続くような感じです」
「ええ!?それが天国の正体なのですか?」
「そうですね。とっても気持ちのいいところですよ」
「ちなみに、異世界転移したらどうなるのでしょうか?」
「そうですね、異世界といっても、なかなか説明が難しいのですが、イメージでいうと、徹さんの居た世界の中世ヨーロッパぐらいのイメージです。」
「もしかしてこの流れって、魔法がある世界ですか?」
「話が早いですね。そうです。魔法もあります。その世界に転移することができます。現在は、霊魂の状態ですが、私の方で体は用意させていただきます。」
「なるほどですね!もしかして、チート能力とか頂けるとか??いや、ちょっと図渦しいですね。。。」
「いいえ、徹さんがおっしゃったとおり、徹さんがご希望する能力を5つ与えて、異世界へ転移させることができます」
「本当ですか!!!ありがとうございます!!」
「いいえ、どういたしまして。こちらこそありがとうございます。では、ご希望の能力とかありますでしょうか?」
「そうですね、いつも、会社からの帰り道、こんな展開を妄想することがあったのである程度決まっています」
「それは、何でしょうか?」
「はい、いろいろな技能などの習得を促進する能力と魔法が使えることと、あと、鑑定眼的なものとインベリトリ的なものと、最後にイケメンがいいです!」
「なるほどですね、わかりました。では徹さんには、成長補正、魔法適正、鑑定、インベントリと私が考えるイケメン姿を差し上げましょう!」
「女神様ありがとうございます!!」
「うふふ。では、これから異世界へ転生します。徹さんの第二の人生が良きものになることをお祈りしております」
「ありがとうございます!」
「では行ってらっしゃい」
「行ってきます」
そして、徹は、消えていった。
「あら。一点、伝え忘れていたわ。私が体を用意したのはいいのだけど、純粋な人間ではないのよね。私の一部を使っているから、半神半人みないな感じなのかしら。まぁ、半分人間で見た目も人間ですしおそらく大丈夫でしょう。」
そう言って女神は消え去った。