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第三話 悪魔って一体何だろう

 あれから現状の打開策を考えていると気付けば夜になっていた。

真っ暗と思っていたけど、月?明かりで周りが見えない程では無いのが幸い。とはいえ昼間に比べれば視界が悪いし、無理に歩こうとは思わないけど。

 しかし寝るとしてもここで寝るのは中々難しそう。

今まで閉鎖的な空間で生活していたせいか、どうもこう、開放されてる場所だと眠りにくい。慣れなきゃいけないとは思うんだけど、中々。穴ぐらというか洞窟でもあれば言う事無しだけど、大抵そういう場所には先住者が居るだろうし。

 


「おい少年、起きろ」


「ふぁい?」


 気が付くとぼくは誰かに起こされていた。

どうやらなんだかんだで色々考えていたらいつのまにか寝ていたらしい。朝からずっと歩いていたわけで、初めて見る景色に色々と感動だったり興奮だったりしてたけど、疲れは溜まってる。寝る前の事をあまり覚えていないけど、寝るというよりは気を失う、と言ったほうが良いのかもしれない。まぁ睡眠も大きく見れば意識を失うという事だし、寝たと言っても過言じゃないよね。多分。


「起きたか少年。それで、こんな森の中で子供一人何をしているんだ?危ないだろう?」


 意味もなく自分に言い訳をしていると、ぼくを起こした人が話しかけてくる。

その人は硬そうな、金属?の服を着ていて、少し月明かりが反射して光っている様に見える。顔にも服を着ている、というか被っている?本で見た鎧という服に似ている気がするけど、これなのかな。ってそんな事より。顔は見えないけど、この人は話の内容からして心配してくれてる様だ。

 とはいえ正直に現状を全部説明できるかと言われると、ううむ。

周りが暗いお陰でぼくの髪色に気付いてないのかもしれないけど、この現状を説明するにはその事を話さないといけないし、そんな事をすれば何のために逃げてきたのか分からなくなっちゃう。だからといって説明しないって事も出来ないし、もしかして今、詰んでるってやつなんじゃ…。


「ふむ、人に何かを聞く時は先にこちらからというのが通例だったな。私の名前はアルディラ。この辺りに住むはぐれものだ。君に危害を加えないと誓おう。少年、君の名前は?」


 気に持たれて座っているぼくに合わせてか、その人、アルディラさんは片膝をついて名前を言ってくれた。

これでだんまりを決め込むのは流石に失礼だと、ぼくでも分かった。


「ルーシーです」


「ルーシー、この辺りは子供一人では危ない場所だ。なのにここで寝ていたという事は何か事情があるのだろう。良かったら私の家に来ると良い。少なくとも、ここで寝るよりかは安全だと保証しよう」


 もうこれどうしたら良いのか。

この状況で逃げるなんて出来ないし、したくもない。だからといってアルディラさんに正直に言ったらどうなるか。どうしたものかとつい黒髪を弄る。


「…少年の迷いは仕方のないことだろう。あまり怖がらせたくはなかったが、ある意味で少年を安心させてやれるかもしれない」


 そういうとアルディラさんは頭に被っているものを持ち上げた。そしてアルディラさんの顔を見てぼくは驚愕する。


「悪魔……」


 黒い顔に天に伸びる三本の角。 

どう考えても被っていたものに収まるものではないけど、それはおいておく。何にせよ、アルディラさんの顔は本で知った悪魔の特徴を持っていた。つまりは、そういう事なんだと思う。驚きが強いせいかあまり恐怖は感じなかったのは幸いだった。


「……存外、怖がらないのだな」


 そう言いながらアルディラさんは再び金属の物体を被る。

どちらかと言うと、その原理の方が今は気になっているからなのかもしれない。これも一種の現実逃避なのかな。


「いや、その。怖いというよりも驚きの方が強くて」


「なるほど。…どうだろう?これで少年が悩んでいる理由の解決になったと思うが」


 別の悩みが増えました、とか言っても良いのか分からないっ!

まぁ少なくとも、ぼくの髪色を気にする必要は無くなった、のかな?アルディラさんが…悪魔ならぼくの髪色なんてどうでもいい事だと思う。


「解決は、しました。けど、その、理由とかって聞いてもいいですか?」


「私が少年に構う理由って事か?」


 ぼくは頷いた。

ぼくが知っている悪魔はもっとこう、無情とか残忍とか凶悪とかそういった恐怖の塊だ。だけど目の前に居る悪魔はそういったものからかけ離れている気がする。…騙しているとかもありえるから、その可能性の方が高いのかな。期待させてからの絶望のどん底に落とすのが好きな悪魔も居るらしいし。もうそれならそれで騙されるのも良いかなとか思ったり。ぼくの運命は所詮そこまでだったという事で諦めもつく。


「そうだな…。残念ながら少年を納得させられる理由は無い。強いていうならば子供だから、か。私は結構長い間一人で過ごしていてな。話し相手が欲しかったんだが、見ての通り私は悪魔だ。あいつらは論外として、同族は同族でちょっと面倒で。その点、人間の子供ならば懐柔しやすいと聞いたのだ。まぁ正確には襲いやすいと聞いたんだが、それは置いておこう。つまりは、子供に優しくして私の話し相手になって貰おうと思った、それが少年に話しかけた理由だ。…最も、目につけた子供が人間にして黒髪を持っている、そんな奇異な存在だったのは予想外だぞ?」


「そうですか」


 とてもじゃないけど悪魔とは思えない存在だ、アルディラさんは。

まだ悪魔の真似をした人間と言ってもらった方が信じられる。もしくはそういう予定だったけど、ぼくの髪色が原因で明かしてくれたのかな。


「さてルーシー、これを聞いた上でどうする?決定権は少年にある。勿論、断ったからといって少年に危害を加える事は絶対にしない。私と出会った記憶は消させてもらうがね」


 ぼくの中では殆ど答えは決まっていた。

考えるのが面倒になったとか思考放棄とも言えるけど、ぼくはアルディラさんは信じられる人、いや悪魔だと感じた。さっきも考えたけど、騙されていたらその時はその時、そこで人生終了で良いかなと。


「アルディラさんに付いていきます」


「そうか。…そうか。なんだろうな。想像していたよりも、こんなに嬉しいものだったとはな」


 アルディラさんの顔は見えないけど、多分笑っているのかな。


「改めましてルーシー。私はアルディラ、これからは私の良き話し相手としてよろしく頼む」


「えっとその、はい。よろしくお願いしますアルディラさん」


 差し出された手を掴む、握手というものだったっけ。

悪魔にもそういう文化が存在しているのかな。こうしているとどこかの物語の友達みたいだ。いや、そうなりたいと思うぐらいは、バチは当たらないと信じたい。


「記念すべき日ではあるが、しかし。まだ夜も深い時間だ。子供は寝るべきだろう。少し遅くなったが我が家に案内しよう」


 手を繋いだままアルディラさんとぼくは歩き出す。

繋いだその手は金属らしく冷たかったけど、なぜかぼくの心は暖かかった、気がする。


お前誰だよ(アルディラ)

前回の反省を活かして(?)読みにくいカタカナ系の喋りは無くしました

ついでに性格とか諸々変わっているのはきっと気の所為です

鎧着てるのは趣味です 私の

いやー、ホント誰だよこいつ(二回目

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