第五話 魔法使えた
俺が森を歩いていると
やがて森が開けて道が見えてきた。
「もうすぐ到着か...」
なんだかんだ言って結構歩いた。
婆さんが、すぐ近くにあるみたいな
紛らわしい言い方をしたから
もっと疲れたように感じる。
婆さんから貰った本のせいで手も疲れる。
看板が地面に刺さってあり
『グルス王国王都→』
と、書かれている。
看板の指示通り右にま曲がりまた歩く。
...なんか長くないか。
「めんどくさくなってきた...」
そこらへんの木の下に座り込む。
本を開いて中をパラパラ見ていると
あるページが目に留まった。
『硬化』
名前のとおりに自分や他人を
硬化させて防御力アップ!
っていう魔法らしい。
魔法は、詠唱もできるが
長いし覚えるのが大変なので
今は想像して発動が主流らしい。
想像は、コツを掴めれば
どうって事無いらしい。
本に書かれている魔法発動のプロセスはこうだ。
1,体内の魔素を一箇所に集める。
これは、大体の場合は手に集めるらしい。
2,使用する魔法を想像する。
硬化なら硬い物...
例えば石などを想像するらしい。
3,発動対象を触ったり、見たりする。
これだけ?意外と簡単そうじゃあないか。
と、思い実践してみようとしたら思ったより難しかった。
1の魔素というやつ...ゲームで言うとMPか。
を、集めるのが難しい。
体の中の熱のような物を、一箇所に集める。
これが出来るまでに30分間ほど試行錯誤を
繰り返した。
そして2の硬い物は石を想像した。
石...石...イシ...イシ○ブテ...っと変なのが混ざった。
岩だ!岩で行こう。
岩...岩...イワ...イ○ーク...ってやっぱり
ポ○モンが思い浮かんでしまう!
自分の煩悩と戦いながら硬い物をイメージする。
結局ゴ○ーニャにした。
ゴロー○ャを完璧に想像出来たら
右手が光りだした。
後は、発動対象の選択か。
対象は、右腕にしておく。
すると右腕に力が入る。
横にある木を殴ると全然痛くない。
「すげぇ...」
思わず声が漏れる。
だが痛くないというだけであって、
力が強くなり一発殴ると
木がメキメキ倒れるとかそういうのではない。
硬い。ただそれだけ。
そう考えると婆さんの使っていた
水球とかの方がいい気がしてならない。
まぁ、俺の適正魔法は付与魔法だけらしいし、仕方が無い。
他に何かあるかな...っと、そういえばスキルとかもあったな。
俺は、視界の端のほうにずっとある
丸いマークに意識を移す。
するとマークが広がり『ステータス』と書かれた項目が出る。
ステータスといってもスキルと状態の項目しかない。
ゲームでお約束のHPとかの項目は無いようだ。
状態とかは、例えば毒に罹ったりしたら
『毒』とか出るのだろうか。そこらへんは
よく分からない。
スキルは『付与魔法強化(超)』と書かれている。
その下に詳しい能力の説明も書かれていた。
・人だけでは無く物質も発動対象に出来る。
・付与魔法のストックが2から4になる。
・付与魔法の効果増加。
「強えええぇぇえ?!」
おっとつい叫んでしまった。恥ずかしい。
だがこれは本当に強いんじゃなかろうか?
まず最初の発動対象の件が本当だったら硬化
を砂とかに使えるって事か。後で試そう。
次のストックの効果だがストックは普通2つまでらしい
2つの付与効果を同時に使えるわけだ。
だがこのスキルなら4つになる!
強い。強いぞ!なんか興奮してきた。
最後の効果増加は、そのままの意味だろう。
では早速、物質に硬化してみよう。
木に硬化してみる。
そのまま殴るとめっちゃ硬い。
カッチカッチだ。これは便利なんじゃないのか?
そこ等辺に落ちてる葉っぱに硬化してみると
葉っぱとは到底思えない硬さになった。
あ、これ楽しいわ。
「硬化!硬化!硬化!」
初めて使えた魔法への興奮と何でもかんでも硬くなるのが
面白く、何十回も硬化を使いまくった。
魔素の事も忘れて...
だんだん体が重くなってきてしんどくなってきた。
疲れているのだ。
ま、いっか!☆
もう一度、硬化を使ったら気絶してしまった。