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少女の願い
今にも雨が降り出しそうな空を見上げる。
わたしのために急いで来てくれるのに、このままでは雨に濡れてしまう。屋根になりそうなものは何一つ無いのに・・・どうしよう。どうしよう。
ねぇ、どうしたらいいの?
少女が、小さな声で尋ねると、大地が揺れた。
地響きがまるで頷くように。吹き上がる風が歓喜のように。たった一人の少女の為に、空間と時間を捻じ曲げて、世界は姿を変えていく。
変化を繰り返す大地を見つめ、少女は嬉しそうに微笑んだ。
しかし、いつしか純粋な願いは歪み、叶わない望みが湾曲する。
しいては、少女は崩れ、そして、構築されていく。だが、そんなことに気付くはずもなく、少女はただひたすらに、たった一人を待ち続ける。
変わることのない自分の想いを伴って。