最終話:短編3本&クリスマス話
最終回にふさわしい大きな話が思いつかなかったので、とりあえず日常回混ぜてみました。
夏にクリスマス回とか季節はずれにも程が…(殴
1.涼花いじめ計画
「ほらそこの女子!!スカート短すぎッ!!」
「そこの女子!!髪を染めるんじゃありません!!」
「そこの貴方__」
涼花が学校をウロウロ回りながら、生徒達の悪いところを指導していた。
その光景を教室で見ていた女子生徒達が居た。
「…あいつさぁ…あたしら女子セートにばっか口出ししてね?」
「マジむかつくわぁ…」
「次期生徒会長だか知らないけど、調子にのってんじゃねぇよ」
すると、一人が机からA4のコピー用紙を取り出した。
「ねぇ、あいつのことを痛めつけたいと思わない?」
「「うん」」
「男女差別主義者に生徒会長を任せられ__」
すると、涼花は誰かに呼び止められて後ろに振り向いた。
修次郎と良平だ。
「何?」
「涼花…ちょっと金貸してくれないか?」
「最近、俺達金欠気味__」
涼花は二人の首元を掴んで、持ち上げ、絞める。
「いだだだだだだだッ!!!!!!」
「ごぶっぶぶぶぶぶぶぶっぶ!!!!!」
「私があんた達にやる金があると思ってるの?」
「わがっだ!!!っがったがらばんあぜアアアアアアアアアアア」
二人が締め上げられている光景を、今三人が居る階の全員が見ていた。
__あぁ、別に男女平等か…。
こうして、涼花へのいじめの計画は自然と空気になって消えた。
2.アイススケート
修次郎、楓、涼花、良平はとあるスケート場に来ていた。
「わわ…あぁぁ…!!!」
ふらふらと滑っている楓のその姿は、俗に言う生まれたての子鹿みたいだ。
「おいおい大丈夫か?」
慣れたような動きで修次郎が滑って来た。
「んっ…僕、こういうところあんまり来ないんです…!」
「あぁ…」
「皆さんは…?」
ゆっくりと後ろに振り向くと、良平はいつの間にか転んでいて、涼花は、楓とまったく同じ状態になっている。
「し…しゅうじろぉおぉ…!助けてぇぇ…!」
「…仕方ねぇな。」
数分後。
修次郎は楓と涼花の手をつかんで、滑り始めた。
「いいか、こうやって__」
楓と涼花、二人とも顔が真っ赤になっている。周りには知らない人々がこちらを見て、そして若干睨んでいる人もいて、かなり恥ずかしいのだ。
まぁ、楽しそうに二人に滑り方を教えている修次郎の様子を見て、少し安心するようだが。
一方で良平は、支えてくれる人が居なくて、また転んで、壁に向かって滑っていった。
3.ベッドの上の幼女
スケート場から帰った翌日。
楓はベッドで横になっている。
「…なんか…重い…。」
首から下に、何か重いものがのっかっているような感覚がする。
首だけ起き上げて体をみる、
と、
見知らぬ幼女が寝ていた。茶色と黒が混じっている髪の毛で、服はなぜか着ていない。
「…え…?誰…この子…」
すると、幼女が目を覚まして起き上がった。
「ふぁぁ…おはよう、“ご主人様”…」
「……ご主人様?え?」
「忘れちゃったの?
“ツバキ”だよ!」
「………ええええええええええええええええ??!!!!」
ツバキと名乗る幼女は、楓の顔に鼻息が当たるほどにまで迫った。
「近ッ…!」
「そっか…私、こうやって人間の姿になっていられるの、いつもはご主人様が寝ている間だけだったね…」
「? ? ?!」
ツバキ(?)は毛布を剥ぎ、楓が着ている鼠色のパジャマのズボンを掴み、下ろす。
「_______________________________!!!?」
「いつもはしてあげられないこと、ツバキ、ご主人様とやりたい…っ!!」
「へ?何言って_____________ッ!!!!!!!!!」
「わあああああああ!!!!!…あれ?」
目が覚めた。さっきのは夢だったようだ。
楓の知っているツバキは、いつも通り楓の枕のすぐ隣りで眠っていた。その姿を見て、安堵の息を漏らした。
4.(終)メリークリスマス
しんしんと降った雪が、ガソリンスタンドの脇道に積み上げられている。
12月24日。そのガソリンスタンドは大盛況の状態だった。ほとんどの車にクリスマスケーキやクリスマスプレゼントなどが入っている箱が置かれていたり、さっそくプレゼントの中身を開けてわきゃわきゃとはしゃいでいる子供が居る。
一方、スタンドの店員たちは。
「さ…寒い!!!帰って熱々のピザ食べたい!!!」「ココア飲みたい…」「クリスマスパーティー開いてるコスプレ喫茶行きたい…!」
とぶつぶつ言いながら、水を汲んで、素手で雪を落とし、車の窓ガラスを拭き、疲れている装いを客に見せずに料金を頂に行く店員が居る。店員たちにとっては、今日は地獄の様だ。
「こんなのが明日や正月にもあるんだろ?」「マジきついぜ…」
そんな店員たちを他所に、修次郎は淡々と修理場の掃除をしていた。地面を箒で掃き、そこをモップで拭く作業だ。
「ふ~…さむっ…」
そう呟くが、ほかの店員と違って誰よりも正気を保っている表情だ。
しばらく経った8時56分。
「よーし、学生はこれでおしまい!上がりだぞー」
と言う店長の声が聞こえてきた。修次郎と、高校生のアルバイト店員たちは「うーす」と言って、切のいいところで仕事をやめた。
ロッカールームに行き、手を洗い、着替えを始めた。すると、修次郎のスマホのブザーが鳴った。LI○Eが届いたのだ。
手に取って画面を見てみると、楓と良平からだった。
楓「今日のクリスマスパーティーどこでやりますか?」
良「やっぱ一番広い修次郎の家でしょ♪」
良平の文に少しイラッとしたが、すぐに収まった。
涼「いや、まだ楓君の家に行ったことないから、試しに楓君の家に行ってみない?」
と出てきた。
「(そういや俺も行ったことねぇな…)」
と、
楓「良いですよ!
では⚪⚪町の男子が○ーソンで落ち合いましょう!」
修「おっ 賛成!」
三十分後。
「おーい修次郎!遅いぞー!」
良平の雄叫びだ。
「うるせーよ近所迷惑だろうが。」
と言って良平の頭部を軽く叩く。
○ーソンの入り口には楓、涼花、良平、修次郎、そしてなぜかツバキの四人と一匹が出揃った。各々(ツバキ以外)クリスマスプレゼントが入っている箱を持っているようだ。
「…なんでツバキが居るんだ?」
「雪にはしゃいじゃって外に出ちゃったんです、そのついでで。」
「あぁ~…」
「では、行きましょうか!」
数分後。楓の自宅に着いた。中に入ると、鶏肉の香ばしいにおいが漂ってきた。
「あらあら、いらっしゃい」
エプロン姿の奏がキッチンから出てきた。
「お邪魔しまーす」
広間のテーブルには、焼きたてのローストチキンとクリスマスケーキやマスカットのシャンメリーが置かれていた。
「おぉ…。」
各々ソファに座ったり床に座って、電気ストーブから流れ出てくる熱で温まり始めた。
「あ~生き返るぅ~」
「楓君のお家広くて良いね」
「そ、そうですか?」
すると、奏が細長いコップを五つと六本のカラフルなロウソクを持ってきて、ロウソクをケーキに指し、コップにシャンメリーを注いだ。
「ライターとか持ってる人居る?探したけど無くて…」
奏が困ったような顔をして聞いてくる。
「あぁ、俺持ってますよ。」
修次郎はポケットから緑色のライターを取り出して奏に手渡した。
「ありがとっ!」
ライターの火をつけ、ロウソクの紐に点ける。点け終えてから修次郎にライターを返した。
「じゃぁ、部屋を暗くする前に、誰が火を消す?」
皆しばらく考え込む。
「…楓、頼む」
「あっ、はい!」
「よし、決まりね!」
奏は広間の電気を消した。ロウソクの火だけが頼りな状態だ。
楓はフーッとロウソクの火に吹いた。何度かやってようやくすべての火が消えた。奏は広間の電気を点け、包丁でケーキを切り始めた。
「…いい一年だったな。」
修次郎がそう言い出した。
「俺と良平と涼花は無事に高校に入学して、楽しい学校生活過ごせて、
その上、友達が増えた。」
「…!」
涼花は受け取ったケーキのイチゴをフォークで刺し、
「来年もよろしくね!」
と言って楓の皿にイチゴを置いた。
「は、はい!ありがとうございます!」
涼花はニッコリと笑って、ケーキを食べ始めた。
「(…あんなにいい笑顔をした涼花は久しぶりな気がするな…)」
修次郎も、自分の皿にあるケーキを食べ始めた。
「楓。」
「…はい?」
「これからも、みんなで仲良く過ごそう。」
「…はい!!」
やっと…終わった…。
なんとか今月中に完結できて本当によかった。(また黒歴史行きだろうけどね。