○? 縛りたいの
縛り癖はいつになっても直らない。
「性癖だもの、仕方ないわよ」
そう呟いて自分に言い聞かせる。
縛り癖という性癖は自分にとっては邪魔であったりする。
縛り癖。
この縛り癖には何度か苦労させられたことがあった。
一人目、私が性癖に目覚めたのは自分のお母さん。
お母さんは昔とある会社で働いていて毎日帰りが遅かった。
なかなか帰ってこなくて寂しい私はお母さんを縛りたいという感情が自然と芽生えた。
「お母さんを縛れば私は寂しくないしお母さんも疲れたりしない」ってね
そのときはよくわかんなくてごまかしてた。
きっとそんなのホントは考えてないって思わせていた。
二人目、ヒヨリちゃんによってそれは現実になっていった。
ヒヨリちゃんは私の大切な親友だ。
ヒヨリちゃん、ヒヨリちゃん、ヒヨリちゃんヒヨリちゃん。
私の唯一の親友、大切な存在。
「お願い、私以外の子と仲良くしないで」
そういうとなんで?とヒヨリちゃんは言った。
「私ね、ヒヨリちゃんが離れていくのが嫌なの」
「バカね、私がシノから離れるわけないじゃない」
そういうヒヨリちゃん。
でもヒヨリちゃんは私以外の子と話しているとき、私といるときより楽しそうに見えた。
そんなヒヨリちゃんを
私は
いつの間にか縛っていた。
「もうお願い……私に近づかないで」
ヒヨリちゃんはそれ以来話してくれなかった。
ヒヨリちゃんを失いたくない。
私にはヒヨリちゃんしかいないの。
「ヒヨリちゃん!ゴメン!!もうしないから、戻ってきて!」
そういうとヒヨリちゃんは戻ってきてくれた。
もう縛ったりしない。そう決めたの。
けど縛り癖は直らなかった。
だんだん幼馴染である祐戸くんに縛りたいという感情が芽生え始めた。
それと同時に恋という感情も芽生え始めていた。
「言ったらダメよね」
そうだ、ダメなんだよ。
言っちゃダメなんだよ。
そんなある日、その性癖はバレてしまう。
「ご、ゴメン」
私の部屋の縄、手錠などを彼に見られてしまったのだ。
隠しようもなく、嫌われるの覚悟で性癖のことを話した。
「……俺は、シノがそんな性癖でも気にしないよ」
「え……」
「いいじゃん、縛り癖。俺が彼氏なら喜んでしてくれって言うね」
彼はそういってくれた。
そんなこと言ってくれるなんて思わなくてうれしくて泣いた。
私はそのとき告白を決意した。
彼なら私を許してくれる、そう信じて。