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○3 初彼女はいい子……のはず

「祐戸くんが好きなの」


「えと……」


「私と付き合ってください!!」


 告白というものは予想以上にドキドキして、その上に恥ずかしさというものが乗せられた。

 

 人生初めて俺は告白をされてしまった。

 しかもここは俺のいた世界ではなく、別の世界。

 ちょっとショックでもありながらもうれしさが勝る。


 目の前の少女はこんな自分を好きだといってくれた。

 ただいくつか疑問が浮かび上がった。


 別世界の人間と付き合うのってアリなのだろうか?


 そもそもこの子は俺がこの世界の俺じゃないということを知っているのだろうか?

 多分この様子だと知らない。


 それに、この日の約束は俺がしたものじゃなかった。

 この世界にいた俺がしていたものだった。

 なのに何でそんな日に限って俺をこの世界に連れてきた?


 まさかこの世界の俺はこの子を嫌い……?


 でも少なくともそれなら一緒にいたりはしない。

 何かあるのだろうか?


 この子はいい子だ。


 それは間違いない。

 そんないい子の約束を放置してまで俺のすることっていったい何だというんだ。


「祐戸くん……?」


 シノは俺の顔を覗き込む。

 いけない。返事をしなくては。


 俺の答えは決まっている。


「……付き合おうか」


 俺がどんな風に思ってようが、俺の気持ちは決まっていた。

 決して彼女ほしさに付き合うとかそんなんじゃない。


 付き合えばわかるかもしれない。

 それにこの世界の俺がこの子が嫌いだとしても俺が付き合って良さを知っていけばいい子だってこの世界の俺が戻ってきたときに教えてやれるかもしれないじゃないか。


「ほ、ホントに!?う、嬉しい!!」


 そういって笑うシノは可愛かった。

 この子が俺の彼女、初彼女。自慢の彼女だ。

 21年。やっとこのときがきたのだ。


「えへへ……じゃあ今日は記念日だね」


 シノはそういうとカバンをがさごそしだす。

 これでもない、あれでもないといいながら何かを探している彼女は愛おしい。


「あった!これこれ」


 そういって取り出したのは一本の縄だった。

 ……ん?縄??


「何で縄……?」


 尋ねると彼女は縄を見ながら俺にこういった。


「私ね、祐戸くんを縛りたいの」


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