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○2 違うのは中身だけじゃない……はず

「じゃあ行こうか」


 女子と初登校。

 周りから見たらこれはカップルに見えるんじゃないか?


 彼女の名前は神名木シノというらしい。

 スマホを見たらプロフィールまで登録してあった。


 メールのやり取りを見る限り幼馴染といったところか……


「あのっ……祐戸くん!」


「ん?」


「……手」


 俺はシノの手を握っている。

 あれ?なんで顔が赤い??


「幼馴染って手を繋ぐものじゃないのか?!」


 俺はとんでもない勘違いをしていたらしい。

 いや、ネットの情報を鵜呑みにした俺がバカだったんだ。


 シノの情報を見るついでに幼馴染の女の子というものはどうなのかを調べていたんだがこれは違うというのか?


「す、すまない!!」


 そういうとシノの手を離した。


「……変な祐戸くん」


 マジか

 せっかくの幼馴染だというのに失敗した……


「ま、そういうとこ好きだけどね!」


 ……好き!??

 やった!女の子に初好きといわれた!!


「も、ももちろん幼馴染としてだよ?」


 oh……


「早く行こっ!」


 そういうとシノはすたすたと歩きだした。

 でも幼馴染であろうと好きといわれるのはうれしいものだなと実感する。


 シノと別れ、大学につくと俺の周りは人だかりが出来た。


「高坂くんおはよ!」


「ねぇねぇ!今日はクッキー焼いてきたの!!」


「高坂!焼きそばパン余ったんだけどいるー?」


「祐戸!今度合コンに出てくんね?」


 男女問わずこの世界の俺はモテていたようだ。

 顔は写真を見る限り一緒なのに何故なんだ……


「祐戸!はよ!!」


 まったく見たこと無いやつが話しかけてきた。

 一応頷くとそいつは俺の右隣に座る。


「今日は寝坊してないのなー」


「まぁね」


 そう空笑いをするとそいつはスマホを見ながらニヤニヤする。



「あぁそうか、お前は違うもんな」


「違うって?」


「ん?お前、『この世界の高坂祐戸』じゃないだろ??」


 コイツはもしかして俺のことを知ってるのか?

 というかさっきから気になっていたことがある。


 コイツは右手でスマホいじりながら左手で髪を変にいじっていた。

 まさかのまさかだと思うが


「お前、カズか?」


「ピンポーン!大正解!!」


 そうしてにっと笑うカズは元の世界と同じような雰囲気を漂わせていた。

 カズの癖のひとつを覚えていることがこんなところで役に立つとは……

 

 まったくうれしくない。


「カズならこの世界の俺がなんで俺をここに連れてきたか分かるよな!?」


 そういうとカズはあーといいながら頭をかく。


「ゴメンな、俺それについては全然なんだよな」


「そ、そうか……」


 がくっと頭をうなだれるとまぁ気にすんな!といって俺の背中を叩いた。



 でも知り合いがいるというのは安心するものであり、有力であり、この世界の俺に関する情報を教えてもらった。


 この世界の俺はほぼ性格は変わらずで違うのは環境や能力だった。

 秀才、運動神経抜群、周りは友人に囲まれている充実した大学生活。


 あとサークルというものに入っていた。


 オカルトサークルで非公認サークルらしい。

 そこに所属しておりそこの担当がこの世界の俺の協力者……メールでいっていた『教授』である。

 そのサークルではどうやら俺と教授中心にパラレルワールドについて研究していたらしい。


「実験体ってことか?」


「かもな」


 講義は終了。

 帰り道カズとは途中まで一緒なので一緒に帰っていた。


「今日は教授いないからまた明日だな」


「そうか……」


「まぁ気を落とすな……あ!ヒヨリ!!」


 カズは近くの電信柱の前に立っていた茶髪のショートヘア少女に手をふる。

 少女はシノと同じ制服を着ていた。同じ学校なのだろうか?


「あ、紹介するわ。ヒヨリって言って俺の彼女」


 この世界でもカズには彼女がいた。

 なんかちょっとショックだわ。まぁこの世界の俺は充実してるしいいけど。


「カズの彼女兼シノの親友、ヒヨリ……よろしく」


「でもどうしてヒヨリはここに?」


 カズが尋ねるとヒヨリは俺を見つめながら言った。


「今日の約束のこと、知ってるかなって思って」


「約束?」


「シノとの約束。午後7時に倉山公園に会う約束だよ」


「そんなことも伝えてなかったのか祐戸は!」


 約束なんて聞いてない。

 ポケットのスマホを確認すると時刻は6時50分になっていた。

 ヤバイ、急がないと遅れる。


「早く行ってあげて。シノ待ってる」


 ヒヨリがそう促すとカズはいってこいよ!といって俺の背中を押す。

 俺はそれを合図に走り出す。


 目指すは倉山公園。



「……あ、祐戸くん」


 倉山公園についた時刻は7時3分。遅刻である。

 シノは公園のブランコに座りながら待ってたよって言って微笑んだ。


「遅れてごめんな」


「ううん、来てくれてよかった」


 シノはそういってブランコを降りると近くのベンチに腰掛け、隣をトントンを叩く。

 シノの隣に座るとシノはこの公園来るの久しぶりだねと言った。


 俺は元の世界ではこの公園はよくきたことあるがシノとはきたことがない。

 当然だ。この世界に住んでいるわけではないのだから。


「私ね、ずっと今まで言えなかったことがあるの」


 手には不思議な感触。

 ……手を握られている?


 俺の心臓がばくばくとなる。

 女の子から手を握られることがあるとは……

 てかこの雰囲気って告白ぽくね?

 シチュエーションとかもう今から告白しますって感じだし、手を握られるってことは俺に気持ちがあるってことじゃないのか?


「祐戸くん……私ね」


 心臓は高鳴る。

 俺の考えを射抜くようにその言葉は放たれた。



「祐戸くんが好きなの」

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