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知識馬鹿  作者: よもぎ
7/8

7

しまった!!もう1話あります!!全部で8話でした<m(__)m>

「どこからどうみても、お前は人間だろ?」

「・・・黙れ」


 私に触れようとした、アデルの手が、止まった。


「この煙は、オリジナルの星見草を焚いているのだろう。だから、アールヴは体の自由がきかなくなった」


 そう、今私の体の自由を奪っているのはこの煙。


「人間ではないというのなら、お前はなぜ自由に動ける?」

「・・・慣らしてある」

「なるほど、慣れでどうにかなる程度の毒であれば、森の民がその存在をここまで秘匿する必要性はないな」


 さすが知識馬鹿。頭の回転は早い。


「かつて、人と森の民の間に亀裂が入ったのは、人間が森の民の血を狙ったからだ」

「!!」


 やはり、気づいていたか。


「けれど、森の民のその特徴により、人間は森の民を狩りきれず、こうして大きな禍根を残すことになった」


 立ち上がるローラを警戒して、アデルも姿勢をただす。


「もし、この花が人の手に堕ちれば、もっと多くの森の民の命が失われていただろう」

「・・・・だから、なんだと?」

「ふむ。お前は仲間が大勢いると言っていたな?今、この部屋にいないのはなぜだ?」

「・・・・」

「この毒が、効いてしまうだろう?お前だけが効かぬ体だからだろう?」


 金の瞳が、アデルを射抜く。


「そこまでして、アールヴを罠にはめたかったのは、なぜだ?」


 ん?疑問を口にしているのに、知識馬鹿のあのキラキラした輝きがない。ただ、睨むようにアデルを見つめるだけだ。


「なぜだ?」

「・・・・アールヴは、森の民なんだ。なのに、お前みたいなやつのそばに」

「・・・ローラ!!」


 アデルの手が上がり、王子に向かって振り下ろされる。


 思わず目をつぶってしまったが。地に倒れる重い音に、目を開ければ、倒れる王子の姿が。


「ローラ!!」

「なんで、なんでお前なんかの隣に!!なんで、なんで、なんで」

「アデル、やめて!!」


 馬乗りになったアデルの拳が、何度も振り下ろされる。


「アールヴは、森の民の中でも血が濃いんだ!!森の民の中でも、貴重な子供だったんだ!!なのに、お前が現れたせいで、お前のせいで!!」


 ああ、彼が壊れていったのは自分のせいだったのか。


 ローラと出会ったとき、私はまだアデルと一緒にいた。


 徐々にローラと会う時間が増え、アデルと遊ぶ時間は減っていた。


 その頃から彼は壊れていき、里を去った。


「やめて!!やめて!!アデル!!」

「お前のせいで、お前のせいで、僕は、僕は・・・」

「・・・・ふむ、意味が分からないな」

「えっ?」


 いつの間にか、拘束されていた手が、アデルの手首を握りしめていた。


「アールヴが、俺の隣にいることが、なぜお前の恨みをかうことになるんだ?」

「・・・黙れ!!」

「アールヴが、俺の隣にいるのは、アールヴが決めたことだ。俺が強制したわけじゃない」


 森を案内せざるを得ない状況を作ったのは誰ですかね・・・。


「それに、俺は、まだアールヴのことを知らないからな」


 ん?


 知識だけを求める馬鹿なのに、どこにそんな力があるのか、アデルを押し返していた。


「アールヴがいないと、研究がはかどらないのも大きな問題だ」


 それは、食事の支度とか、来客の対応とかだろうか?


「俺は、どうやらアールヴが隣にいることに慣れてしまったようだ。アールヴがいる生活が、当たり前になってるようだ」

「!!」


 微妙に恥ずかしいセリフを、なんの臆面もなくローラはすらすら口にする。


「だから、悪いがアールヴは渡せない」

「何を!!」

「それに、人間も殺しつくしてもらっては困る」


 どこにそんな力があるのか、王子はアデルを押していく。


「今、薬づくりを始めたんだ!!それを使える人間がいなくなっては困るんだよ!!」


 やっぱりどこまでいっても知識馬鹿は知識馬鹿だった。


 

次も書きたいなぁ、馬鹿シリーズ。

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