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しまった!!もう1話あります!!全部で8話でした<m(__)m>
「どこからどうみても、お前は人間だろ?」
「・・・黙れ」
私に触れようとした、アデルの手が、止まった。
「この煙は、オリジナルの星見草を焚いているのだろう。だから、アールヴは体の自由がきかなくなった」
そう、今私の体の自由を奪っているのはこの煙。
「人間ではないというのなら、お前はなぜ自由に動ける?」
「・・・慣らしてある」
「なるほど、慣れでどうにかなる程度の毒であれば、森の民がその存在をここまで秘匿する必要性はないな」
さすが知識馬鹿。頭の回転は早い。
「かつて、人と森の民の間に亀裂が入ったのは、人間が森の民の血を狙ったからだ」
「!!」
やはり、気づいていたか。
「けれど、森の民のその特徴により、人間は森の民を狩りきれず、こうして大きな禍根を残すことになった」
立ち上がるローラを警戒して、アデルも姿勢をただす。
「もし、この花が人の手に堕ちれば、もっと多くの森の民の命が失われていただろう」
「・・・・だから、なんだと?」
「ふむ。お前は仲間が大勢いると言っていたな?今、この部屋にいないのはなぜだ?」
「・・・・」
「この毒が、効いてしまうだろう?お前だけが効かぬ体だからだろう?」
金の瞳が、アデルを射抜く。
「そこまでして、アールヴを罠にはめたかったのは、なぜだ?」
ん?疑問を口にしているのに、知識馬鹿のあのキラキラした輝きがない。ただ、睨むようにアデルを見つめるだけだ。
「なぜだ?」
「・・・・アールヴは、森の民なんだ。なのに、お前みたいなやつのそばに」
「・・・ローラ!!」
アデルの手が上がり、王子に向かって振り下ろされる。
思わず目をつぶってしまったが。地に倒れる重い音に、目を開ければ、倒れる王子の姿が。
「ローラ!!」
「なんで、なんでお前なんかの隣に!!なんで、なんで、なんで」
「アデル、やめて!!」
馬乗りになったアデルの拳が、何度も振り下ろされる。
「アールヴは、森の民の中でも血が濃いんだ!!森の民の中でも、貴重な子供だったんだ!!なのに、お前が現れたせいで、お前のせいで!!」
ああ、彼が壊れていったのは自分のせいだったのか。
ローラと出会ったとき、私はまだアデルと一緒にいた。
徐々にローラと会う時間が増え、アデルと遊ぶ時間は減っていた。
その頃から彼は壊れていき、里を去った。
「やめて!!やめて!!アデル!!」
「お前のせいで、お前のせいで、僕は、僕は・・・」
「・・・・ふむ、意味が分からないな」
「えっ?」
いつの間にか、拘束されていた手が、アデルの手首を握りしめていた。
「アールヴが、俺の隣にいることが、なぜお前の恨みをかうことになるんだ?」
「・・・黙れ!!」
「アールヴが、俺の隣にいるのは、アールヴが決めたことだ。俺が強制したわけじゃない」
森を案内せざるを得ない状況を作ったのは誰ですかね・・・。
「それに、俺は、まだアールヴのことを知らないからな」
ん?
知識だけを求める馬鹿なのに、どこにそんな力があるのか、アデルを押し返していた。
「アールヴがいないと、研究がはかどらないのも大きな問題だ」
それは、食事の支度とか、来客の対応とかだろうか?
「俺は、どうやらアールヴが隣にいることに慣れてしまったようだ。アールヴがいる生活が、当たり前になってるようだ」
「!!」
微妙に恥ずかしいセリフを、なんの臆面もなくローラはすらすら口にする。
「だから、悪いがアールヴは渡せない」
「何を!!」
「それに、人間も殺しつくしてもらっては困る」
どこにそんな力があるのか、王子はアデルを押していく。
「今、薬づくりを始めたんだ!!それを使える人間がいなくなっては困るんだよ!!」
やっぱりどこまでいっても知識馬鹿は知識馬鹿だった。
次も書きたいなぁ、馬鹿シリーズ。