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知識馬鹿  作者: よもぎ
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5

半分過ぎました!!

 植物の毒を受け付けない体、それが森の民の秘密だ。


 さらに、その血には強い解毒作用があり、万能薬としてほとんどの毒を解毒できる。


 はるか昔、人と森の民を分かつ原因となったのが、この血であった。


 人は、森の民の血を求め、狩りだしたのだ――――――。


 いや、血だけでなく、その心臓(・・)を求めて―――――。


 あらゆる毒を解毒できるなら、心臓を食べれば病が治るのではないか―――――。


 そんな理由から、人は森の民の命を狙ったのだ。


 もちろん、そんな効能はない。試した人間は思い知ったはずだが、それでもなお、大多数の人間がそれを求め、結局森の民は森の中深くへと隠れ住むこととなった。


 今、この事実を知る人間は、ほとんどいないはずだった。


 ――――――最後まで人間と戦った者たちが、命を賭してそれらの書物を燃やし尽くしたはずだった。




 知識馬鹿と縁を切ってから半月ほど。


 あの花は、やはり森の民の住む森にしか咲かぬ花だった。


 森の民の集落の中でも特殊な場所、『墓地』にしか咲かぬ花。


 ほとんどの毒の影響を受けない森の民。けれど、ただ一つだけ、森の民に効く毒性をもつ植物がある。


 森の民の体を栄養(・・・・・・・・)に育つ花。


 幾重にも重なった五角形の花弁が美しい白い花、星見草。


 人間の地で絶滅したとされるのは、人間の住む地に森の民の体がなくなったから。


 今なお、森の民の集落では咲き誇るこの花。


「・・・・持ち出したやつがいるのか」


 その人物に、心当たりがあるからこそ、一人で止めるつもりだった。


 なのに―――――。


「・・・普通、姫を助けに行くのが王子じゃないの?」


 手の中にある一枚の紙切れが、紙以上の重みがあるように感じる。見なかったことに出来ないだろうか?いっそ燃やしてしまおうか?


 どちらもできないことは、自分が一番知っているのだけれど。


 ため息が漏れる。


 囚われの王子を、森の民が助けに行く。


「こんな物語、絶対流行らないでしょう・・・」


 自分が姫、というよりは王子が姫の方が似合うけど。


 ローラなんて女みたいなあだ名をつけたからだろうか?


 もう会わないと、目を離したのがいけないのだろうか?


 この半月、ちゃんと食事をとっているか。研究にのめりこみすぎて回りに迷惑をかけていないか。いや、研究にのめりこんで暴走しているだろう。そう、思わぬ日はなかった。


 自分から離れたくせに、と、毎日自嘲していた。


 ため息。


 見捨てられないのに。


 気にしないではいられないのに。


 初めて会ったその時から。


 自分はもう、彼の光に目を奪われていたのに。


「・・・・馬鹿は、どっちだろう」


 ため息。


 手の中の紙は、丸めて放り投げた。


 代わりに持つのは、使い慣れた皮の鞭。


 投剣を服に隠し、鉈を腰にさす。


 やるべきことは、とうに決まっている。


「・・・・大人しく待っていてくださいね」


 救うは姫のような王子である知識馬鹿だ!!

もう少し心理描写をしたかったかも・・・・。

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