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唐突に、  作者: 紅
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揶揄遊び、3

 「担任さ、普段から呆けているけど―。当時は何か“可愛い女子を横抱きにした勇ましい海士睡あまたれ”じゃなくて“すき焼きの具材を鍋に入れて(恐らく抽象的だが逢瀬のこと)でっかい熊(野生)”が教室から出て行くように錯覚したんだって、さ。やっべぇー!!若いのにもう耄碌しているとか可哀想、PTAに言ったら顰蹙もの」と再三に笑い転げようとしていた多良憑に天罰が下った。「これ、そのPTAの御偉いさんから指名で手伝い(ボランティア)募集な」‘はい’と良い笑顔で(爽やかさ此処に極まれ り)ガクガクとふるえる多良憑へ必要用紙を手渡す担任 吾独活あくうど 蓮華れんね25歳。

 Arc-woodとか言って雷に打たれた木をまんま採用した地元の名前だそうで、御察しの通り外人の血は全くと言っていい程受け継いでいない和風男子であるのに、金色に染めた髪が地毛と見紛うほどにしっくりして整った鼻梁に溜め息をつく女子高生のなんと多いこと。


 (それにしたって酷い当て字だ『独活ひとりみ』って誰が考え付いたんだよ!)ちなみに彼は結婚願望があって来日したらしい、日本女子とか大和撫子に弱いそうだ(実際本当か如何か知れないのに男子はこの情報に躍起に為っている、曰く「強敵キター!!」的な)。

教卓を占拠して しのつ を弄り倒していた多良憑は陸揚げされた深海生物が如く ぐにゃり と形容しがい容姿でへこたれていた、「様無ぇな」とこっそり毒づいた しのつ に悪びれなく多良憑はこう言った。

 「今度、御前家おまえんちで逢瀬ちゃんの歓迎会するぞ!あ、女子には内緒な」寧ろいたいけな女子高生一人を男子複数名で囲って如何する?色々と厭きれてしまう しのつ であった。「買出しは任せとけ!あ、会費は今度徴収な?それで―、」拳を握り締めてコイツ殴っても傷害罪で訴えられない方法ないかなぁと不穏なことに思考を巡らしはじめた しのつ の耳に最近聞き慣れた声が響く。

 「え、本当!?わぁー嬉しいけどそれって良いのかな。」階下、窓が開いた校庭側から件の逢瀬の姦しい悲鳴が耳に入った、未だ多良憑は気付いていない「ちょ、先生。此れ指名って言っても“学級クラス単位で”じゃないですか!俺じゃなくてもー」と言い渋り担任教師を困らせている。「ぇえ、寧ろ率先してくれてるのかと、顰蹙もの、何でしょ?僕」にやにや意地の悪い笑みを見せている彼に内心評をあらためた(要注意人物と)…

 「海士っちゃぁん!!!居るでしょ、顔見してー」うーん、級友の女子らしきの呼び声とほかに幾名聞き覚えのない連中の密めいた密談。あんまり気乗りしないけれど顔だけ見せるか「本当に顔だけ、とか海士っちゃん舐めてるとしか言いようがない。」級友クラスメイトの腕に縋る逢瀬と見たことがあるかも知れないけれど名も知らない誰か(複数)、「へぇ、あれが噂の彼氏いい性格しているわね」違うと必死で(海士睡男子説を)逢瀬自身が否定しているにも関わらず勝手に白熱ヒートアップしていく女子達。


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