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序 オモイデ
「強く、美しく、賢い子になりなさい」
国王が優しく頭を撫でた。
「はいっ、きっと国王様の護衛になれるくらい強くなります!」
「おや、お前に護衛をさせるようでは私はとんでもない腑抜けではないか。そんな強さではない、立派な母になれる強さを身につけなさい」
国王は笑う。
母親が困ったように見ている。
そして、国王は両親に何か言った。
ただ、ぼーっとその様子を眺める。
「16になったら」
そう言って、国王は笑う。
そしてすぐに人混みに消えてしまう。
それは年に一度の祭りの日だった。