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マギア・フォレンジクス 〜スキルが真実を決める異世界法廷にロジックで抗う〜  作者: 里中 汪


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第14話 弁護官助手

服屋の店員は驚くほど無礼だった。

ケイと店内に入ろうとした瞬間、怒鳴られた。

スラムの子どもは入店お断りだという。

ケイに色の好みを聞き、勘で女の子用の服を買った。

赤いワンピースとベージュのズボンをに見せると、

宝石を見るように目を輝かせた。贈った甲斐がある。


店の物陰ですぐに着替えたいと言い出した。

着せると、やや大きかった。ワンピースの袖と

ズボンの裾も折り返す必要があった。

「気に入らなければ、売ってもいいよ」

ケイは首を大きく振った。

「これがいい。一生大事にする」

これまで贈り物をもらった事がないのかもしれない。

両親もいないのかもしれない。

「家から離れて大丈夫?家族は?」

「家も家族もない」

想定以上に過酷な環境らしい。汚い事務所がある分、

こちらの方が恵まれているのかもしれない。

「俺も家族はいない。一緒だな」

励ますように言うと、ケイは笑顔を浮かべた。



その時、背後で電撃音が弾けた。

振り向く間もなく、足元を掬われた。

ケイに両足を掴まれ、引き倒されていた。


起き上がって前を見ると、先程歩いていた男が

その姿のまま黒く焼けていた。

後ろを振り返ると、ローブ姿の魔術師のような男が

路地裏へ走り去って行った。


そこでようやく理解した。

「また……助けてくれた?」

「うん、ズボンのお礼」

ワンピースのお礼はまた別らしい。

武器を構える事すらできずに、2回死ぬところだった。

戦闘は、まるで無理だ。


開廷が迫っている。群衆に後を任せ、その場を離れた。

「裁判所に行こう。色々、狙われているようだ」

ケイは頷いた。

「これもあげるよ。俺が持っていても使えそうにない」

ナイフを差し出した。

「いいの?ありがとう!」

ケイは服のプレゼントよりも嬉しそうだった。



裁判所の受付で、郵送された文書を差し出す。

こんにちは、と挨拶したが、反応はなかった。

受付は書類を確認し、続けてケイを一瞥した。

「その浮浪児も入れるつもりか?」

服屋より婉曲的に入場拒否を仄めかしている。

「はい、そうです」

仄めかしに気付いていないように装った。

「関係者以外は法廷に入れない」

「観覧席になら?」

「未成年は入場不可」

ケイは目を伏せ、肩を落とした。

必死に頭を働かせると、1つの案が閃いた。

これまで提出した弁護官の書類に、年齢欄はなかった。


「今日、この子を弁護官の助手に登録したいです」

「助手!?」

受付は素っ頓狂な声を上げた。想定以上の反応だ。

「弁護官とその助手に年齢制限はないはずです。

 登録して下さい」

受付は反論材料を探したが、見つけられなかった。

「…中の事務所で書類の提出を」

ようやく中へ踏み込めた。ケイも嬉しそうだ。


ケイは周りを何度も見渡し、感嘆の声を上げた。

「裁判所に入るのは初めて?」

「うん、もちろん」

「勝手に助手として登録しようとして、ごめんね。

 入る為には仕方なかったんだ」

「ううん、ありがとう」

以前アルバと記入した登録書類にケイの名前と

弁護事務所の住所を記入し、担当者に提出した。

「…受理します」

書類を拒否する理由は見当たらなかったようだ。


「ケイ”助手”、よろしくね」

「うん!こちらこそよろしく、ユウヤ”弁護官”」

高揚したまま、2人で法廷へ向かった。

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