おつかれのよる
夜。
しゃちまる村は、しん…としていました。
「……よいちょ」
しゃちん君は、今日も一日がんばって、
もう力が残っていませんでした。
頭の中は、やることがいっぱい。
「……つかれたお……」
しゃちん君は、ぽすん、と座り込みました。
がんばりすぎて、
どこまでが「がんばり」で
どこからが「無理」かわからなくなっていました。
そのとき。
「……しゃちん」
小さな声。
振り返ると、
『まるちゃん』が、そこにいました。
「おつかれだお」
まるちゃんは、なにも言わず、
しゃちん君のとなりに、ちょこんと座りました。
ただ、となり。
しばらく、静か。
「……しゃちん、がんばりすぎだお」
まるちゃんが、ぽつりと言いました。
「よいちょ、いっぱいしたお。
だから、もう今日は
よいちょ、しなくていいお」
しゃちん君の胸が、きゅっとなりました。
「……でも、まだ終わってないお」
「うん。でもね」
まるちゃんは、
しゃちんを、ちょいっと引きました。
「終わってなくても、
しゃちんは、ちゃんと進んでるお。止まってないお。
逃げてないお。だから今は……」
まるちゃんは、
そっと、しゃちん君の肩に
ぴとって、くっつきました。
「……やすむ時間だお」
しゃちん君の目が、じわっと熱くなります。
「……まるちゃん」
「だいじょうぶだお」
まるちゃんは、あったかくて、やわらかくて、
そこにいるだけで、安心でした。
「よいちょのあとには、
ちゃんと“あったかい”が来るお。
しゃちんが信じられなくても、
まるちゃんが信じるお」
しゃちん君の目から、ぽろっと、なみだが落ちました。
「……ありがとうだお」
「うん」
まるちゃんは、
そのまま、ぴとっと。
夜は、まだ続きます。
でも、心はもう、少し休めました。
しゃちまる村の夜は、
ちゃんと、あったかいのでした。




