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元暗部の英雄、再び暗躍する ~娘のために正体を隠して無双していたら有名になっちゃいました~  作者: 出雲大吉
第3章

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第098話 レッスン


 メアリーのおかげでだいぶ移動が楽になり、順調に進んでいった。

 すると、ラシェルも歩くスピードを上げ、遠くに見えていた森まであと少しとなる。


「もうすぐで森に入るからな」

「りょーかい。そういや護衛って何するの?」


 護衛の仕事ね……

 当たり前だが、俺はやったことがないな。


「アンジェラ、教えてやってくれ」

「はいはい。護衛はその名の通り、依頼主を守るのが仕事。今回で言えば、この馬車と乗っているエリックと私になるわね」


 一応、アンジェラも冒険者側なんだがな。


「魔物とか盗賊が出たら倒せばいいわけ?」

「基本的にはそうよ。ただ、こういう場合は1人が馬に乗って、馬車の後ろから周りを警戒する。全体を見渡せるのと盗賊なんかの人間の敵の場合の抑止力にもなるわね」


 盗賊もリスクを負いたくないしな。


「馬、いないね」

「今回は仕方がないわ。でも、中からも警戒はしなさいね。全員で見るか、ローテーションを決めるかは3人で話し合いなさい」


 ベストは2人が見て、1人は休憩。


「どうする?」


 メアリーがカトリーナとシャーリーに相談する。


「3人で見れば良いんじゃないかな?」

「わかんないし、そうするか……」


 まあ、いいんじゃないかな?

 色々やってみるといい。


「襲撃があった時のフォーメーションも決めておきなさいね。依頼人がケガしたり、荷がダメになった時点で依頼は失敗って思いなさい」


 俺がいるので実際にそうなることはないが、これも練習だ。

 実践練習ってやつ。


「いつも通りでいい? カトリーナとシャーリーが守って、私が敵を蹴散らす」

「うん」

「それが良いと思う」


 それは正解。


「エリックさー、魔除けの石は持ってる?」


 魔除けの石は魔物を遠ざける効果がある魔法石だ。

 これがあると魔物が近づいてこないので商人なんかは全員持っている。

 というか、これがないと一般人はこの森を抜けられない。


「持ってるぞ。ただ、何ごとも絶対はない。キースの奴もこの森で盗賊に襲われてただろ」


 当然、魔除けの石は人間には効かない。

 それに魔除けの石を持っていても魔物に襲われることはある。

 この前の山火事のようなことが起きたら魔物が混乱しているので効果がないのだ。


「盗賊かぁ……また出るかもなー」

「今度は頑張る」

「前は例の仮面男に助けられたしね」


 盗賊が出るわけがない。

 この森は前に軍が遠征演習をしているから盗賊がいたとしても逃げ出したか、討伐されている。


「頑張れよー」


 これも勉強だと思い、3人を温かく見守る感じでいくと、森に入った。

 森の中は昼間だというのに薄暗く、ちょっと不気味だ。


「キースさん、よく1人でここを通って王都まで行くわよね」


 俺も1人はちょっと嫌だな。


 俺達は馬車に揺られながら不気味な森を進んでいく。

 とはいえ、おしゃべりで常時笑っているメアリーがいるのでそんなに怖い雰囲気は出ていない。

 今も後ろできゃっきゃとはしゃいでいる。


「この前さー、ジェイクが妹のキャロルと歩いているところを見た。ジェイクがニコニコしてて笑った」

「ジェイクさん、キャロルちゃんを可愛がっているからね。お祈りもキャロルちゃんとなら来るよ」

「ウチにも夕食を買いに来るね。ちゃんとお兄ちゃんしてた」


 ちょっと面白い。


「一緒に作るのかな? ウケんね。あ、エリックさー、昼に休憩って言ってたけど、そこで昼ご飯?」


 メアリーが思い出したかのように聞いてくる。


「そうだな。お前ら、移動中の食事はどう考えている?」

「干し肉とドライフルーツ。あと激マズで有名な栄養ばっちりクッキーを買った」


 保存が利くものを選んだか。

 間違ってはいない。


「それを食うのか?」

「それしかなくね? エリック達はどうするのさ?」


 そう言われたので遠見の魔法を使い、前方を見る。


「まあ、飯くらいは恵んでやるか……」


 空間魔法からナイフと糸を取り出す。

 そして、ナイフの柄に糸を結んだ。


「何してんの?」


 隣にいるアンジェラが首を傾げる。


「あそこに鳥がいるのがわかるか?」


 前方を指差した。


「全然」

「かなり遠くだ」

「そう言われても人ならわかるけど、小さい鳥はねー……どこ?」


 アンジェラは遠見の魔法を使ってもわからないらしい。


「まあいい。見てろ」


 糸を持ち、ナイフを前方に投げる。

 すると、とてつもない勢いでナイフが飛んでいった。


「おー……」

「はえー……」

「なんかとんでもないスピードで飛んでいきましたよ」

「すごいね……」


 4人が感心していると、確かな感触があったので糸に魔力を込める。

 すると、飛んでいったナイフが戻ってきたのだが、ナイフには鳥が刺さっていた。


「ほら」


 後ろに鳥を投げる。


「すっご」

「えーっと、今の何?」

「魔法でしょうけど……」

「……エリックさん、猟師になったら?」


 4人は感心を通り越して、若干、引いている感じだ。


「魔法は使いようによってはこういうこともできるんだよ」


 戦場では自分で食料を調達する方が楽だった。

 森だったし。


「よし、練習しようかな!」


 メアリーがナイフを取り出す。


「後にしろ。それと見張りはいいからそいつを捌いておいてくれ。それができたら昼食にしよう。泊まりでも良いものを食いたいなら狩りが一番だ。別に倒さなくても罠を張る方法もある。だが、せっかく捕まえた獲物を適切に捌かないと味がかなり落ちる。それも練習だからやってみろ」


 獲物を捌くのも結構大変なんだ。

 失敗するだろうが、頑張ってくれ。


「シャーリー、よろしく」

「シャーリー、お願い」

「任せといて」


 あ、家業の子がいたわ。


お読み頂き、ありがとうございます。

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