表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元暗部の英雄、再び暗躍する ~娘のために正体を隠して無双していたら有名になっちゃいました~  作者: 出雲大吉
第2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

88/108

第088話 平和な家


「それ、どうなってんだ?」


 ローレンスが一瞬で姿が変わった俺を見て、呆れながら聞いてくる。


「そういう魔道具だ」

「妙なものを作るな……」


 お前の忍びっぽい姿よりもかっこいいわ。


「うっせー。さっさと帰れ。あ、人に見られるなよ」

「ああ……わかってるよ……ありがとよ」


 ローレンスがそう言うと、すっと姿が消えた。

 いや、いるのだが、異常なまでに気配が薄れているのだ。

 ローレンスはそのまま宿屋の方に帰っていく。


「さて、俺も戻るか」


 俺も領主の屋敷に戻るために歩き始めた。

 そして、町の中央を抜け、北区を進んでいくと、かがり火で照らされ、明るくなっている領主の屋敷の前までやってくる。

 周りには多くの兵士達がおり、門の前にはアーヴィンの姿があった。


「どうだった?」


 周りの兵士が俺を見て身構えている中、アーヴィンがいつもの調子で聞いてくる。


「終わった。もうノクスの亡霊は現れないだろう」

「そうか……ご苦労だった。このことは大佐に伝える。それで領主も安心するだろう」

「そうだな。それとフィリップは許してやれ。あいつはただ、森の絵を描きたかっただけだ」

「わかっている。今回の報酬は後日、渡す」


 そういや仕事だから報酬があるんだな。


「いらない。私は正義の使者。その金は町のことに使うといい」


 かっこいい……!


「そうか。そういうことならそうしよう」

「ここに来る道中で君の友人に会ったぞ。明日、飲みに行こう、だそうだ」

「そうか。では、エリックも誘うとしよう」

「そうしたまえ。では、さらばだ!」


 転移を使い、この場から消える。

 とはいえ、今回はメアリーがいる可能性があるので家には飛ばず、近くの路地裏だ。

 辺りを見渡し、誰もいないことを確認すると、腕輪のスイッチを押して元の姿に戻る。

 そして、何食わぬ顔で通りに出ると、そのまま家に帰った。


 裏口から家に入ると、まだメアリーとアンジェラが起きており、カードゲームをしていた。


「あ、おかえりー」

「エリック、おそーい。というか、最近、飲みに行きすぎじゃね?」

「ただいま。悪かったよ。そんでもって、明日もだ」

「マジ? 堕落してるなー。酒に溺れたらダメだよ」


 メアリーが呆れる。


「ローレンスが来ているんだ。10年ぶりだぞ。話すことが尽きん。それにあいつは近いうちに王都に行くんだよ」

「王都で会えばいいじゃん。私らも行くんだし」


 確かにそうだな。

 あいつが王都に行ってからどうするかはわからないが、もしかしたら王都で会うかもな。


「それよりもまだ起きてるんだな」


 時刻はすでに22時を回っている。

 早寝のメアリーはもう寝てる時間だ。


「明日はカトリーナが教会の仕事があるから休みなんだよー」

「そうかい。俺は風呂に入ってくる。明日が休みでもさっさと寝ろよ」

「よーし、あと一戦だ」


 俺は風呂場に行くと、湯船に浸かり、今日の疲れを取る。

 もっとも、明日は確実に筋肉痛だ。


「はぁ……」


 正直、ローレンスからノクスの亡霊が暗躍しているという噂を聞いた時から『それ、お前だろ』と思っていた。

 あの戦争の結末を一番納得していなかったのがあいつだから。


「隊長、何してるんだろうな……」


 俺も気になってきた。

 王都に行ったら訪ねてもいいかもしれない。


 その後も色々と考えながら湯に浸かり、風呂から上がる。

 すると、リビングにはメアリーがいなかったが、アンジェラはいた。


「先に寝てても良かったぞ」

「起きてる。それよりもどうだったの?」


 やはり気になるか。


「終わった」


 そう答えて、アンジェラの隣に座る。


「そう……」

「領主宅を襲った犯人はローレンスだ。動機は森を燃やした犯人が領主の息子だから。そして、その息子は冒険者のフィリップだ」

「フィリップ……ジェイクの腰ぎんちゃくの一人ね」


 そうそう。


「ローレンスは世直しをしたかったんだと」

「何も言えないわね。私は戦争を経験してないもの」


 あの無念さは俺達にしかわからない。

 いや、俺達しかわからなくていいのだ。


「アンはそれでいい。それにローレンスもわかってくれる。あいつが求めているのは救いだ」


 あいつは代われるものなら喜んでビルやローラン、それにアーヴィンと代わるだろう。

 そういう奴だ。


「エリックは救いを求めなかったの?」

「求める必要がなかった。俺にはメアリーがいたし、お前がそばにいてくれた」


 それどころじゃなかったので気付いていなかったが、間違いなく、救われた。

 いや、2人だけじゃない。

 この町の人達のおかげだ。

 皆、よそ者の俺達を受け入れてくれて、良くしてくれたんだ。


「ふーん……」


 にやにやしてんな……


「もう寝ようぜ。俺も疲れたわ。現役のローレンスとやったから全身がばきばき。明日はこの前の比じゃないくらいに筋肉痛だと思う」


 無理な動きをしすぎた。


「それはダメよ。ちゃんと寝る前にマッサージしないと」

「それもそうだな」


 太ももを揉んでおく。


「よーし、私がしてあげる!」


 アンちゃん、Sにならないで……


「自分でやるからいいよ」

「ちょー良い女はそういうこともできるの! ほら、部屋に行くわよ」


 大丈夫かなと思いつつもアンに任せることにした。


ここまでが第2章となります。


これまでブックマークや評価をして頂き、ありがとうございます。

皆様の応援は大変励みになっており、毎日更新することができております。

また明日から第3章を投稿していきますのでよろしくお願いいたします。


また、本作は皆様の応援のおかげで書籍化することとなりました。

ありがとうございます。


今後もよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
魔法なき世界の異端魔導士 ~冤罪で捕まりかけた大魔導士は異世界で自由気ままに人生をやり直すことにしました~

【予約受付中】
~書籍~
~4/30発売予定~
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~(1)

~漫画~
~5/12発売予定~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)

【新刊】
~漫画~
35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(1)

~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(3)

覇王令嬢の野望 ~絶対平和主義の少女に転生した最強女帝の帝国再建譚~(1)
web版はこちら

【現在連載中の作品】
元暗部の英雄、再び暗躍する ~娘のために正体を隠して無双していたら有名になっちゃいました~

宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

【漫画連載中】
その子供、伝説の剣聖につき
コミックグロウル

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜
カドコミ
ニコニコ漫画

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua
― 新着の感想 ―
フィリップもこの緩そうな町なら素直に自首しろよと思うが、領主の息子に緩い判決は流石に問題になるか
なんとか不殺で揉み消せたか。
あれ?大事なシーンが抜けてる様な・・・
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ