第086話 ま、まさか! 意外な犯人!?
フィリップの部屋でひたすら待っていると、17時になり、辺りが暗くなってくる。
すると、メイドが夕食を持ってきてくれたのでそれを食べ、さらに待ち続けた。
「そろそろ布団に入っておくか」
21時を過ぎたのでベッドに行き、天蓋についているひらひらのカーテンを閉め、横になった。
正直、このまま目を閉じればそのまま眠れそうだったが、それを我慢し、待ち続ける。
早く来ないかねー?
多分、アンジェラは何時になろうと起きて待っているだろうし、早く帰りたい。
そう思いながら待ち続けると、時刻が22時を回った。
すると、閉めているカーテンがふわっと動いた。
目線を窓の方に向けると、人影が見える。
そして、コツコツという音を立て、その人影が近づいてきた。
「ようやく来たか」
そう言うと、人影の動きが止まる。
「何者だ?」
さすがに声でフィリップとは別人と思ったんだろう。
「ふっふっふ」
笑いながらベッドの上で立ち上がると、カーテンを開く。
目の前には長いマフラーみたいなもので顔を隠す黒装束の男がいた。
「……何者だ?」
「私を知らないということはよそ者かな? では、自己紹介をしよう。私は漆黒の使者、フルフェイス・マスクマンだ」
そう言って、ばっとマントを広げた。
実にかっこいいと思う。
「貴様が噂の……」
「ふっふっふ。大人しく投降したまえ」
そう降伏勧告をしたのだが、男は剣を抜いた。
「領主の息子はどこだ?」
「私がここにいる時点で領主の息子がここにいるわけがないだろう」
というか、知らんし。
「そうか……」
男がそう言うと、身体がぶれ、斬りかかってきた。
しかし、すぐに転移を使い、男の背後に飛ぶ。
「素晴らしい太刀だ。さすがはノクスの亡霊といったところかな?」
「……貴様、何者だ?」
男はゆっくりと身体を動かし、こちらを見る。
その動きは隙だらけのように見えるが、誘っているのはわかっているので何もしない。
「何度でも言おう。漆黒の使者、フルフェイス・マスクマンだ」
「転移を使うということは魔法使い……しかし、動きが明らかに魔法使いではない。いや、剣士でもないか。なるほど。同業者か」
さすがにちょっとした動きでわかるらしい。
「降伏したまえ」
「チッ、少し分が悪いか」
男が舌打ちをすると、またしても身体がぶれた。
ただ、今度は攻撃してこず、窓の前に動いていた。
「どこに行く?」
「ここに領主の息子がいないならやる意味はない」
そう言った瞬間、男の姿が見えなくなったので慌てて、窓に向かい、外を見る。
すると、屋根の上を走っていく男の姿が見えた。
「逃がさん」
転移を使い、屋根の上に飛ぶと、男のあとを追う。
すると、男がこちらを振り向いた。
「なっ!? 追ってくるか!」
男はさらにスピードを上げていき、屋根を飛び移っていく。
そのスピードはとんでもなく速く、追うのがちょっと厳しい。
しかし、転移を織り交ぜながらなんとか追っていく。
「いい加減にしたらどうだ? 私から逃げられんぞ」
ぜぇ、ぜぇ……!
「くっ!」
男は俺の言葉が効いたようで屋根から飛び降りた。
場所は東区にあるよく子供達が遊んでいるちょっとした広場だ。
「ふっふっふ……素晴らしいスピードだったよ」
いや、ホントマジで……
勘弁してよ……
「ただ者じゃないな……」
男が剣を抜き、構える。
「この姿で弱かったら本当にバカじゃないか」
そう言って、ライトセイバーを取り出し、魔力を込める。
すると、ブーンッという音と共に青く光る剣が現れた。
「妙な武器を……」
「降伏したまえ」
お願い。
「戯言をっ!」
男の身体がぶれ、斬りかかってきた。
凄まじいスピードだったが、なんとかライトセイバーで受ける。
その際に火花が散った。
「これを受けるか……ならば!」
男がまたしても斬りかかってきたのでライトセイバーで受ける。
しかし、男は攻撃を止めずに何度も斬りかかってきた。
ライトセイバーで受ける度に火花が散る。
「ふっふっふ」
「くっ、強い……」
すべての攻撃を受けると、男がバックステップで距離を取った。
「この程度かな?」
ぜぇ、ぜぇ……!
明日、筋肉痛決定。
「舐めるなっ!」
男が手を掲げると、魔力を感じた。
「エアカッターか……」
転移を使い、躱すと、今度はこちらからライトセイバーを振る。
しかし、男はその剣を簡単に躱し、超スピードで背後に回ってきた。
もちろん、すでに攻撃のモーションに入っている。
「もらった」
「バインド」
「なっ!? こ、この魔法は……!」
魔法を使うと男の動きが止まった。
「仕留める時こそ、油断をするな。そう習っただろう?」
「だ、誰だ!? この魔法は俺達しか……!」
こいつ、ホントに鈍いな。
わかるだろ。
「ノクスの亡霊よ……いい加減に成仏しろ。戦争は終わったんだ」
「ああ。終わったさ。でもな、終わったからこそ、その成果がないといけないんだ!」
男はバインドの魔法を突破し、斬りかかってきた。
「ローレンス、そんなことをしてもビルとローランも帰ってこないし、アーヴィンの足は戻らんぞ」
そう言うと、男の剣が止まった。
「何を……」
「お前の気持ちは痛いくらいにわかる。だがな、たとえ、笑われようとも、帝国の人間に恨まれようとも英雄でいさせてくれよ。俺は伝説の暗部と言われてちょっと嬉しいんだぞ。死神の黒影団……かっこいいじゃないか」
死神はいいけど、ノクスの亡霊は嫌だ。
「お前……エリックか」
ローレンスが剣を下ろした。
お読み頂き、ありがとうございます。
この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。
よろしくお願いします!




