第082話 王都かぁ
ランドルさんに商品を見てもらっていくと、昼前になった。
「いやー、素晴らしい商品ばかりですね」
うーん……わからん。
商品を見せていったのだが、食いつくところがちょっと変だった。
ランドルさんは風呂に浮かぶアヒルを大絶賛していたのだ。
「そうか? まあ、満足したなら良かったけど」
「いやはや本当に素晴らしい」
「アヒルが?」
そこそこ売れたし、メアリーは喜んでいたけど、自分でも微妙だと思うぞ。
「いや、それも売り方次第ですよ。それにエリックさんは発想が素晴らしい。私では人生を何度繰り返しても絶対に浮かんでこない発想です」
まあ、俺も思い出したりしてるだけだけどな。
「そうかねー?」
「ええ。それはもう。やはり一度、ゆっくりとお話がしたいですね。ぜひとも王都にいらしてください」
「わかった。その時はお願いします」
「はい。それではこれで……まだお話を聞きたいですが、私も別の仕事があるので」
ついでに寄っただけだしな。
「では、また連絡するんで」
「よろしくお願いします」
ランドルさんはハットを取り、一礼すると、店から出ていった。
「これが売れるのか?」
アンジェラに黄色いアヒルを見せる。
「子供には人気だったじゃないの」
「まあなー。でも、これ300ミルドだぞ」
相当数を売り上げないといけない。
「大手さんにはノウハウがあるんじゃない?」
それもそうか。
なんて言ったって各町に支店があるこの国最大の商会だし。
「アンジェラ、王都に行くことになりそうだ」
「そうね。あれだけの食いつきだし、挨拶がてらに行った方が良いと思う」
ほぼ約束したようなもんだしな。
「宿なんかの店も紹介してくれるって言ってるし、行くか」
「うん。行こう」
問題は時期だな……
「メアリーが帰ってきたら相談だな。それと商業ギルドなんかもだ」
「そだね。よし、ご飯にして、昼からも頑張りましょうか」
「ああ」
俺達はアンジェラが作ってくれた昼食を食べると、午後からもコンロを作っていく。
そして、17時前くらいになると、店を閉めた。
すると、18時くらいにメアリーが帰ってきた。
「おかえりんこ」
「ただい、まっ!」
「アホ親子……」
キッチンにいるアンジェラが白い目で見てくる。
「遅かったな」
「うん。仕事自体は16時くらいには終わったんだけど、それから王都のことを話してた。その流れで肉屋と教会に行ってきたんだよー」
バリーと神父さんのところか。
「どうだって?」
「王都に遊びに行くって言ったらバリーのおっちゃんは『お土産をよろしく』で神父様は『王都にある大聖堂に行ってきなさい』だって。一度は見ておいた方が良いってさ」
確かに大聖堂は綺麗だな。
観光地としても有名だ。
「反対はされなかったわけか」
「うん。まあ、ちょっとしたプチ旅行だし、前からそういう話はしてたからね」
そんなもんか。
「カトリーナとシャーリーは?」
「エリックとアンジェラちゃんが一緒に行く分にはいいって。むしろ、冒険者として先輩のアンジェラちゃんと男のエリックがいると王都でも安心って感じ」
女だけの旅行よりかは良いか。
「時期は?」
「いつでもいいし、こっちに合わせるって」
ふーん……
「今日、ランドルさんが来たんだが、やはり俺達も王都に行くと思う」
「あ、やっぱり? 商売?」
「その話し合いだな。それにランドルさんが王都の宿屋なんかの店を紹介してくれるらしい。王都は良い店も多いが、その分、悪い店も多いから安心できる」
「それは良いね。田舎者の私達は安心」
メアリーは田舎者で良いんだろうか?
いや、この町で育ったから別にいいか。
「そういうわけで飯を食べながらその辺を相談しよう。着替えて手を洗ってこい」
「そうするー」
メアリーが着替えて戻ってくると、3人で夕食を食べる。
「それでエリック、いつ王都に行くの?」
アンジェラが聞いてくる。
「明日、商業ギルドに話してくるが、やはりすぐというわけにはいかない。町の人に空けることを伝えておかないと困るだろう」
「ある程度は猶予はいるでしょうね。そうなると、1週間か、2週間?」
んー……
「ちょっとアーヴィンから頼まれごとがありそうなんだ。もう1週間延ばしてくれ」
「じゃあ、2、3週間か」
「3週間でいいでしょ。私らも準備とかあるし」
まあ、急ぐこともないか。
「じゃあ、3週間後な。明日、大工のブロックにも話してこよう」
「おー、ついに王都か! メアリー・プリンセスの伝説が王都にも響くぜ!」
この恥を王都でも……いや、まあいいか。
「アンジェラも一応、親御さんに言っておいた方が良いぞ」
「そうね」
「アンジェラちゃーん、どこ行きたい? 王都のスイーツでエンジョイハッピーしようよ」
パーリーピーポーだな。
「そうね……私があなた達をコーデしてあげましょうか」
「いや、それはいい。エロパーティーになっちゃうじゃん」
チャラチャラパーティーになりそう。
「女は輝いてなんぼよ?」
「私ら、アンジェラちゃんほどの戦力がないんだよ……」
「戦力って何よ? あなただって可愛いし、カトリーナは男が好きそうな感じだからモテそうよ。シャーリーもすらっとしているから磨けば映えるわね」
「そうかなぁ……結局は乳、尻、足じゃない?」
誰だ、メアリーにそんなことを教えた奴は……
「好みなんて、人によるってば」
「ふーん……じゃあまあ、一度、アンジェラちゃんが選ぶコーデを見てみるか。エリック、娘がビッチになったらごめんね」
やめてくれ。
「いや、その前に私をビッチ呼ばわりするな。ただのファッションだから」
そりゃそうだ。
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