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元暗部の英雄、再び暗躍する ~娘のために正体を隠して無双していたら有名になっちゃいました~  作者: 出雲大吉
第2章

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第075話 明日はケーキを焼いてくれる


 ギルドにやってくると、時刻が8時過ぎと早かったこともあり、冒険者が数人しかいなかった。

 ただ、その中にはジェイク坊やもいる。


「あん? エリックとアンジェラじゃねーか」

「あ、ホントだ。アンジェラだ」

「すげー久しぶりに見たぞ」


 悪ガキ共がこちらを見てきた。


「私に会いたかったら店に来なさい」


 スナックのママみたいなことを言ってる……


「魔道具屋に用はねーよ」

「水筒を買ったけどな」


 確かにこいつらも来てたな。


「アンジェラ、今日はどうしたんだ?」


 ジェイクがアンジェラに聞く。


「冒険者の方の仕事。全然やってないからね」

「ふーん……エリック、あんたは?」


 ジェイクが俺を見る。


「付き添い」

「じゃあ、2人か? せっかくだし、ウチに入ってくれよ。森の奥に行くんだ」


 やっぱりアンジェラは人気なんだな。

 さすがは有能魔法使い。


「パス。私はエリックと西の方に行くの」

「西ねぇ……それも2人かよ。お前、なんか冒険者を辞めそうだな」

「そもそも本業は魔道具屋だから」

「もったいねーな」


 それは俺も思わないでもない。


「ほっといて。それよりもあんたらは仕事をしなさい。朝からサボってんじゃないわよ」


 それはそう。


「旦那に似てきたな……いや、俺達は相談しているんだよ。すぐに出る」

「絶対に西には来ないでね」


 アンジェラがそう言って、受付の方に向かう。


「あいつ、本当に昔から変わらねーなー。エリック、さっさともらっちまえよ」

「ほっとけ」


 どいつもこいつも……


「ジェイクー、そろそろ出ようぜー」

「すぐ行くよ。おい、フィリップは?」

「トイレー。うんこじゃねーか? はは!」


 下品な奴らだと思いながらアンジェラを追い、受付にいるヴィオラのもとに向かった。


「おはようございます。アンジェラさんは久しぶりですね」


 本当に久しぶりって言われたな。


「この前、ウチの前で会ったでしょ」

「ギルドでっていう意味です。アンジェラさん、ぜーんぜん、来てくれないんですもん」

「水筒のことがあったからね」

「儲かったらしいですね? あの水筒は良い商品ですよ。今日もお弁当の温かいスープ用に持ってきてます」


 ヴィオラはかなり初期に買っていた。


「まいど」

「多分、もうちょっと暑くなったらもう1つ買いに行きますね。それでアンジェラさん、今日は?」


 ヴィオラが本題に入る。


「西の方に行こうと思ってるの」

「川ですか。冒険者の仕事はデートじゃないんですけどね」


 まあ、そう思われるだろうなとは思っていた。


「魔法の調整とかあるのよ」

「そうですか。でも、エリックさんと一緒なんですね」

「護衛。エリック、強いし」

「それは存じてますよ。それはもう……」


 含みがあるな。


「俺は元冒険者だからな」


 そういう設定。


「そうですか。それで仕事は何を?」


 スルー。


「適当に魔物を倒す感じ」

「わかりました。お気を付けて」

「エリックがいるから大丈夫」

「私にはって聞こえましたねー……アンジェラさんは平常運転のようで」


 アンジェラのこういうところは本当に昔から変わってないからな……


「ヴィオラ、ローレンスは来たか?」


 ちょっと聞いてみる。


「あー、Bランクのローレンスさんですね。エリックさんやアーヴィンさんのお友達と聞いています」

「仕事してるか?」

「昨日も来られて町の仕事をしていましたね。観光がてらと言っていましたが、やってくださってありがたかったです。冒険者は町の仕事をあまりやってくださいませんからね。やはり高ランクは違います」


 冒険者の花形は魔物退治だろうからな。

 メアリーも最初から森に行っていた。


「あいつ、今日も来るか?」

「森で魔物退治の仕事をするって言っておられたんで今日も来ると思いますよ」


 ちょうどいいわ。


「じゃあ、飲みに行こうぜっていう伝言を頼む」

「わかりました。伝えておきます」

「頼む」


 俺達は用件が済んだのでギルドを出て、来た道を引き返した。

 そして、店をスルーし町の中央まで来ると、さらに進んでいく。


「あまりこの辺は来ないのよね……」


 西の方は飲み屋や宿屋が多いため、アンジェラはあまり来ないだろう。


「夜になると酔っ払いが増えるし、アンジェラは来ない方がいい」

「変なお店も多いしね」


 怪しいお店ね。


「俺は行かないぞ」

「行ったことあるくせに」

「修理の仕事で店に入ったことがあるだけだろ」


 魔道具屋なんだから仕方がない。

 それに昼間だったから男の店員しかいなかった。


「まあねー……王都とかってすごいのかしら?」


 歓楽街に興味があるわけではなく、王都に興味があるんだな。

 アンジェラはこの町から出たことがないから。


「そりゃすごいぞ。まず夜中なのに昼くらいに明るいし、朝方までやっている店もある」

「ふーん……」

「アンジェラが好きなアクセサリーの店もいっぱいあるし、美味い料理屋もある。まあ、何でもあるのが王都って思っていい」


 国中のものが集まっているのだ。


「メアリーが行きたがるわけだわ」


 アンジェラが笑った。


「アンジェラも行きたいか?」

「興味はあるけど、お店と兼ね合いかしら?」


 アンジェラはかなり行きたがってるな。

 思えば、アンジェラはずっとウチの店にいた。

 元々、地元志向の子だし、魔法を使えるようになってもそんなに冒険者としての活動もしなかった。

 それはそれでウチの店としてはありがたかったし、助かっているのだが、アンジェラは見た目通りのギャルだ。

 ギャル卒したとはいえ、やはり都会の大きい町に行きたいという思いは少なからずあるだろう。

 ちょっと前向きに考えてみるか……

 よく考えたら田舎の女子3人だけで王都に行くっていうのも心配だし。


「商業ギルドに相談してみるわ」

「いいんじゃない?」


 ちょっと嬉しそうだ。

 まあ、俺も王都にはずっと行ってないし、行っても良いかもな。


お読み頂き、ありがとうございます。

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考えがお父さんみたいだとの自覚はあるかな〜
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