表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元暗部の英雄、再び暗躍する ~娘のために正体を隠して無双していたら有名になっちゃいました~  作者: 出雲大吉
第2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/80

第071話 良い町


「あー、腹減ったな」


 だいぶ戻ってくると、ローレンスが腹を押さえる。


「もう昼前くらいだろうな」

「こんなに遠いとは思ってなかったから昼飯を用意してねーよ」


 それは俺もだ。


「帰ったら飯でも食いに行くか」

「嫁さんはいいのか?」

「アンジェラはアンジェラで作ってると思う。急に帰ったら悪い」


 アンジェラは夕方くらいに帰ると思っている。

 だから作っているのも1人分だし、そんな中で帰ると困ってしまう。

 下手をすると、アンジェラは優しい子だからその昼食を譲ろうとするだろう。


「ふーん……嫁さん持ちは色々と大変だな」

「別に普通だ」


 まだ嫁さんじゃないけどな。


「娘の方がいるぜ」


 前方には数人の人間がおり、道の端で敷物に座っていた。

 メアリー、カトリーナ、シャーリー、ベティさん、神父さんの5人である。

 5人共、何かを食べており、昼休憩のようだ。


「あ、エリックだ!」


 メアリーがこちらに気付いたので近づく。


「昼か?」

「うん。ハムサンド美味しい」

「良かったな。ベティさん、娘が世話になってます」


 ベティさんに頭を下げる。


「こちらが手伝ってもらっているんですよ」


 ベティさんはいつものニコニコ顔だ。


「こき使ってやってください。メアリー、迷惑をかけるなよ」

「かけないっての。私が人に迷惑をかけたことなんて一度たりともないよ」


 それをマジな顔で言い切るのがすげーよ。


「カトリーナ、シャーリー、バカをよろしくな」

「メアリーちゃんは大丈夫ですよ」

「一緒に頑張ってます」


 うんうん。

 良い子達だ。

 バカを否定してないけど。


「エリック、そちらは?」


 神父さんがローレンスを見ながら聞いてくる。


「あ、旧友のローレンスです。旅から帰ってきたんですよ」

「ローレンスです。教会の神父様でしょうか?」


 ローレンスが姿勢を正した。


「ええ。ミルオンの町の教会の神父です。よく来てくださいました。歓迎します」

「ありがとうございます。ミルオンは良い町だと思いますし、そこに住んでいるエリックやアーヴィンの幸せそうな姿を見られて良かったです」

「その2人はもう少し、ちゃんとして欲しいんですけどね」


 出たよ、お説教。


「私なんかよりずっとしっかりしていますよ」


 ローレンスが自虐的に笑う。


「神父さん、我々も昼にしますのでまた。それとメアリーをお願いします」

「ええ。親であるあなたから教会に来るように言ってほしいんですけどね」


 それは無理。

 何故なら、俺もアンジェラも行かないから。


「お祈りって静かでつまんないんだもん。しーんとしていると笑えてくるよね?」

「ううん。全然」


 メアリーが聞くと、カトリーナが笑顔で首を横に振った。


「メアリー、目を閉じて、心を無にすればすぐ終わるよ」


 シャーリーがアドバイスをする。


「シャーリー……お祈りで心を無にされても困るんだがね」


 あ、シャーリーが捕まった。


「では、我々はこれで」


 神父さんのお説教が始まりそうだったのでローレンスを連れて、そそくさとこの場を離れた。


「なあ、エリック、さっきの神父様だが、本当に神父か?」


 ローレンスは気付いたようだ。

 もっとも、神父さんも気付いただろうけどな。

 何しろ、俺とアーヴィンの旧友ってそういうことだし。


「元軍人だ。俺達が参加する前から従軍していたらしい。多分、俺達と同じようなところにいたな」

「やっぱり軍人か。出す雰囲気に覚えがあると思ったわ。神父が軍人をしていいもんかねー?」


 それは知らない。


「絶対に回復魔法が使えることを言うなよ」

「言わねーよ。何度も言うが、家族にべらべらしゃべるのはお前らだけだ」


 それは否定しない。

 メアリーはともかく、アンジェラにめっちゃしゃべってるし。


「過去の話になることもあるからどうしてもそういう話になるんだよ」


 アンジェラ、聞き上手だし。


「惚気にしか聞こえねーよ。他の連中もこんな感じだったらどうしよう? というか、隊長がこえー」


 隊長は女性だった。

 当時、25歳だったから今は35歳だ。

 怖かったけど、綺麗な人だったから結婚して、子供がいても不思議じゃない。


「すごい勝手だが、隊長から惚気を聞きたくないな」


 申し訳ないが、まったく想像できない。


「絶対に聞きたくねーよ。俺、ウジ虫って言われたことあるぞ」


 そりゃ盗み食いするからだ。

 俺もこのボケカスって思ったわ。


 俺達は森を抜け、町まで戻ってくると、定食屋に入った。

 この時、すでに14時前になっており、かなり腹が減っていたので日替わり定食の鶏肉のソテーが非常に美味い。


「美味いな」

「ああ。昨日の飲み屋も美味かったが、ここも美味い。名産がないって言ってたが、普通に飯は美味いだろ」

「さっき行った森の他に北にも王都に行く道があり、そこも森だ。だから肉はよく獲れるな」


 肉が獲れないっていうのは聞いたことがない。


「食が安定しているのは良いな。不安定な町も結構あったぜ」


 地域によるだろうな。

 この地方は森も川もある。

 定期的に雨も降るし、作物も大丈夫だ。


「ここはそこまで王都から離れてないからな。それよりも午後からはどうする? もう森の奥には行かないぞ」

「俺はアーヴィンのところにスプーンを届けたら町を観光しようと思う。お前は店もあるし、帰っていいぞ。今日は付き合ってもらって悪かったな」


 スプーンはローレンスに任せるか。


「じゃあ、そうするわ。また飲みにでも行こうぜ」

「ああ」


 俺達は昼食を食べ終えると、その場で解散した。


お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
元暗部の英雄、再び暗躍する ~娘のために正体を隠して無双していたら有名になっちゃいました~

【予約受付中】
~書籍~
~3/27発売予定~
覇王令嬢の野望 ~絶対平和主義の少女に転生した最強女帝の帝国再建譚~(1)
web版はこちら

~4/30発売予定~
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~(1)

【新刊】
~漫画~
35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(1)

~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(3)

【現在連載中の作品】
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

【漫画連載中】
その子供、伝説の剣聖につき
コミックグロウル

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜
カドコミ
ニコニコ漫画

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua
― 新着の感想 ―
銀のスプーンは腐食反応で毒検知するとかで貴族が使うんだっけ?メアリー関連かな?
銀のスプーン、誰のなんだろうね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ