表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元暗部の英雄、再び暗躍する ~娘のために正体を隠して無双していたら有名になっちゃいました~  作者: 出雲大吉
第2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/77

第067話 こらー


 準備を終え、店に行くと、迎えに来る予定のローレンスを待ちながらアンジェラと共に開店準備をする。

 すると、住居スペースの扉が開いた。


「今日も太陽が応援している……風が後押しする……大地が伝説を作れと囁いているぜー!」


 準備を終えたメアリーが出てきて、どこで覚えたか知らないかっこいいセリフを言う。


「はいはい。いってらっしゃい」

「気を付けてね」

「小うるさい父親と恋愛脳の継母も信じてくれている……いざ、ゆかん! プリンセスメアリーの出陣だ!」

「はよ行け」


 長いわ。


「いえーい」


 メアリーは元気に出かけていった。


「あいつ、役者の方が向いてないか?」

「主役にしかなれないわね」


 あんな脇役は邪魔でしかないしな。


 開店準備を終え、店を開くと、数十分後にローレンスがやってきた。


「ういーす」


 ローレンスが挨拶をしてきたが、ちょっと体調が悪そうだ。


「おはよう。大丈夫か?」

「ああ……昨日はさすがに飲みすぎたな。アーヴィンのペースに乗せられてしまった」


 かなり盛り上がったし、だいぶ飲んでたしな。


「延期するか?」

「いや、大丈夫だよ。あ、出発前にちょっといいか?」


 ん?


「何だ?」

「お前、氷が1日以上も溶けない水筒を作ったってマジ?」


 あ、それか。


「ああ。結構売れたし、王都にある大手の商会さんとも契約したぞ」

「すげーな。俺にも売ってくれよ」

「5000ミルドな」

「水筒にしては高いが、質を考えると安いんだな」


 ローレンスが5000ミルドを支払う。


「アンジェラ、せっかくだし、氷とお茶を入れようか」

「そうね。青で良い?」

「ローレンスは青だな」

「わかった。ちょっと待っててね」


 アンジェラは青い水筒を持ち、奥の住居スペースに入った。


「ありがたいが、青って何だ?」

「水筒の色は赤と青があるんだよ」

「あー、そういうことか…………青で良いな」


 だろうな。


「火を使わずに調理ができるコンロとかもあるぞ。あと、折り畳みの傘もウチのヒット商品だ」

「また見に来るよ。今日は外だ」


 確かに日を改めた方が良いか。


「いくらでも買っていけよ」

「もう旅も終えようかと思っているし、そんなにいらねーけどな。しかし、手広くやってるんだな」

「物作りが好きなんだよ」

「色々直してたもんな……まあ、お前はそっちの道の方が良いだろう」


 ローレンスが頷くと、アンジェラが戻ってきた。


「はい、これー」


 アンジェラがローレンスに水筒を渡す。


「ありがとう。じゃあ、旦那さんを借りていくぜ」

「夕方までには返してー」

「ああ。エリック、行こうぜ」


 ローレンスが背中をポンポンと叩いてきた。


「そうだな。アンジェラ、後は頼む」

「はーい。いってらー」


 俺達は店を出ると、東門に向かう。


「良い奥さんじゃないか」

「奥さんじゃないけどな」


 まだね。


「正直、10年前のお前しか知らないからかなり意外だ」

「それは俺もだよ」


 自分でもまったく想像していなかった人生を送っている。


「何が変わった?」

「メアリーだな」


 確実に言える。


「そうか……」

「お前、旅をやめるって言ってたな?」

「世界は見て回ったし、故郷に帰ってきたからな。王都に戻った後、今後のことをちょっと考えてみるつもりだ。俺ももう32歳になる」


 おっさんだ。

 人のことは言えないけど。


「その年で旅はちょっときついな」

「ああ。何よりもお前らのせいで一人なのがむなしくなってきた」


 この10年、辛いことは多かった。

 知らないことばかりだったし、それなりの苦労もしてきた。

 でも、メアリーがいてくれたから頑張ってこれたな。

 いつも笑っているバカな娘がいたから心が救われたのだ。

 あ、アンもね。


「王都に戻ったら落ち着いた生活をしろよ。別に冒険者を辞める必要もない。お前なら何でもできるよ」

「そうか? 俺はお前らほど器用じゃないぞ」


 確かにローレンスは不器用だ。

 手先とかではなく、生き方が……


「普通に働くだけだ。お前、魔法使いだろ。職なんかいくらでもあるし、いくらでも稼げる。1つの場所にいれば多くの出会いもあるし、良い人とも出会えるだろう」

「そんなもんかねー?」

「ひねくれ者と呼ばれてきた俺でも良い出会いはあったんだぞ」

「チャラチャラした若い嫁な」


 アンジェラ、ギャル卒してもあのファッションはやめる気が一切なさそうなんだよな。

 あの腕についている大量の腕輪に何の意味があるかさっぱりわからない。


 俺達が話しながら歩いていくと、ギルドの前にやってきた。


「ギルドには寄るか?」

「いや、今日はいい。また明日にでも顔を出そうかと思っている」


 仕事ではなく、個人的な調査だしな。


「じゃあ、スルーでいいか」

「ああ」


 俺達はそのまま歩いていき、東門までやってくる。


「ここが東門だな。この先に森があり、さらには山がある」

「こっちは初めてだな。俺は南門から来たから」


 南は平原であり、ずーっと街道が続いている。


「寄合馬車か?」


 寄合馬車は皆で金を出し合って移動する馬車で冒険者はもちろん、馬車を持っていない一般人や商人がよく利用している。


「ああ。長かったぜ」

「だろうな」


 俺達は門を抜けると、そのまま森に向かって歩いていく。


「かなり森が近いな。スタンピード一歩手前だったんだろ?」


 ローレンスが森を眺めながら聞いてくる。


「ああ。冒険者連中が頑張って森の中で食い止めてくれたそうだ」


 あと、闇の三人衆。


「ふーん……オークの巣が焼けたせいと聞いたが……」

「詳しいな?」

「俺なりに聞き込みとかもしたんだよ。焚火の不始末らしいな?」


 そういう情報集めも得意か……


「そう聞いている」

「ふーん……そういえば、なんか変な黒ずくめの男がいるらしいな? フルフェイス・パンツマンだったかな?」


 マスクマン!

 間違えんな、ボケ!


お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
元暗部の英雄、再び暗躍する ~娘のために正体を隠して無双していたら有名になっちゃいました~

【予約受付中】
~書籍~
~3/27発売予定~
覇王令嬢の野望 ~絶対平和主義の少女に転生した最強女帝の帝国再建譚~(1)
web版はこちら

~4/30発売予定~
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~(1)

【新刊】
~漫画~
35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(1)

~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(3)

【現在連載中の作品】
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

【漫画連載中】
その子供、伝説の剣聖につき
コミックグロウル

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜
カドコミ
ニコニコ漫画

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua
― 新着の感想 ―
それ、お前の隣にいるヤツな。
誤解を解くためには出撃フルフェイス・パンツマンだなw
もはや黒い変態仮面でしか想像できない件… まぁでも黒ずくめのフルフェイス男なんて、最大限にかっこよくしてもジャギ様にしかならないような。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ