表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元暗部の英雄、再び暗躍する ~娘のために正体を隠して無双していたら有名になっちゃいました~  作者: 出雲大吉
第2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/79

第060話 旧友


 メアリー達はもう大丈夫だと判断したので転移で家に帰ると、腕輪のスイッチを押して元の姿に戻った。

 そして、店を開け、アンジェラと残りのコンロを作っていく。


「子供もいつかは大人になるもんよ。成長ね、成長」


 そうだな……


「慰めてくれてるのか?」

「落ち込んでるかなーと……」

「いや、落ち込みはしないぞ? 普通に立派になったなーと思っただけだ」

「そう?」


 当たり前だ。


「あと、色々と思うことがあった。前にも言ったが、俺はスラムの悪ガキだった。それで15歳になったら冒険者になろうと思っていた。もし、その道に進んでいたらどうなっていたかなと」


 成功したか、野垂死んだか……


「エリックが冒険者ねー……かなり上まで行ってそうだし、成功してたんじゃない?」

「わからん。俺の技術はほぼ軍で培われたものだからな……」

「ふーん……まあ、いいじゃん。そういう人生があったから今のエリックがあるのよ。何か不満でもあるの?」


 冒険者になっていたらメアリーを拾ってないし、この町に来ることもなかった。

 当然、アンジェラとも出会ってないな。


「不満なんかない。メアリーに自分を重ねただけだ。アンジェラはこういう人生だったらどうだったんだろうって考えないか?」

「今は別にないわね。私は町を出る気がそもそもなかったし、魔法を習いたかった。あと、エリックのそばにいたかった」


 うん……


「そうか……」

「というか、まだそういうのを考える歳でもないわよ。私はエリックと違って、何もなしえてないからね」


 それもそうか。


「さて、作るか」


 手が止まってたわ。


「私はできたから後はエリックのやつで50個よ」


 あ、アンジェラはもう終わったのか。

 同時に作り出したのにこの差があるってことは随分と手を止めていたんだな。

 そりゃアンジェラも慰めようとするわ。


「すまん、すまん。これができたらアーヴィンのところに行こう」

「そうね。エリック、一度、家に帰ってもいい? 今日も泊まるとは思ってなかったし、準備がいる」


 それもそうだな。

 さすがに連泊だと親御さんにも言わないといけないだろうし。


「ああ。悪いな」

「謝ったらダメっしょ」


 アンジェラは笑いながらそう言うと、店を出ていった。


「確かにダメだ」


 自虐の笑みがこぼれると、さっさとコンロを作ってしまう。

 そして、作った50個のコンロをチェックしていると、客が入ってきた。


 客は皮の鎧を着た黒髪短髪の冒険者であり、外の冒険者のようだ。

 年齢は俺とさほど変わらないように見える。


「いらっしゃい」


 多分、水筒だろうなと思い、チェックしていたコンロを置いて、応対する。


「エリックか?」

「ん?」


 名前を呼ばれた瞬間、この冒険者をどこかで見たような気がした。

 懐かしい……そんな気がしたし、笑っている顔は確実に記憶の中にあった。


「久しぶりだな」


 ああ……こいつは……


「ローレンスか?」

「ああ。そうだ。10年ぶりか?」


 ローレンス……同じ軍の暗部、黒影団の同僚であり、戦友である。

 終戦の時、隊長に暴言を吐き、真っ先に基地から出ていったあのローレンスだ。


「おー……お前、生きてたのか」

「すげー言い草だな。普通に生きてるわ」


 あー、さすがに生きてるかはないか。


「いや、お前、何してたんだよ」

「冒険者をやりながら世界を回ってた」


 旅をしてたのか。


「いやー、びっくりだ。マジでびっくり」

「俺もびっくりだぜ。アーヴィンの野郎が気になってこの町に来たんだが、アーヴィンが普通に歩いていることもだが、あいつからお前のことを聞いて、驚いたぞ」


 確かに驚くかもな。


「アーヴィンに会ったのか?」

「ああ。相変わらず、軽薄そうだった。でも、そのせいで涙が出るかと思ったわ」


 アーヴィンは昔からあんな感じで明るかったし、ムードメーカーだった。

 そんなあいつが足を失ったのはこちらにもかなり精神的に来るものがあった。

 まあ、だからこそ、なんとかしないといけないと思ったんだ。


「俺が義足を作ったんだぞ」

「聞いた。お前、すげーな。確かに昔から器用だったが、そんなことまでできるのかよ」


 アーヴィンもだが、ローレンスも軍に入ってすぐからの付き合いになる。


「この店が見えんか? 魔道具店の店長だぞ」

「すげーなー……結構、儲かっているらしいじゃないか。しかも、なんかよくわからないけど、娘と半分嫁の彼女がいるんだって?」


 アーヴィンだな。

 まあ、あいつしかいないけど。


「色々あったんだよ」

「まあ、そうだろうな。俺も色々あった」


 旅をしていればそうだろう。

 そして、10年という月日はそれだけのものがある。


「お前、これからどうするんだ?」

「数日はいようかなと思っている。その後は王都に行く」


 王都か。


「だったら飲みにでも行こうぜ。話がしたい。今日はダメだけど」


 アンジェラと飲むから。


「ああ。アーヴィンからも誘われたし、行こう」


 まあ、アーヴィンは誘うわな。

 あいつ、酒が好きだし。


「明日でもどうだ?」

「俺はいつでもいいぜ。仕事があるお前らに合わせる」

「じゃあ、アーヴィンと話すわ。これからあいつのところに用があるんでな」

「任せる」


 ローレンスが頷くと、店の扉が開き、アンジェラが戻ってくる。


「あ、いらっしゃーい」


 アンジェラはローレンスに声をかけると、こちらにやってきた。


「アンジェラ、旧友のローレンスだ」


 アンジェラにローレンスを紹介する。


「あ、そうなの? 知り合いが訪ねてきたんだ」

「そうそう。ローレンス、ウチの従業員のアンジェラだ」


 ローレンスにもアンジェラを紹介した。


「あー、例の…………お前、良い御身分だな」


 うるせー。


「アーヴィンにも言え」


 あいつこそ、既婚者だ。


「ははっ、まあいい。エリックやアーヴィンの友人のローレンスだ」


 ローレンスがアンジェラに自己紹介した。


「アーヴィンさんも? あー、軍の人?」


 アンジェラが首を傾げると、ローレンスが俺を見てくる。


「お前、しゃべってんの?」

「色々とあったんだよ」


 というか、アーヴィンの奴がべらべらとしゃべるんだよ。


「戦時中にハニートラップが来なくて良かったな」


 来るわけないだろ。

 森の中だぞ。


「んなもんに引っかかるか」

「そうかい……まあ、また来るわ。ちょっと町を見て回ってくる」

「ああ。またな」

「アーヴィンもだが、お前が元気そうで良かったよ」


 ローレンスはそう言って、店を出ていった。


お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
元暗部の英雄、再び暗躍する ~娘のために正体を隠して無双していたら有名になっちゃいました~

【予約受付中】
~書籍~
~3/27発売予定~
覇王令嬢の野望 ~絶対平和主義の少女に転生した最強女帝の帝国再建譚~(1)
web版はこちら

~4/30発売予定~
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~(1)

【新刊】
~漫画~
35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(1)

~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(3)

【現在連載中の作品】
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

【漫画連載中】
その子供、伝説の剣聖につき
コミックグロウル

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜
カドコミ
ニコニコ漫画

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua
― 新着の感想 ―
> 「さて、作るか」 !!
大吉先生の幸せな世界好き
ローレンスの最後の発言読んで 次話の冒頭で 「これがローレンスとの最後の会話になるとは夢にも思わなかったんだ……」 とか想像した自分が凄く嫌だわ……(^_^;)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ