表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元暗部の英雄、再び暗躍する ~娘のために正体を隠して無双していたら有名になっちゃいました~  作者: 出雲大吉
第1章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/30

第029話 異世界エジソン


 森に入ると、アンジェラもさすがに杖を取り出した。


「さーて、奥さ……家のことと副店長として完璧なところだけじゃなく、冒険者としても優秀なアンジェラちゃんを見せてあげましょうか」


 ぱちぱち。


「ゴブリンがいいか? スライムがいいか?」


 左右の森を眺めながら聞く。


「ゴブリンかな?」

「じゃあ、あっちだな。少し、奥に行こう」


 俺達はそのまま奥に進んでいくと、20メートルくらいで立ち止まる。


「ここ?」

「ああ。待ってりゃ来る」


 あと30秒くらいだな。


「エリックって本当にすごいわよね」

「死神という二つ名がついたくらいの英雄なんだぞ。まあ、アーヴィンもだけど」


 死神は個人ではなく、黒影団についた二つ名だ。

 俺達は情報を徹底的に隠す暗部だから個人につかないのは仕方がない。

 国の相当、上の人間じゃない限り、俺達のことは知らない。


「私も死神の黒影団はエリックから聞く前から知ってた。間違いなく、英雄だけど、あまり良い噂は聞かない組織ね。エリックもだけど、あの陽気なアーヴィンさんがそれっていうのが似合わなすぎだわ」


 そう思ってくれればいい。

 俺達だって真っ当な英雄になりたかったし、勝ちたかった。

 でも、戦争は色んな人間が動き、活躍するのだ。

 正面から戦う勇者だけが英雄ではない……そう思いたい。


「今はただの魔道具屋の店長とセクハラ気味の軍の指導員だよ……来たぞ」


 左の方の森からゴブリンが出てきた。

 アンジェラはそれを見て、足を広げ、杖を構える。

 スリットから綺麗な足が見えており、いつもこれなのかと違う意味で心配になる。


「アイスランス!」


 アンジェラが杖を向けると、先から氷の槍が飛び出し、ゴブリンを襲う。

 氷の槍はかなりのスピードで発射されたため、ゴブリンは躱すことができずに胸に刺さり、仰向けに倒れた。


「こんなものね」

「さすがだな」


 スピード、威力、正確性、どれも申し分ない。


「さて、耳と魔石っと」


 アンジェラがナイフを取り出し、討伐証明と魔石の採取を始める。


「周りは見ておく」

「どもー」


 見張りをしながらアンジェラを見ていると、すぐに採取を終え、立ち上がった。


「手際も良いな」

「さすがに2年もやってればね」


 アンジェラは間違いなく、魔道具屋よりも冒険者の方が大成するだろうな。

 本人の意思を考えなければ王都なんかの大きい町に行って、良いパーティーと組めればヴィオラが言うようにAランク冒険者として、成功できるだろう。


「魔法の方はどうだ?」

「問題なさそう。ただ、他の魔法も試したいからもうちょっと付き合って」

「ああ」


 その後も奥に進みながら出てくる魔物をアンジェラが倒していった。

 アンジェラは魔法使いなため、倒す方法は魔法だが、全部、違う魔法を使っている。

 そして、コボルトを上級の火魔法で焼き尽くすと、アンジェラが杖をしまった。


「こんなものね」

「もういいのか?」

「ええ。一通りの魔法も使ったし、一番大事な距離感もバッチシだった」


 アンジェラのような近接戦闘がダメな魔法使いで一番大事なのは敵に近づけさせないことである。

 距離感とはそういう意味だ。


「これからどうする?」

「もうちょっと奥に行ったら休憩用の小屋があるわ。そこの前に椅子とテーブルがあるからそこで昼食にしよっか」


 確かにちょっと腹が減ったな。


「じゃあ、行くか」

「うん」


 俺達はさらに奥に歩いていく。

 すると、ちょっと開けたところに出たのだが、確かに小屋があるし、その前には木製の長椅子とテーブルが置いてあった。


「こういうのがあるんだな」

「山師の人が作ってくれたやつね。小屋は一応、泊まれる」


 便利だけど、この距離なら町に戻るなぁ……

 まあ、山師が使うやつを冒険者や猟師も使っていいよってことか。


「座るか」

「そだねー」


 俺達は木製の椅子に腰かける。


「はい、お弁当」


 アンジェラがテーブルに2つの弁当箱を置いた。


「ありがとうな」


 礼を言い、弁当箱を開けると、中身はサンドイッチだった。


「えーっと、飲み物はっと……」

「待て、アンジェラ」


 アンジェラを止める。


「ん? 何か出た?」


 アンジェラがきょろきょろと周囲を見渡す。


「いや、周囲には何もいない。そうじゃなくて、ここで新発明を出そうと思ってな」

「あー、前に言ってたやつ? 持ち運び用コンロの派生の良いものってやつ」

「それだ。あれは小型化しているがそれでも荷物になるし、何よりも値段が高い。それでこれだ」


 空間魔法から30センチ程度の円柱体のものを2つ取り出した。

 片方が青色でもう片方が赤色だ。


「何これ? 水筒?」

「正解だ」


 ただの水筒。


「これがどうかしたの?」

「まずはこっちだな」


 コップを取り出し、青色の水筒を開けて注いだ。


「お茶?」

「ああ。飲んでみろ」


 アンジェラがぐいーっと飲む。


「冷たっ!」

「すごいだろ? これは実験用に昨日の夜から氷を入れていたやつだ」

「昨日の夜? 溶けるし、常温に戻るでしょ」

「そうならないように内部を加工してあるんだ」


 これぞ魔法……まあ、魔法瓶とも言う。


「へー、これはすごいわ。これから暑くなるし、外でも冷たいものが飲めるのは良いじゃん」

「だろ? お次はこっちだな」


 コップをもう1つ取り出し、赤色水筒を開けて注いだ。

 こちらは湯気が立っている。


「何これ?」

「昨日、お前が作ってくれたオニオンスープだな。今朝、温め直したやつを入れたんだ」

「温かい飲み物も維持されるんだ。すごいわね」


 魔法瓶だからな。


「これの良いところは持ち運びが楽なところだ。ただの水筒だしな。それでいて、5000ミルドで十分に元が取れる」

「これ、売れそうね。正直、持ち運び用コンロは遠征をする際には良いけど、日帰りならいらないもん。でも、これは冒険だけじゃなく、普段使いもできるっしょ」

「だろ? コンロを作った際に逆に冷たいのも作れないかって思って思いついたんだ」


 正確には記憶を掘り起こした。


「良いじゃん、良いじゃん! 王都とかに売り出せそう!」

「な? そういうわけでちょっと冒険者仲間に宣伝してくれ」

「わかった。これはいける気がする。店長、天才!」


 はっはっは!


お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
元暗部の英雄、再び暗躍する ~娘のために正体を隠して無双していたら有名になっちゃいました~

【新刊】
~漫画~
35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(1)

~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)

【現在連載中の作品】
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

【漫画連載中】
その子供、伝説の剣聖につき
コミックグロウル

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜
カドコミ
ニコニコ漫画

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua
― 新着の感想 ―
リアル魔法瓶w 日本式魔法瓶とどっちが製作コスト低いのか謎
魔法で物体を動かせるなら空気も抜けるし 真空中で溶接(?)もできるってことか。
やっぱりエリックは現代知識的なのを持ってるのか?情報が少なくてわからんぜ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ